【#せりふ三題噺】借金取りに行こう
こちらは はらとけいさんのお題企画への参加作品です。
こちらのキーワードを入れるルールで書いています。
■セリフ
「ショート……いや、グランデサイズで」
■三題
・草原
・返却
・ペンネ
それではどうぞ。
「今日こそ金返してもらえんだろーなぁ!」
喫茶店の椅子の上で轟然とのけ反り、サングラスの男が言った。向かいの妙に明るいポロシャツを着た男がペコリと頭を下げる。
「ご足労いただき、すいません」
「挨拶なんかいらん。そもそも、こんな所に呼び出しといてなんのつもりだ」
ガラガラの喫茶店を見回す。
「あ、フラペチーノ1つお願いします」
「おいっ!なにオーダーしてる。さっさとブツの返却終わらせんかい!」
「え…、でも注文しないと店員さんが」
見ると、テーブルの間に立ち、能面のような笑みを浮かべる店員がいた
「ちっ、とっとと頼めや」
「ショート……いや、グランデサイズで」
「待てコラ。なにしれっとサイズアップしてんだ。完全に長居しようとしてんじゃねーか」
「そんなつもりは無いですよ」
居住まいを正して男が向き直る。
「あなたには、返済日の度にわざわざ来ていただいて感謝しています」
「謝るんだったら、出すもんだしてもらおうか」
「こちらを」
男が恭しく、右手をテーブルの上に差し出し、サングラスが受け取る。ゆっくりと開くとその手にはキラキラと光る1枚の500円玉が置かれていた。
「だ……か……ら……」
サングラス男の手がわなわなと震えた。
「なんっで!毎回毎回百円単位の返済しかしねーんだよ!律儀に連絡だけはしてくるから受け取りに行かねーわけにはいかねーし!」
「すいません……今月は本当にこれしか無くて」
「今グランデ頼んでただろーが!」
「そんな…!食事する権利すら僕から奪うっていうんですか!あ、ペンネアラビアータ1つお願いします。セット割?あ、大丈夫です」
「富裕層の食事の仕方!」
ゼエゼエと息を切らして、サングラス男がつぶやく。
「そんな金の使い方してるから金がたまんねーんじゃねえのか!」
「後ろ暗い事には使って無いですよ」
「どーだかな、てめーのスマホ見せろ!俺が調べてやる!」
「あ、そんな乱暴な」
「ほーら、出てきた。カードの出金履歴を見ればすぐに――地震災害への寄付…と、これは盲導犬事業支援……あとは……心臓病の子どもへのクラファン」
「身の程もわきまえず、すいません」
「怒りずれぇ金の使い方すんじゃねーよ!反応に困るだろが!」
「つい手が出てしまって…」
「パチンコみてーな言い訳!」
「困っている人を見てたら放っておけないんです」
「そもそもこれは俺らの金だろうが!なに人の金で徳を積み上げてんだコラ」
スマホの通知が鳴る。
「あ、心臓病の子、無事手術成功したみたいです」
「世界って素晴らしいなあオイ!」
【了】
…キーワード【草原】入れられませんでした…三題入れるの難しい。すいません、許してください。
