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【構造批評】-食料品減税再分配空白編-給付なら所得で絞れた支援を、購買額に比例する減税へ変えた‼️

🟧序章|物価高対策が再分配から離れていく

8月7日の日経は、高市政権が2027年4月から2年間、食料品の消費税率を8%から1%へ引き下げる方針を決めたと報じました。

対象は生鮮食品、加工食品、飲料、テイクアウト、出前です。酒類と外食は10%のまま据え置かれます。減税規模は年5兆円程度、1人当たりの効果は平均で年3万6000円ほどとされます。

家計負担を軽くする意図は理解できます。

しかし、物価高対策として見ると大きな空白があります。所得制限も資産要件もなく、食品を購入する全員へ同じ7ポイントの減税を適用するためです。

給付なら、少なくとも所得を基準に支援対象を絞れました。給付付き税額控除なら、働く低中所得層へ重点配分する設計も可能でした。

ところが一律減税では、生活の厳しさではなく、食料品の購買額によって恩恵が決まります。

🔵第一章|同じ税率でも、減税額は同じにならない

食料品の税率を一律1%にする政策は、形式上は平等です。しかし、実際の減税額は平等ではありません。

月3万円の食品を買う世帯と、月10万円の食品を買う世帯では、7ポイント減税による恩恵が大きく異なります。

⚫︎必要最低限の食品を買う低所得世帯
⚫︎百貨店で高級肉や海産物を買う高所得世帯
⚫︎高級スーパーや通販を利用する資産保有層

その全てに同じ税率が適用されます。

高額な食品セットも、持ち帰れば1%です。購買力が大きく、食品支出額が多い層ほど、絶対額で大きな減税を受けます。

現在は株価や資産価格の上昇による資産効果が出やすい局面です。消費余力を既に持つ層にも追加の減税が及ぶ一方、支援が必要な人へ厚く配る仕組みはありません。

一律減税は負担率を下げても、再分配の精度を上げる政策ではないのです。

🔵第二章|所得ではなく食べ方で9ポイント差がつく

さらに問題なのが、内食・中食と外食の税率差です。食料品とテイクアウトは1%、店内飲食は10%となります。同じ料理でも、持ち帰るか店内で食べるかによって9ポイントの差が生じます。

⚫︎百貨店の高額弁当を持ち帰る人は1%
⚫︎高級肉を買って自宅ですき焼きをする人も1%
⚫︎仕事帰りに定食を食べる単身勤労者は10%
⚫︎家事時間を確保しにくい共働き世帯の外食も10%

これは所得に応じた物価高対策ではありません。生活様式によって支援の厚さを変える制度です。

自炊できる時間や設備がある世帯は恩恵を受けやすく、長時間労働者、単身者、共働き世帯など、外食への依存度が高い層は恩恵が薄くなります。 
物価高への耐久力ではなく、どこで食べるかが税負担を決めます。

🔵第三章|外食産業を税制で不利にする

現行制度でも食料品8%、外食10%の区別があります。しかし差は2ポイントです。

これが9ポイントへ広がれば、消費者の選択にも外食企業の経営にも影響します。

外食産業は、食材費、人件費、光熱費、物流費の上昇を受けています。価格転嫁を進めなければ賃金も上げられません。

そこへ持ち帰り1%、店内飲食10%という差を置けば、税制が内食と中食を強く優遇することになります。
さらに、実務上の境界も難しくなります。

⚫︎コンビニで持ち帰りと申告してイートインを利用する
⚫︎モールの店舗でテイクアウトし、共用席で食べる
⚫︎店前のベンチや共有空間を飲食設備とみなすか
⚫︎出前と店内飲食の価格差をどう表示するか

現行制度でもある問題ですが、差が9ポイントになれば、区分を巡る誘因と摩擦は大きくなります。

🔵第四章|給付なら支援先を調整できた

政府は27年6月から、残る1%相当を中低所得者へ配る方針も示しています。

しかし、それなら最初から所得に応じた給付や給付付き税額控除を中心に設計する選択肢がありました。

給付には行政コストや資産捕捉の限界があります。それでも、

⚫︎所得水準に応じて金額を変える
⚫︎低所得者を厚くする
⚫︎高所得者を対象外にする
⚫︎単身者や子育て世帯の違いを反映することは可能です。一律減税ではできません。

食品を多く購入するほど減税額が増え、高所得者にも同じ7ポイントが適用されます。物価高対策の財源5兆円が、支援の必要度とは無関係に広く薄く配られます。

🔵第五章|2年後の復元が新たな増税になる

政府は2年間限定とし、その後8%へ戻す方針です。しかし、2年間に原材料費、人件費、物流費が上がり、食品価格そのものが上昇していたらどうなるでしょうか。

値上がりした本体価格に、7ポイント分の税率が戻ります。

制度上は減税終了でも、消費者には大幅な値上げに見えます。景気や物価の状況によっては、8%への復元を延期せよという政治圧力が強まります。

一度1%へ下げれば、元に戻すことは事実上の増税として受け止められます。

2年限定だから財源問題が小さいのではありません。2年後に戻せなければ、年5兆円規模の穴が恒久化します。

🟪終章|支援の必要度ではなく、購買額で配る政策

食料品減税には、家計の負担を直ちに軽くする効果があります。しかし、再分配政策として見れば精度が低いです。

⚫︎高所得者も対象になる
⚫︎高額食品も1%になる
⚫︎食品支出額が多いほど減税額が増える
⚫︎外食する勤労者は10%のまま
⚫︎外食産業には9ポイントの不利が生じる
⚫︎2年後の復元は政治的に難しい

給付なら、所得を基準に支援対象を調整できました。今回の政策は、その選択をせず、生活の厳しさではなく購買額に比例して恩恵を配る制度へ進みました。

百貨店で高額食品を買って持ち帰る世帯にも1%。仕事帰りに定食を食べる単身者には10%。

食料品減税の空白は、財源だけではありません。
誰を重点的に支えるのかという、再分配の設計そのものが抜け落ちています。

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