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その男、ニッポニア

これまで、習慣化、ライフハック、生活のコツに関する本を100冊程読み、ひとつ気づいたことがあります。

で、著者は本当に実践しているのか。

これが有効だ、これが快適だ、というのはいくらでも言えます。
しかし、実際生活にどのように取り入れているのか、具体的にどの場面で?どのように?
それが一番知りたいのに、結局それはベールに包まれたまま。

やや消化不良だったんです。


それなら書いてしまおう。
習慣化を取り入れた一般人の1日。
嘘偽りのない、朝起きてから夜寝るまでのある1日の行動を出来るだけ正確に綴りました。

時に脱線し、時に習慣化術を説き、あくまでも生活に即した習慣を実践する。
ある中年男の平凡な1日の記録として読んでください。

読んでいくうちにすぐに気づくでしょうが、なんの事件も起きません。
ドラマチックからかけ離れたところにあります。

静かに始まり、静かに終わります。

これは物語ではなく、あくまでも生活。
生活に起伏はありません。



これはある年の7月1日、習慣化されたある中年男性の24時間の記録である。


4:25

目覚める。

目覚まし時計は久しく使っていない。
以前は、旧式の携帯を転用していた。
懐かしい黒電話の音が毎朝鳴っていた。
今でも確実に起きなければならない時に使っている。

しかし、僕はすでに習慣化された人間である。
目覚ましなどなくとも、時間になれば目は覚める。
目覚めてすぐにiPod shuffleからイヤホンを抜いて、iPhoneSEに挿す。
すると自動的に録音再生アプリ「ハヤえもん」が起動する。
そのアプリ内に保存された音声ファイルのうち、昨日の朝、録音したものを再生する。

僕の、親族相続法の参考書を読み上げる声。
司法試験のテキスト、独学である。
再生を確認し、速度を1.8倍にあげる。
2倍までは聞き取れる。
ちょうど2倍にしないのは、もう一度タップして微調整するのが面倒だから。

1秒を惜しむ、その姿勢が習慣化できたしるし。

そんなことをしている間に、次の行動が一つ遅れることが勿体無い。
僕の行動はすでに制限されている。
一刻も早く1階に降りなくては。


4:45

再生されている、早口でまくしたてる僕の声は、時々詰まる。
独学としてテキストを読み上げる、その読むべき内容を探す時、僕は一旦止まって考える。
ちょうど良さそうな内容を探し当てて再開する。
少しヒヤヒヤするが、そうさせていればより記憶に定着する。


7月の夜明けは早く、すでに活動するのに十分な明るさだ。


1階に降りて、リビングに行き水を飲む。
眠っている間、人間は汗としてずいぶん大量の水分を放出している。
だから補わなくてはならない。
僕の体から水を取れば残るのは、習慣だ。


次にトイレにはいる。
40才にもなれば、排尿の回数は上がり、頻繁とまではいかないにしても、トイレのヘビーユーザーである。
必然的にトイレを快適な場所にしていきたい。
していくことが日々を快適に過ごすことに直結する。

特に起き抜けの排尿は健康バロメーターとしての機能もあるため、大切にしたい。

トイレに入り、かけてある日めくりカレンダーを破る。
我が家のトイレには「味のカレンダー」がかけてある。
これはとても気に入っており、また、子どもも妻もトイレで食べ物のコラム、または文章を読まないとしても、魅力あるイラストを毎日楽しんでいる(と思う)。
6年生になった息子がこのカレンダーのことを話題にする時、僕は密かに嬉しく成長した彼の姿を頼もしいと感じる。
このカレンダーに書いてあるメニューが、数日後の食卓に登場することを、家族は知らない。
あるいは知っていて泳がしている。
取り入れたくなる魅力の文章を、各食の名コラムニストが提供してくれる。
貴重なカレンダーだ。

今日は「サンデー」のことが載っていた。
資生堂パーラーにて提供されるゼリーとバニラアイスクリームとフルーツを乗せたスイーツのことである。聞くだけで、涼しそう。
資生堂パーラーのフロアマネージャー倉林さんが今日の担当。
なんでもジャマイカ風らしい。
ジャマイカ産のラム酒をゼリーに使用しているからジャマイカ風。

