ポール・ニューマンの「暴力脱獄」を見ましたか?
気に入った映画を見た後に、自分を主人公に重ねてしまう時期がある。
ポール・ニューマン主演の『暴力脱獄』を見たときが、まさにそうだった。
主人公は囚人で、脱獄を繰り返すが、何度目かの脱獄の時、射殺される。刑務所という束縛から、抜け出そうと、あがき続けて、最後に潰された。
理不尽な現実に対し抵抗しても、個人の力ではどうにもならないことがある。その悔しさに共鳴し、私は無性に何かをせずにはいられなくなった。
バックを持って部屋をでた。金もなく、当てもない。行き当たりばったりのヒッチハイク。夏休みが終わったばかりの、大学二年の9月だった。
東京-長野-黒部-金沢-新潟-東京。
わずか十日足らずの「悪あがき」だった。
そして残念ながら、私の感受性の持続力は、十日が限界であることも証明されてしまった。
先日、TV番組欄に「暴力脱獄」の文字を見かけた。懐かしかったけど、見なかった。
見終わった後も、何もせず座っている自分をみるのが嫌だった。
