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産業都市ブルサ

イスタンブールやカッパドキアといった大観光地を歩き続けていると、観光客価格の高さに驚かされるのは当然のことだ。その後のルートも、エフェソスやパムッカレ、イズミルと観光地ばかりで、どうしても目は観光名所に引き寄せられる。そこで思い切って方向を変え、首都アンカラを目指すことにした。首都であれば観光地もあるが、政治の中心としての顔も持ち、地元の生活感を垣間見ることができるだろうと考えたのである。

アンカラ

観光地に比べると、物価は少し落ち着いているとはいえ、首都だけにまだまだ高値圏ではある。スーパーマーケットで食料品を調達してみたところ、日本と大差ない価格だった。高級そうな人気のジェラート店では、アイスクリームを二玉注文すると100トルコリラ、約350円。イスタンブールならその倍の値段。観光名所のアンカラ城やアタチュルク廟を巡るが、目にする観光客はトルコ人ばかりで、高くはあるが観光客価格も落ち着いた感が戻ってきた。

第四の都市ブルサ

次に目指したのは、ブルサというトルコ第四の都市である。最終目的地、イスタンブール・ヨーロッパ側のカラキョイへフェリーで渡るルートを取るには、アジア側の都市で一度バスを降りる必要がある。ブルサからゲブゼまでバスで移動し、さらにトルコ国鉄に乗り換えてユルギュツプへ向かうという、やや変則的なルートとなった。

しかし、ブルサという都市は思いもよらぬほど魅力的だった。人口約200万人の大都市でありながら、どこか懐かしい香りの残る街並みは、観光客で溢れる都市とはまったく異なる落ち着きを持っていた。
産業都市でありながら、日常の営みが街の景色に溶け込んでいる。石畳の道にモスクの尖塔が空にそびえ立つ。古い建物の間を縫うように歩くと、暮らしの匂いや人々の営みが、歴史の重みとともに街全体に漂っている。
ハマムでゆっくりと湯に浸かり、ロカンタで食事をとる。その一瞬が、夢に描いていたトルコの姿そのものだった。ロカンタのご飯も、この辺りではかなりお手頃で、店主の接客も気負わず温かく優しかった。トルコの料理はどこで食べても本当に美味しい。

キャラバンサライ

ホテルを出る前に調べていたところ、コザハンというキャラバンサライがホテルの近くにあるという。ここはこの街の小さな観光の拠点のようだ。

キャラバンサライ(Caravanserai)とは、かつてシルクロードや交易路沿いに建てられた、旅人や商人、キャラバンを泊める宿泊施設である。言わば中世トルコの宿場である。

独特の味わいのトルココーヒー

この街を離れる前に是非訪れてみたいと早朝から向かうことにした。トルココーヒーのカフェも数軒あり、開店を待ちながら周囲を散策していると、早くも観光客が中庭のテラスに集まり始めた。現在では宿泊施設としての機能はなく、代わりにシルク屋や土産物店が軒を連ね、当時の賑わいを想像させる独特の雰囲気を保っていた。
テラスでトルココーヒーを一杯飲んでブルサの街を後にした。

この街なら、もう一泊してもよかった。
観光地では味わえない、穏やかで素朴なトルコの表情を、ここブルサでようやく実感できた。

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