実に昭和である。


そういえばそういう季節なのだと感じる。
食べ物のコラムを読んで季節を感じる。
貴重な時間だ。


リビングに向かい、お茶を冷やす。
お茶は、昨夜の寝る前に沸かしておいて、粗熱がちょうどなくなったところ。
7月ともなれば、気温は昼間30度を超える日々であり、冷たい飲み物が欲しい。

お茶はステンレスの水筒、klean kanteenに入れて、それを大きめの鍋にためた水につけ、凍らせた500ミニペットボトルを2本同じ水に入れて冷やす。
すぐにキンキンに冷えるので、それを子供の水筒に注ぐ。
子供達には冷たい水を飲ませたいしね。


次に、洗面所に入る。
1ヶ月前に購入したドラム式洗濯機が小さなランプを点滅させている。
中にふんわりキープさせている洗濯物が時々踊る。
さっそく洗面所にある椅子に腰掛けて、中にあるふわふわに乾いた洗濯物を畳んで洗濯機の上に置く。
時々洗濯ネットに入れてあるものが完全に乾いておらず、それについてはすぐ上にかけてある無印の洗濯物干しにかける。
洗濯ネットは中のものを出すと、洗濯機横に貼り付けてあるやはり無印のマグネット式フックにかける。動線、というにはややミニマムであるが、その無駄を無くしたい。
ほぼ、動かずにそれを振り分けて整理していく。
俺はさながらamazon robotである。

乾いた洗濯物のうち、タオル類、ハンカチ、子どもの下着、僕の下着は洗濯機横の棚に収納するので、同じ引き出しのものが揃い次第開けて収納する。

その間も僕の声が司法試験の参考書を読み上げている。

洗濯物をたたみ終われば、続いてキッチンへ向かう。
食洗機の中、昨日使った食器が乾いている。
正確に言えば、まだ少し濡れている。
なぜなら乾燥機能をあえて切っているからで、自然に乾燥するものを、わざわざ風を当てて乾燥させるべきでないと思う。
ほら、流行りの、えすでぃじーず、だ。

食器をまず出して、積み上げておく。すると、棚に置く頃には乾く。
割れないように、そっと積み重ねれば、文明開化の音がした。


5:10

パソコンを開く。
iPod shuffleを充電すると同時に、iTunesにてPodcastの更新を行う。
夜の間に流しっぱなしのことも多く、ここで充電しないと、聞きたいときに電池切れ、ということもあるため、必須である。

さて、やるべきことはたくさんあり、時間は限られている。

朝、パソコンを開いて何をするか。
まず、昨日の相場を確認する。
無論、株式市場である。
投資は気にしすぎてもいけないが、放置しすぎてもいけない。
程よく付き合う関係がちょうど良い。

それから、大抵「読書メーター」を開く。
読書に関する情報にアクセスし、次に読むべき本を探す。
お気に入りのレビュアーの読んだ本、感想を見て、いいね、をつける。
相性の良さそうな人がいれば、お気に入り登録する。

それからnoteを記事を更新する。


5:40

さて、ここから独学である。
といって、構えてはいけない。
あくまでもさらりと入ることで毎日継続できる。
どの科目の勉強をするかは、本棚の並び順によって考えなくてもわかっている。
毎日、昨日はこれをやったから、今日はこれをやらなければ、ということを何か記録するとか、メモを作っておくとか、そんな面倒なことをしているようじゃ、まだ習慣化できていない。
考えなくても、今日使った参考書を右側におけば、使っていないものが左側にやってくるのだからそれを抜き取ればいい。

司法試験は、その範囲の広いことが特徴であり、参考書は30冊以上ある。
偏った勉強をしてしまうことは、試験をパスする上で致命傷。
満遍なく広い知識を得るために、この方法をとっている。
リビングにカウンターがあり、キッチン側からの受け渡しができるようになっているのであるが、そのカウンターで僕は勉強をする。
勉強のための特別な机や椅子は用意しない。
ここでいちいちその道具を使い、その位置に行かないと独学ができないようでは習慣化できない。
すぐに始める準備を、あらかじめ整えておくことが唯一の継続のコツである。また、座って勉強しないほうがいい。
カウンターチェアーがあるので、座ることはできるが、あえて座らない。
時間にして20分もないぐらいだから、苦痛ではない。
立ち勉強は、むしろ効率が上がるので、試してみてほしい。

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