見出し画像

【打てる打者は「筋肉」だけでなく「動き」を鍛えている】ファンクショナルムーブメントトレーニングが打撃パフォーマンスを高める理由

はじめに


バットスピードを上げたい。

強い打球を打ちたい。

スイングを速くしたい。

そのために多くの選手は、筋トレや素振り、ティーバッティングを増やします。

もちろん、それらは重要です。

しかし、今回の研究が示したのは、もう一つの重要な視点です。

それが、

動きの質を高めること

です。

今回紹介する研究では、動作の質が低い中学生野球選手に対して、8週間のファンクショナルムーブメントトレーニングを実施しました。

その結果、

・バットスピードが向上
・スイング時間が短縮
・FMSスコアが向上

しました。

つまり、打撃パフォーマンスは、打撃練習だけでなく、

身体の動き方そのものを改善することでも向上する

可能性が示されたのです。

この研究は何を調べたのか


対象は、中学生年代の男子野球選手26名。

特徴は、

FMSスコアが14点以下

だったことです。

FMSとは、Functional Movement Screenの略で、基本的な動作の質を評価するテストです。

つまり、この研究の対象者は、

筋力や技術以前に、

身体をうまく使う能力に課題がある選手

だったということです。

選手は2つのグループに分けられました。

1つは、通常練習のみを行うグループ。

もう1つは、通常練習に加えてファンクショナルムーブメントトレーニングを行うグループです。

期間は8週間。

研究では、3次元動作解析を用いて打撃動作を評価し、さらにFMSで動作の質も評価しました。

結果① バットスピードが向上した


ファンクショナルムーブメントトレーニングを行ったグループでは、バットスピードが向上しました。

これは非常に重要です。

なぜなら、バットスピードは打球速度や飛距離に関係する重要な要素だからです。

しかし、この研究で注目すべきなのは、バットスピードが上がった理由です。

単純に腕を鍛えたからではありません。

重いバットを振ったからでもありません。

動作の質を高めるトレーニングによって、全身の連動が改善した可能性があります。

結果② スイング時間が短縮した


もう一つ重要なのが、スイング時間の短縮です。

スイング時間が短いということは、より短時間でバットをボールまで届けられるということです。

これは打者にとって大きな武器になります。

なぜなら、スイング時間が短くなれば、

・ボールを長く見られる
・判断する時間が増える
・差し込まれにくくなる
・変化球にも対応しやすくなる

からです。

つまり、スイング時間の短縮は、単に「速く振れる」だけではありません。

打者の判断時間を増やす

という意味でも非常に重要です。

結果③ FMSスコアが向上した


ファンクショナルムーブメントトレーニングを行ったグループでは、FMSスコアも向上しました。

これは、身体の基本的な動作能力が改善したことを意味します。

例えば、

・股関節が使える
・体幹が安定する
・片脚でバランスが取れる
・左右差が減る
・可動域と安定性が両立する

こうした能力が改善した可能性があります。

つまり、打撃パフォーマンスの向上は、単なるスイング練習の成果ではなく、

身体の土台が整った結果

とも考えられます。

なぜ動きの質が打撃に関係するのか


打撃は、腕だけで行う動作ではありません。

地面

足部

股関節

骨盤

体幹

肩甲骨



バット

という全身の運動連鎖です。

この連鎖がうまく機能すると、下半身で作った力が体幹を通り、最終的にバットへ伝わります。

しかし、どこかに問題があると、力は途中で漏れます。

例えば、

股関節が使えない。

体幹が安定しない。

片脚でバランスが取れない。

胸郭が回らない。

肩甲骨が安定しない。

このような状態では、どれだけ筋力があっても、バットへ力を伝えきれません。

筋力があっても打てない理由


野球選手の中には、筋力があるのに打球が弱い選手がいます。

逆に、そこまで筋肉が大きくないのに、鋭い打球を打つ選手もいます。

この差は何でしょうか?

