【映画感想文】『キャスト・アウェイ』~文句なしで感動に酔える映画
私の夫は、映画をよく観ている。でも、ただのテレビっ子ではない。古いものから最新のものまで、話題作からマイナーなものまで、あらゆるものを観ていて、驚くほどその内容をよく覚えている。監督や出演者のインタビューなどもチェックしているようで、裏話的なことも感心するほどよく知っている。
私にとって有難いのは、「今日はこんな感じの映画が観たいなあ」と具体的にリクエストすると、その日の気分に合う作品を選んでくれること。そして、その選択が絶妙にハマるのである。しかも、AIのように、回数を重ね、都度私からのフィードバックを得ることで、その精度は確実に上がってきている。
前置きが長くなってしまったが、今日は、そんな夫が選んでくれた映画の中から、特に印象深かった作品を、自分の備忘も兼ねてご紹介したい。いくつか書きたい映画がほかにもあるので、それは後日書くことにしようと思う。
ネタバレしないように気を付けたけれど、あらすじ部分に既にネタバレが含まれていますね…。悪しからず。
文句なしで感動したいときは、『キャスト・アウェイ』
世界宅配便“フェデックス”の敏腕システム・エンジニアであるチャックは世界中を駆け回り、システム上の問題解決に明け暮れていた。ある日、彼の乗った飛行機が事故を起こし無人島に漂流してしまう。過酷な環境の中4年が経過。ついに彼は無人島を脱出し、文明社会の現実へ戻る。だが、そこで彼を待っていたのは、更なる厳しいもうひとつの試練だった……。
(引用元:パラマウント・ピクチャーズのウェブサイト)
この映画は、鑑賞後の味わいが半端なかった。私にしては珍しく翌日にもう一度観て、同じところでもう一度感動して泣いてしまった。(アメリカでは英語音声、英語字幕で観るしかないので、一度観ただけではストーリーの細部をちらほら見逃したり聞き逃してしまうという事情もあります…。)
無人島に漂流してから、約4年の月日を経て島を脱出するまで、主人公のチャックを演じるトム・ハンクスの独壇場が続く。セリフもほとんどないのに、チャックの精神状態が極限に近付いていくことが観ている側にもひしひしと伝わってくる。これはトム・ハンクスだからなせる業と言わざるを得ない。
孤独と絶望の中で、チャックが心折れずに今を生き続けることができたのはなぜか。この問いに対する答えを見せることが、この映画のメッセージの一つであるように思う。
そして島から帰還した後の展開、長い孤独を耐え抜いたチャックが直面する現実。人生とはかくも不条理なものか。
その不条理を受け止め、気持ちを鎮めたチャックは、同僚であり友人のスタンに向かって独白する。この長いセリフは、この映画を形作る重要な内容を含んでいると思う。肝のところだけ引用する。
I know what I have to do now. I got to keep breathing, because tomorrow the sun will rise. Who knows what the tide could bring?(筆者仮訳:今やるべきことはわかっている。息をし続けることだ。明日になればまた陽は昇る。潮が何を運んでくるかわらないだろう?)
希望を捨てずにいれば、いつか何かが変わるきっかけに遭遇する。そこから新しい展開が生まれる。映画のラストシーン、荒野の十字路でチャックにある遭遇が訪れる。あの後、チャックはどうしたのかなあ、と思いながら余韻に浸る。
