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サタンタンゴ(1994🇭🇺)

原題: SÁTÁNTANGÓ(1994、ハンガリー、438分)
●監督:タル・ベーラ
●出演:ヴィーグ・ミハーイ、ホルヴァート・プチ、デルジ・ヤーノシュ、セーケイ・B・ミクローシュ、ボーク・エリカ、ペーター・ベルリング

映画好きが連休中にやっておかないといけないこと、それは『サタンタンゴ』を観ること、ということでベルトルッチの『1900年』(5時間16分)を超える、自分史上最長の7時間18分に挑戦してみた。

確かに長いけど、こういう撮り方をしてたらそりゃこの長さになるよねというような、そもそものショットの積み重ね方が通常の映画とはだいぶ異なる。

「撮影」とか「演技」という感覚が薄れ消えゆくまでに引き延ばされたその先にあるリアルを虚構として記録するかのような異常なまでの長回し。

「鑑賞」という感覚は……没入と疎外の間に弾き飛ばされ、浮遊。

白々明けしていくようにだんだんとストーリーの全景が朧げに見えてくる感覚は心地よい。

鑑賞し終えてしばらく経った今、色々な場面の記憶が静止画として蘇ってくる。

映画は章立てになっていてインターミッションも二回ある。なので正直に言えば一気見ではなく休憩を挟みながら頑張って観た。

章の最後の方でナレーションが入り、出来事の顛末や登場人物の心情を説明したりする。その間映像はほとんど動かず、あくまで言葉での描写。人物は動かない。

映像で描ききれていないからではない。そんなわけがない。このあたりは文学的な感覚。

食堂のシーンの堂々巡り感はどことなくカフカの『城』っぽい。

酒場で人々が静止するシーンはアンゲロプロスのよう。廃墟に少女がいるシーンはタルコフスキーっぽかった。

牛や犬、猫、豚、といった動物たちも何か詩的シンボルの役割を担わされているかのように登場。フクロウも不気味にこちらを見ていた。

夜明けなのか日暮れなのか分からなくなっていた だが朝も夜もやってこなかった いつまでも明けつづけて、暮れつづけていた

というモノローグがこの映画を象徴するようだった。

7時間18分経過。

でもなぜだろう、また観たいなという気持ちも生まれている。もういいやという気持ちは全くない。あのシーンのあの意味、もう一度感じたいなという気持ちが生まれている。

結局、一番印象に残ったのは鐘の音。

聞こえるはずのない鐘の音。

それが残響しながら白黒ロングショットの静止画がパラパラと胸の奥底へゆっくりと落ちていくような……感覚が鑑賞後の疲労した体に浸透していった。

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