答えの一つが、

力の伝え方

です。

筋力はエンジンです。

しかし、エンジンが強くても、タイヤまで力が伝わらなければ車は速く走りません。

打撃も同じです。

筋力があっても、

股関節
骨盤
体幹
肩甲骨

バット

へ力が順番に伝わらなければ、バットスピードにはつながりません。

ファンクショナルムーブメントトレーニングとは何か


ファンクショナルムーブメントトレーニングとは、単に筋肉を鍛えるトレーニングではありません。

目的は、

身体を正しく動かせるようにすること

です。

具体的には、

・股関節の可動性
・体幹の安定性
・片脚バランス
・肩甲骨のコントロール
・左右差の改善
・全身の連動性
・動作中の姿勢制御

などを高めます。

つまり、筋肉を大きくするというより、

身体の使い方を整えるトレーニング

です。

なぜ中学生年代に重要なのか


中学生年代は、身体が大きく変化する時期です。

身長が伸びる。
手足が長くなる。
筋力が変わる。
柔軟性が変わる。
重心位置が変わる。

この時期は、今までできていた動きが急にできなくなることがあります。

いわゆる成長期特有の「動きのぎこちなさ」です。

だからこそ、この年代では筋力だけでなく、

自分の身体をコントロールする能力

が非常に重要になります。

FMSスコアが低い選手ほど伸びる可能性がある


今回の研究では、FMSスコアが14点以下の選手が対象でした。

つまり、最初から動作の質に課題がある選手です。

このような選手は、単に打撃練習を増やすだけでは効率が悪い可能性があります。

なぜなら、そもそも身体をうまく使えていないからです。

身体の動きに制限がある状態で素振りを増やすと、その悪い動きを繰り返し学習してしまう可能性があります。

逆に、動きの質を改善すると、同じ打撃練習でも効果が出やすくなります。

打撃に必要な動き① 股関節


打撃では股関節が非常に重要です。

股関節は、下半身で作った力を骨盤へ伝える場所です。

股関節が使えないと、

・軸足に乗れない
・骨盤が回らない
・体幹が開く
・手打ちになる
・スイングが弱くなる

という問題が起こります。

特に軸足の股関節内旋やヒンジ動作は、打撃の土台になります。

打撃に必要な動き② 体幹安定性


体幹は、下半身と上半身をつなぐ橋です。

体幹が不安定だと、下半身で作った力が上半身へ伝わりません。

例えば、スイング中に身体が突っ込む。

腰が反る。

軸がブレる。

肩が早く開く。

これらは体幹の安定性不足と関係することがあります。

バットスピードを上げるには、体幹を固めるのではなく、

必要なタイミングで安定し、必要なタイミングで回旋できる体幹

が必要です。

打撃に必要な動き③ 片脚バランス


打撃は両足で立っているように見えますが、実際には体重移動の中で片脚支持に近い局面があります。

軸足で乗る。

前足へ移動する。

踏み込み足で受け止める。

この流れの中で、バランスが崩れるとスイング軌道も崩れます。

片脚で安定できない選手は、スイング中に頭が動いたり、骨盤が流れたり、タイミングがズレやすくなります。

打撃に必要な動き④ 胸郭回旋


胸郭が回らない選手は、肩や腕でバットを振りやすくなります。

胸郭が動けば、体幹の回旋を使ってバットを加速できます。

しかし胸郭が硬いと、

・手打ち
・肩の開きが早い
・トップが浅い
・捻転差が作れない
・バットが遠回りする

といった問題が起こります。

胸郭回旋は、打撃の「しなり」を作る重要な要素です。

打撃に必要な動き⑤ 肩甲骨


肩甲骨は、体幹と腕をつなぐ場所です。

体幹で作った力を腕へ伝えるには、肩甲骨が安定して動く必要があります。

肩甲骨が使えないと、

・肩がすくむ
・腕だけで振る
・トップが作れない
・リードアームが使えない
・トップハンドで押し込む

といった問題が起こりやすくなります。

肩甲骨は、バットスピードを腕へ伝えるための中継地点です。

なぜスイング時間が短くなったのか


スイング時間が短くなった理由として考えられるのは、無駄な動きが減ったことです。

動作の質が低い選手は、スイング中に余計な動きが多くなります。

・頭が動く
・骨盤が流れる
・肩が早く開く
・腕が遠回りする
・バットが下から出る

こうした無駄があると、バットがボールへ届くまでに時間がかかります。

ファンクショナルムーブメントトレーニングによって全身の連動が改善すると、動作がコンパクトかつ効率的になり、スイング時間が短縮した可能性があります。

なぜバットスピードが上がったのか


バットスピード向上の理由は、単純な筋力向上だけでは説明できません。

むしろ、

・股関節が使えるようになった
・体幹が安定した
・回旋の順番が良くなった
・力のロスが減った
・バット軌道が効率化した

こうした要素が関係している可能性があります。

つまり、

力を増やしたというより、力を伝えやすくなった

ということです。

打撃練習だけでは足りない選手


次のような選手は、打撃練習だけでは伸びにくい可能性があります。

・スイング中に軸がブレる
・片脚で安定できない
・股関節が硬い
・胸郭が回らない
・体幹が反る
・肩甲骨がすくむ
・左右差が大きい
・FMSスコアが低い
・筋力はあるのに打球が弱い

このような選手は、技術以前に身体の土台を整える必要があります。

現場で使えるトレーニング例


① ディープスクワット

ここから先は

2,091字
「努力を結果に変える、打者のための完全ロードマップ」

このマガジンは「打てない理由が分からない打者」を再現性をもって打てる打者へ導くための完全ガイドです。✅フォームを真似しても結果が出ない✅ト…

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?