紅夢(1991🇨🇳) 《チャン・イーモウ 艶やかなる紅の世界》
原題: 大紅灯篭高高掛/RAISE THE RED LANTERN(1991、中国=香港=台湾、125分)
⚫︎監督:チャン・イーモウ
⚫︎出演:コン・リー、ホー・ツァイフェイ、マー・チンウー、ツァオ・ツイフェン
チャン・イーモウ監督、コン・リー主演の初期作。
『紅いコーリャン』は昔に図書館のDVDでレンタルで観ることができたけど、DVDもなく映像配信もなく今回HDレストア上映で観る機会ができたというこの『紅夢』。
大きな屋敷を構える富豪のもとに第四夫人として嫁いだ19歳のスンリェンを主人公とした話。
正妻、第二夫人、第三夫人と個性の強い女たちが出てくるが主人を巡る愛憎のストーリーというよりは己の地位を確固たるものにするための権力闘争というほうが近い。
『ラストエンペラー』が紫禁城で撮影できたからこそ傑作になったのと同様、小さな宮殿のようなこの大屋敷で撮影できたことがこの映画の魅力の全て。(エンドクレジットで山西省民族博物館と出ていた)
頑張ってセットを組んで撮影したとしてもやっぱりここまでの本物感は出せないだろう。
中国という国のスケールの巨大さ、歴史の深さをまざまざと感じることができる。
タイトルにもなっている赤い灯籠が浮かぶ様は人工美の極致。カメラワーク、構図も完璧に決まっている。

この屋敷を何かの縮図や見立てとして解釈することもできるけど(敗北したのが「役者」と「大学生」)、逆にそんな結論づけで終わったらつまらないので画面に映されているものを目で愉しむのがベストだと思う。
屋敷は四つの院に分かれていてそれぞれの夫人の住まいになっている。まるで麻雀卓のようだと思ったけど、実際「メンツが一人足りないのでスンリェンが四人目として呼ばれる」シーンがある。
コン・リーは華があり憂いもあり、とても美しい。
台詞ではなく表情だけの演技…無表情のまま涙を流す、怒りで小鼻を何度も膨らます、嬉しさのあまり一瞬歯を見せるといった繊細な演技が大きなスクリーンで非常に映える。
第三夫人の部屋から主人とのデュエットが聴こえてくることを性行為のメタファーと捉えるとすると、高先生が第三夫人の歌のレコードを流すあたりで疑惑は決定的となるあたりの緊張感ある演出は良かった。
酔って何も覚えていないというシナリオ展開が自然に通るほど、中国の酒は強いということか。
誕生日に死亡通知を聞く悲しさ。
最後は本当に悲しすぎる。
『ラストエンペラー』で溥儀夫人がアヘン中毒でボロボロになったシーンの痛々しいほどの悲しさを思い出した。

