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高級レストランの高すぎる水

私は仕事柄、あるいは食べることが何より好きなため、お金を貯めては美味しい料理を食べに行きます。
定食屋や牧場のBBQ、漁師飯などアットホームな場所も好きですし、ミシュランなど高級レストランにも足を運びます。

それぞれ違った楽しみ方があり、たくさん足を運ぶ中で自分の中で最高と思えるお店を開発していくのが面白いんです。

今回は高級レストランについて語りたいのですが、私たちはしばしば「味」や「内装」にばかり目を向けがちです。
しかし、本来の価値はもっと広く、深いものです。
空間の静けさ、所作の美しさ、緊張感と安らぎの均衡。
そしてそれらは、お店だけでなく客側の振る舞いによっても作られています。
本当のお客はマナーを知り、その素晴らしい空間を一緒につくることができる。
最近はそのようなTPOが分からない人が増えているような気がします。



「水が有料」は不親切?

SNSでは定期的にこんな議論が起きます。

「水が有料なのはおかしいし高すぎる。」
「だったら飲み物を頼まなくてもいいでしょ」

こんな議論が起きたとき、私的にはそもそもこんなことが議論になることに驚きを感じました。

高級レストランには見えないコストもかかり、その空間を維持するために大変な努力をしています。

高級店の価値は“味だけ”で成り立っているわけではありません。
無料の水で長時間滞在する客が増えれば、空間の緊張感や集中力は維持できません。
飲み物一つの提供方法すら、お店の世界観を作る大切な要素です。
いくら1人の料理代が数万円だとしても、高級食材で仕入れも高く鮮度を考え持ち越すこともできず、サービスを落とさないために人件費や維持費設備費は削れない。
1日の客数だって少ない。
地裁お店の場合、よっぽどの繁盛店でなければ1日2~3組なんてざらですよ。
儲けるだけだったら薄利多売のラーメン屋の方がよっぽど儲けることができます。

高級店は客単価を前提に経営しているため、水も含めて全体の価格設計に組み込まれています。
「水くらい無料にしろ」というのは、スーパーで「高級和牛を買ったんだから米はタダにしろ」と言うようなもの。
制度的に無理筋なことです。

「水が高い」と文句を言うのは、制度やコンセプトを理解せずに自分の常識を押し付けているだけです。
高級レストランでは高級グラスに入れらえた水も料理の一部であり、価格は体験の一環。
嫌なら選ばなければいい。
つまり――
『水代に文句を言う人は、そもそもその場にふさわしくない』
水に料金がかかるのは、単なる商売ではなく、
空気を守るための仕組みであり、注文は店への最低限の敬意でもあるのです。


店の格は「客層」で決まり、客層は「店の空気」を作る


クーポンを大量に配ったら客は増えた。でも空気が変わった。
安さを求める質の悪い客が増え、.昔からの上質な客が静かに離れていき、店は以前の輝きを失ってしまった——。
そして、クーポン目当てのお客は他の安いお店へと向かい、お店は潰れた。

これは実際にあった知人の店の話です。
高級店でもカフェでも同じ現象です。
上質な客は上質な空気を作り、また同じレベルの客を呼ぶ。
逆もまた然りです。

とあるミシュラン星付きの超高級店があるのですが、ひとり10万くらいが平均です。
確かに内装は豪華で味も決して悪くなく料理の創作性は芸術と呼べるほど。
ワインの種類も文句無しです。
しかし、海外の客が大半になり、半分ちかくのお客が外国人といった状況。
その海外のお客の多くはドレスコードがあるにもかかわらずTシャツやジーンズなどで来店する人が多く、普通なら入店できないところ普通に入れてしまっている状態です。
あまりに多すぎてすべてキャンセルできず泣く泣くなのか、お金儲け優先なのか。
その結果、今までの本物のセレブ客や業界のお客が、「そんな空間で高額な料金で食べる価値も感じない・料理だけでなく接客や周りの雰囲気も含めてこそ高額の料金を払ってでも食べる価値を感じる」とリピートしてくれなくなってしまいました。

空間というのはお店側だけでなくお客様も一体になって作り上げるもの。
そしてその空間に相応しい、価値を感じる人だけが集まります。

相応しくないお客はお店側も丁重に断るべきですし、それができないのであれば上質なお客は来なくなりそれなりのお店になるだけです。

客層は単なる「属性」ではなく、店の価値そのものなのです。


自分の服装が浮いたなら、それが“今の自分の位置”

高級店で自分の装いが浮いたと感じることがありますか?
だとしたら、それは
「まだそのステージに立つ準備ができていない」と自分が感じ取ったサインです。

逆に、スタッフや周囲の客の服装やマナーが低いと感じたら、
その店はあなたの求めるステージではないのかもしれません。

お店の接客や周りのお客の服装や雰囲気が同じくらいと感じたなら、そこがあなたの居心地のいいステージなのでしょう。

結局のところ、
人は自分と近いレベルの空気を心地よいと感じるものです。

はじめの「高級な水」の話に戻りますが、周りが正装しマナーを守り上質な雰囲気を作っているにもかかわらず、それに気づかない・関係ないと思うのであれば、そもそも空気を読むことすらできない人なのでしょう。
人それぞれ自由でいいと思う人もいるかもしれませんが、社会では人間関係に悩むことになりそうです。


店と客が協力して、あの“上質な空気”は生まれる

高級レストランとは、料理を提供する場所ではなく、
**店と客が協力して完成させる“空気の作品”**です。

  • 店は最高の準備をし

  • 客は服装・所作・気持ちを整え

  • その両方が揃って、初めて空間が完成する

昔はよくあった、とある粋な話。
『高級なワインをボトルで開けられたお客様が何分の一か残して帰られました。
新人ウェイターが「もったいないなぁ」とかたずけようとすると、先輩が「それは私たち従業員に“これを飲んで、君たちも勉強しなさい”と残してくれたんだよ。私たちの給料じゃ高級ワインなんて簡単に飲めないからね。」と』
そのようなお客様に支えられると、スタッフの知識も増えマナーを知り、同じレベルのお客様が増え、ますます素晴らしいお店となっていくでしょう。

高級旅館での“心づけ”だって同じようなモノ。
「これからお世話になります」という気持ちを込めて仲居さんなどにお渡しするものですが、仲居さんもよりいっそうお客様に気持ちよく滞在してほしいと思うでしょう。

TPOやマナーは「縛り」ではなく、
その作品の一員になるための合言葉なのです。


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