OCD手術歴の馬の取捨選択について
一口馬主のカタログをめくっていて、手術歴の欄に「OCD除去手術」の文字。
そこで手が止まった経験、ありませんか。
僕もありました。結論から言うと
ほぼ気にしなくていいと考えています。
そもそもOCDって何?
OCD(離断性骨軟骨炎)は、ざっくり言うと「成長期の軟骨のつまずき」。
馬の骨は、先端に軟骨をつくって、それが固まって伸びていきます。でも急激に大きくなる若駒だと、この「固まる」工程がうまくいかず、軟骨のかけらが関節の中に残ってしまうことがある。これがOCDです。
原因は成長スピード、栄養、遺伝などが複合的に絡んだもの。育て方が悪かったとか、体質的に致命的とか、そういう話ではありません。
実はめちゃくちゃありふれている
サラブレッドの1歳馬を調べた豪州の研究では、
罹患率は約23%。4頭に1頭です。
社台ホースクリニックでは、飛節(後ろ脚の関節)のOCD手術だけで年間100件以上。しかも症状が出るのは全体の5〜25%程度で、多くは無症状のまま自然に消えていきます。
要するに、若駒の「よくある通過儀礼」に近い。
本当に大丈夫なのか?というところですが
普通に走ります。実名で見たほうが早いです。
・アスコリピチェーノ(左飛節OCD手術)→ 阪神JF・ヴィクトリアマイルとG1を2勝
・ヴェラアズール(左後球節の骨片摘出)→ ジャパンカップ制覇
・スキルヴィング(左飛節OCD手術)→ 青葉賞を圧勝
・クルーガー(OCD手術)→ マイラーズC勝ち、豪G1でウィンクスの2着
JRA自身も「G1勝ち馬の中にもOCDを持つ馬がたくさんいる」ことを、予後が良い根拠として挙げているくらいです。
さらに、クラブの手術歴公表馬63頭を集計した個人分析でも、成績の分布は一般的なクラブ馬とほぼ変わらなかったという結果が出ています。
術後は1週間ほど馬房で安静、術後6週〜2ヶ月で放牧再開、というのが飛節OCDの標準的な流れ。同期より数ヶ月遅れることはあります。
でもアスコリピチェーノは、それでも2歳6月にデビューして新潟2歳Sを勝ちました。遅れ=ダメ、ではない。
唯一、慎重になるべきケース
とはいえ全部が同じではありません。
・飛節(後ろ脚)……いちばん多くて、いちばん予後がいい。素直に前向きでOK
・膝(ストリフル)・肩……休養が長引きやすい。少し慎重に
・複数部位にまたがる/再手術している……ここは要注意
先ほどの63頭の集計でも、複数箇所に手術歴がある馬は1勝もできていませんでした。体質面に何か抱えている可能性があります。
まとめ
「OCD手術歴」だけで候補から外すのは、正直もったいない。
見るべきは部位と回数です。飛節1箇所なら、普通に血統・馬体・厩舎で判断していい。むしろ手術歴があると募集額が抑えられる傾向もあるので、狙い目になることすらあります。
現役の馬の外科医も言っています。「手術歴だけを見て除外するなんてもったいない」と。
OCDで人気を下げるなら、チャンスかもしれません。
