【構造批評】-外食冷却減税編-家庭内消費を優遇し、飲食店を追い込む食料品1%案‼️
🟧序章|問題は減税ではなく、消費の誘導先である
6月4日の日経は、高市首相が食料品の消費税減税について、秋の臨時国会に関連法案を提出する考えを示したと報じました。政府・自民党では、食料品の税率を2027年4月から1%に下げる案が有力とされています。
一見すると、物価高に苦しむ家計への支援ですが、問題はそこではありません。
食料品だけを大きく減税すれば、家庭内消費が相対的に優遇されます。一方で、外食は対象外となり、税率差によって外食チェーンや中小飲食店はさらに不利になります。
しかも、政府資料では、軽減税率対象分の消費税負担額は高所得層ほど大きいことが示されています。つまり、減税額も高所得層ほど大きくなります。
⚫︎低所得層には薄く届く
⚫︎高所得層には金額で厚く届く
⚫︎内食は優遇される
⚫︎外食は冷却される
⚫︎財政には穴が空く
これは生活支援というより、消費構造を歪める減税です。
🔵第一章|食料品減税は、低所得層に集中しない
食料品減税の最大の弱点は、所得で絞れないことです。
税率を下げれば、すべての消費者が恩恵を受けます。そこには、生活に困る世帯も、高級スーパーや百貨店で高額食材を買う世帯も含まれます。
年収200万円以下の世帯が最低限の食費を切り詰めている一方で、高所得層は高級和牛、鮮魚、果物、惣菜、贈答用食品まで購入できます。税率が下がれば、支援額そのものは消費額の大きい層に厚く出ます。
生活支援なら、本来は困窮世帯に集中させるべきです。
しかし食料品減税は、困窮度ではなく購入額に応じて恩恵が決まります。ここに逆進性の本体があります。
🔵第二章|百貨店の和牛まで支える政策になる
食料品という言葉は、生活必需品を連想させます。
しかし実際の食料品消費には、幅があります。
⚫︎米
⚫︎卵
⚫︎豆腐
⚫︎野菜
⚫︎冷凍食品
⚫︎高級和牛
⚫︎高級果物
⚫︎百貨店地下食品売場の惣菜
同じ食料品でも、生活防衛の買い物と、余裕消費の買い物は違います。
ところが税率を一律に下げれば、この差を区別できません。低所得層の食卓支援と、高所得層の高級食材支援が、同じ制度に入ってしまいます。
これは政策として粗い。
困っている人に届く減税ではなく、食料品を買える人ほど恩恵を受ける減税です。生活支援の看板を掲げながら、実際には高級消費まで補助する構造になります。
🔵第三章|外食チェーンは相対的に高く見える
もう一つの問題は、外食への逆風です。
食料品の税率が1%になり、外食が従来税率のまま残れば、消費者から見た価格差は広がります。家で食べる方が税制上有利になり、外で食べることは相対的に高く見えます。
外食産業はすでに苦しい局面にあります。
⚫︎人件費上昇
⚫︎米価格上昇
⚫︎肉・油・野菜の高騰
⚫︎電気代上昇
⚫︎物流費上昇
⚫︎包装資材高
⚫︎人手不足
この状況で、内食だけを減税すれば、外食は価格転嫁しにくくなります。
低価格外食、ファミレス、牛丼、ラーメン、弁当、フードコート、中小飲食は、家計防衛の比較対象になります。食料品減税は、外食産業から需要を奪う政策になりかねません。
🔵第四章|小売は追い風、飲食は逆風になる
食料品1%案は、小売業には追い風です。
スーパー、ドラッグストア、ディスカウント店、百貨店食品売場は、税率引き下げを販売促進に使えます。消費者も、減税を実感しやすい。
一方で、飲食店は違います。
飲食店は原材料を仕入れ、調理し、人を雇い、店舗を維持し、サービスを提供します。そこには食材費だけでなく、人件費、家賃、光熱費、設備投資が乗ります。
食料品減税は、この付加価値部分を評価しません。
むしろ、調理前の食品を優遇し、調理後の食事を不利にします。これは、食品小売と外食の間に政策的な分断線を引くことです。
結果として、家で買う消費は守られ、外で食べる消費は冷えます。
🔵第五章|給付付き税額控除への移行も難しくなる
政府は、2年間の減税後に給付付き税額控除へつなぐ考えを示しています。
方向性としては、給付付き税額控除の方が合理的です。所得や世帯構成に応じて支援できるため、低所得層や子育て世帯へ厚く届けやすいからです。しかし、順番が悪い。
先に食料品減税を行えば、多くの世帯が減税を既得権として受け止めます。その後、給付付き税額控除へ移ると、恩恵が減る層が必ず出ます。
⚫︎高所得層は減税縮小に反発する
⚫︎中間層も負担増に見える
⚫︎小売業界は税率維持を求める
⚫︎外食業界は不公平を訴える
⚫︎制度移行は政治的に難しくなる
つまり、食料品減税は給付付き税額控除へのつなぎではなく、むしろ移行を難しくする可能性があります。
🟪終章|生活支援ではなく、外食冷却政策
今回の食料品1%案は、物価高対策としては分かりやすいです。
しかし、制度として見ると問題が多い。
低所得層に集中せず、高所得層にも大きく届きます。百貨店の高級食材も、生活必需品と同じように減税されます。さらに、家庭内消費を優遇し、外食産業を相対的に冷やします。
本当に必要なのは、食料品の税率を下げることではありません。
⚫︎困窮世帯に直接届く給付
⚫︎子育て世帯への上乗せ
⚫︎中低所得層向けの給付付き税額控除
⚫︎社会保険料負担の軽減
⚫︎外食・中小飲食への別枠支援
税率を下げれば、支援した気分にはなります。
しかし、制度設計を誤れば、金持ちは高級食材で得をし、貧困層には薄く届き、外食産業は冷える。
これは生活支援ではありません。
家庭内消費を優遇し、飲食店を追い込む外食冷却減税です。
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