息子にいわれた衝撃の一言
子どもって、時にきつい一言を浴びせてくる。
強烈で、一発で親を打ちのめすような言葉。ストレートで嘘がない分、ズシンと胸に堪える。
私は、先日、小1の息子に、
「ママは幼稚園からやり直した方がいい。」
と言われた。
どういうことかというと。
夕飯後、息子の現地校の宿題を隣で手伝っていた。毎週、宿題として持ち帰ってくるプリントの綴りの中の一枚に取り掛かり、問題文を一緒に確認しながら読んでいた。
私は、その中に出てきた単語「deciduous」の意味がわからなくて、息子に「どういう意味?」と尋ねた。
息子は、えーと、と言いながら、
「冬になったら木の葉っぱが落ちることだよ。」
と英語で説明してくれた。
「ああ、落葉樹のことね。」とうなずく私の横で、息子は淡々と続けてこう言ったのだ。
「これは幼稚園で習う言葉だよ。ママは幼稚園からやり直した方がいい。」
クスっと笑うこともなく、悪そうにニヤリとすることもなく、真顔で。本気で言っているらしいことに、私は動揺した。
だが、ここで感情に任せて言い返すのも違うし(相手は6歳)、「いや、その単語一つだけを切り取って幼稚園からやり直せなんていう言い分はまったくもってフェアじゃないよ。ママだってこれまで一生懸命英語の勉強をしてきて、ほかに知っている単語はたくさんあって・・・」などとだらだら説明するのも違う。ていうか、死ぬほど恰好悪い。
そこで私は、
「じゃあ、君は日本語でなんていうか知ってる?」
と言い返した。ばしっと言ってやった。息子は、「あっ」という顔をして黙った。
「ママだって”deciduous”の意味することはわかるよ。ただそれを英語でこういうんだって知らなかっただけ。」
息子は、うなずいてそれ以上は何も言わなかった。息子なりになにかを察したらしかった。
後で調べてみたら、日本語のあるサイトでは、この単語は「大学以上の水準、英検準1級以上合格に備えるレベル」とされていた。恐ろしや、ネイティブは6歳でこれを学んでいる(まあ聞いたり見たりしてわかるのであって、書ける子はほとんどいないと思うけど、それでも。)。
それで思い出したけれど、息子から受けた最初の洗礼は「carnivore」(肉食動物)だった。恐竜好きだった息子は、3歳で既にこの言葉を知って使っていた。関連して、「herbivore」(草食動物)、「Omnivore」(雑食動物)も。
私は、それまでの英語学習の中で、これらの単語を文章読解や単語集などどこかで触れたことはあったのかもしれない。でも、自分の語彙として定着したのは、3歳の息子との会話からだった。
もう一つの例。息子が幼稚園に通っていた頃に、保護者のボランティアとして授業に参加したことがあった。その日は簡単な実験をする日で、先生が子どもたちに次に何が起こるかを予想させていた。そのとき、先生が使っていた言葉が「hypothesis」(仮説)。日本では大学レベルとされるこの単語を、ネイティブは5歳で学んでいる。
ほかにも、さすがネイティブだなと感心したのは、歌の歌詞をちゃんと聞き取っていることである。通常の英語での会話やニュースなどが聞き取れても、英語の歌詞を聞き取るのは勝手が違って難易度が高い。単語レベルで耳に入ってくるものはあるが、フレーズ全体、歌全体を聞き取るには、神経を耳に集中して聞かないとできないし、集中してもわからないことが多々ある。流し聞きで聞き取る、ということは私にはできない。
でも、子どもたちの耳には、自然にすっと入っているようで、数回聞けばすぐ歌えるようになる。2、3歳の頃からそうで、さすが!と驚いたことを覚えている。
しかし、英語ネイティブの子どもを持つということは、時にしんどく感じることもある。
自分が子どもの頃、「親は(あるいは大人は)なんでも知っている」というある種の尊敬の念を抱いていた。でも、たぶんだけど、息子は私にそういう感情を抱いていない。あるいは、私を日本語バージョンと英語バージョンに分けて、日本語バージョンの私はいろいろ知っているけれど、英語バージョンの私はそうでもない、みたいに思っているのではないかと思う。
幼稚園からやり直せ、か…。ため息混じりに、まだちょっと引きずっている。
