【ホームランは打球速度だけで決まらない】バックスピンが飛距離を伸ばす理由

はじめに
バックスピンは本当に飛距離を伸ばすのか?
ホームランを打つために、多くの選手は「もっと強く振る」「打球速度を上げる」ことを考えます。
もちろん打球速度は重要です。
しかし、飛距離は打球速度だけで決まるわけではありません。
同じ打球速度でも、ボールにどんな回転がかかっているかによって、飛距離は大きく変わります。
その中でも重要なのが、
バックスピン
です。
バックスピンがかかった打球は、空中で上向きの力を受けます。
この力を
マグヌス力
と呼びます。
簡単に言えば、ボールが回転することで空気の流れが変わり、ボールを上へ持ち上げる力が発生するということです。
その結果、打球はすぐに落ちず、長く空中に残ります。
つまり、
バックスピン
↓
上向きの力が発生
↓
落下が遅くなる
↓
滞空時間が伸びる
↓
飛距離が伸びる
という流れです。
なぜバックスピンで打球は伸びるのか
ボールには常に重力が働いています。
重力はボールを下へ落とす力です。
しかし、バックスピンがかかると、マグヌス効果によって上向きの力が生まれます。
もちろん、ボールが本当に浮き上がるわけではありません。
正確には、
落ちる量が少なくなる
ということです。
だから、バックスピンのかかった打球は「伸びる」ように見えます。
外野手が、
「思ったより打球が落ちてこない」
と感じる打球は、打球速度だけでなく、バックスピンの影響を受けている可能性があります。
回転数が増えると何が起こるのか
Nathanの研究では、野球ボールを時速約80〜177km、回転数1500〜4500rpmの範囲で飛ばし、回転が飛球に与える影響を測定しています。
その結果、回転量が増えるほど、揚力係数が増える傾向が示されました。
つまり、バックスピンが増えるほど、ボールにはより強い上向きの力が働きやすくなります。
これは打者にとって非常に重要です。
なぜなら、飛距離を伸ばすには、
打球速度だけではなく
打球に適切なバックスピンをかけること
が必要だからです。
0rpm、1000rpm、2000rpmの違い
論文内では、打球速度100mph、打球角度30°、高さ3ftの条件で、回転数を変えた飛球軌道のシミュレーションが示されています。
回転なしの打球は、最も早く落下します。
1000rpmのバックスピンがかかると、打球はより長く空中に残ります。
2000rpmになると、さらに滞空時間が伸び、飛距離も増加します。
つまり、同じ打球速度・同じ角度でも、
回転数が違えば飛距離は変わる
ということです。
これは現場でかなり重要です。
「強く打っているのに飛ばない」
という選手は、単純にパワー不足ではなく、打球の回転が悪い可能性があります。
ホームランは「打球速度 × 角度 × 回転」
現代野球では、打球速度が非常に重視されています。
これは間違いではありません。
打球速度が高いほど、飛距離が伸びる可能性は高くなります。
しかし、打球速度だけでは不十分です。
角度が低すぎればゴロになります。
角度が高すぎれば、打ち上げただけのフライになります。
さらに、回転が適切でなければ、打球は空中で失速します。
つまり、ホームランに必要なのは、
打球速度
打球角度
バックスピン
この3つです。
どれか1つだけでは足りません。
強く打つだけでもダメ。
上げるだけでもダメ。
回転だけでもダメ。
3つが合わさった時に、飛距離は最大化されます。
バックスピンが増えると最適角度も変わる
この論文で面白いポイントは、バックスピンが増えると、最大飛距離を生む最適角度も変化するという点です。
バックスピンが少ない打球は、飛距離を出すためにある程度高く打ち出す必要があります。
しかし、バックスピンが多い打球は、上向きの力を受けるため、高く上げすぎる必要がありません。
つまり、
回転があるほど
低めの角度でも飛距離が出る
ということです。
これは「フライを上げろ」という指導の落とし穴にもつながります。
ただ高く打ち上げれば飛ぶわけではありません。
大切なのは、
強い打球速度を保ちながら
適切な角度で
適切なバックスピンをかけること
です。
飛距離が出ない原因はパワー不足とは限らない
飛距離が出ない選手は、すぐに筋力やスイングスピードの問題だと考えがちです。
もちろん、それも重要です。
しかし、それだけではありません。
飛距離が出ない原因には、
・打球角度が低すぎる
・打球角度が高すぎる
・バックスピンが足りない
・トップスピン気味になっている
・スライス回転が強い
・芯で捉えられていない
・バット軌道とボール軌道が合っていない
などがあります。
特に、強く打っているのに打球が伸びない選手は、打球の回転を見直す必要があります。
トップスピンの打球はなぜ飛ばないのか
バックスピンとは逆に、トップスピンがかかった打球は下向きのマグヌス力を受けます。
つまり、ボールがより早く地面へ向かいやすくなります。
そのため、トップスピンの強い打球は、
・ゴロになりやすい
・失速しやすい
・飛距離が出にくい
という特徴があります。
もちろん、強いゴロや低いライナーを打つ場面では有効なこともあります。
しかし、ホームランや長打を狙う場合、過度なトップスピンは飛距離を制限します。
打者は何を意識すべきか
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