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【イタリア20州ワイン巡礼 #2 トスカーナ】オリーブの丘とサンジョヴェーゼ――“絵画みたいな景色”が育てる赤

1.オリーブの丘と赤い屋根――トスカーナを一言でいうと

イタリア中部、ティレニア海に面し、内陸はアペニン山脈まで
なだらかな丘が続く州、それがトスカーナです。
フィレンツェやシエナといった都市、糸杉の並木道、オリーブの木、
石造りの古い村――「絵画みたいなイタリア」のイメージの多くは、
実はトスカーナの風景そのものです。Italian Wine Central

ワインの世界では、サンジョヴェーゼを中心とした
赤ワインの名産地として知られます。
キアンティ、キアンティ・クラシコ、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ、
さらにはボルゲリのスーパータスカンなど、
世界的に名の通った DOCG / DOC が並びます。visittuscany.com+1

ざっくり言うと、トスカーナのワインはこんな性格です。

  • サンジョヴェーゼ:酸とタンニンで「縦軸」をつくる骨格派

  • 海沿いのカベルネ・メルロ:ボルゲリで育った“地中海ボルドー”

  • 白(ヴェルナッチャ、ヴェルメンティーノ):地中海の塩気とハーブ感が心地よい爽快系

「トマトの赤」「オリーブオイルの緑」「ステーキの焼き目の茶色」。
そんな色のある食卓をイメージしながら飲むと、
トスカーナのワインは一層しっくりきます。


2.「農民のワイン」から「スーパータスカン」へ――トスカーナのワイン史タイムライン

トスカーナのワイン史は、キアンティの歴史とスーパータスカンの反逆
いう二つの軸で見ると整理しやすくなります。

2-1.中世の都市国家:フィレンツェとシエナが育てたワイン文化

中世からルネサンス期にかけて、トスカーナはフィレンツェやシエナと
いった都市国家と商人、修道院によってワイン文化が支えられてきました。
特にキアンティ周辺は早くから「良質なワインの産地」として認識され
、税や輸出を通じて都市の経済と結びついていきます。consorziovinochianti.it+1

2-2.19世紀:リカーゾリ男爵と「キアンティ・レシピ」

19世紀には、リカーゾリ男爵による「キアンティの理想的ブレンド案」が
登場します。
サンジョヴェーゼに少量のカナイオーロや白ブドウ(トレッビアーノなど)を加えることで、香りと飲みやすさを両立させようとしたレシピです。consorziovinochianti.it

この頃から、キアンティは「農民のワイン」でありつつも、
都市の食卓を支える存在になっていきます。

2-3.戦後〜1960年代:藁巻き瓶と大量生産

戦後から1960年代にかけて、世界中のイタリアン・レストランのテーブルに乗ったのが、藁巻き瓶(フィアスコ型)のキアンティ。
ボトルの見た目もあって人気を博しましたが、
一方で「安価で素朴」なイメージが強まり、
品質面では揺らぎのある時代でもありました。

2-4.1970〜80年代:スーパータスカンの“反逆”

1970年代、いくつかの造り手が既存の DOC 規定に縛られない
ワイン造りを始めます。
サンジョヴェーゼにカベルネやメルロをブレンドしたり、
あるいは国際品種主体で高品質なワインを作った結果、
それらはルール上「テーブルワイン」としてしか名乗れませんでした。consorziovinochianti.it+1

しかし、そのクオリティは世界的に高く評価され、
やがてこれらは「スーパータスカン」と呼ばれるようになります。

2-5.1990年代:IGTトスカーナとボルゲリDOCの確立

1992年、イタリアに IGT(Indicazione Geografica Tipica)というカテゴリーが導入され、「トスカーナIGT」がスーパータスカンの受け皿となります。Vignaioli America+2Drink Italian+2

同時に、ボルゲリ DOC やボルゲリ・サッシカイアDOCなど、
海沿いエリアの格付けも整備され、「ボルゲリ=地中海ボルドー」という
イメージが定着していきます。Drink Italian+1

2-6.21世紀:クラシックDOCG+スーパータスカン+白・ロゼの多様化へ

現在、トスカーナには11のDOCGと多数のDOC/IGTが存在し、
Chianti・Chianti Classico・Brunello・Vino Nobile・Vernaccia などが
代表的な DOCG として位置づけられています。Web Food Culture+1

21世紀のトスカーナは、

  • キアンティ/ブルネッロ/ヴィーノ・ノビレといったクラシックDOCG

  • ボルゲリや IGT トスカーナに代表されるスーパータスカン

  • ヴェルナッチャやヴェルメンティーノといった白/ロゼの多様化

が並走する、多層的なワイン産地へと進化しています。


3.内陸の丘 vs 海沿いの風――トスカーナのテロワール地図

トスカーナを理解するうえで、
大きく「内陸の丘」と「海沿い」の二つの軸があります。

3-1.「これぞトスカーナ」という景色:ヴァル・ドルチャとキアンティの丘

ヴァル・ドルチャ(Val d’Orcia)は、
なだらかな丘と孤立したファームハウス、
糸杉の並木道が続く風景で知られ、世界遺産にも登録されています。
キャンティクラッシコ+2Italian Wine Central+2

キアンティやモンタルチーノの畑は、まさにこのような丘陵地に広がり、

  • 標高の高さ

  • 昼夜の寒暖差

  • 粘土・石灰・ガレストロ(粉砕した泥灰岩)などの土壌

によって、サンジョヴェーゼの酸・香り・タンニンの骨格が形作られます。Italian Wine Central+1

3-2.キアンティ&キアンティ・クラシコ:アペニン山系に抱かれた丘陵

キアンティの広域DOCGは、フィレンツェからシエナ、
さらにその周辺まで広くカバーする一方で、キアンティ・クラシコDOCGはその“芯”にあたる歴史的エリア(フィレンツェとシエナの間)
だけを指します。Dalla Terra+1

標高や土壌構成の違いから、キアンティ・クラシコの方が、

  • 昼夜の寒暖差が大きく

  • サンジョヴェーゼの酸と香りがはっきり出やすい

とされることが多く、近年は品質面で高い評価を受けています。Food & Wine

3-3.モンタルチーノ&モンテプルチアーノ:南トスカーナの“濃さ”

モンタルチーノはトスカーナ南部に位置し、
より暖かく乾燥した気候と多様な土壌を背景に、
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ DOCG を生み出しています。
サンジョヴェーゼ・グロッソ100%、長い熟成義務を伴う濃密な赤です。italysfinestwines.it+1

モンテプルチアーノでは、サンジョヴェーゼ(プルニョーロ・ジェンティーレ)主体のヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ DOCGが造られ、ブルネッロほどの力強さよりも「ふくよかさとバランス」が特徴になります。ウィキペディア+1

3-4.ボルゲリ&マレンマ:海風と砂利が育てる“地中海ボルドー”

ティレニア海沿岸のボルゲリやマレンマでは、
海からの風と温暖な地中海性気候、砂利や砂質を含む水はけの良い土壌が、カベルネ・メルロ・シラーなど国際品種の成熟を助けています。
キャンティクラッシコ+2Italian Wine Central+2

ここから生まれるスーパータスカンは、

  • 熟した黒い果実

  • ハーブや甘いスパイス

  • しなやかなタンニン

といった要素を備えた、“海風を感じるボルドー系赤”として世界的な地位を確立しました。


4.サンジョヴェーゼが主役、でも脇役も多彩――トスカーナのブドウとスタイル

4-1.サンジョヴェーゼ:縦軸をつくる骨格品種

サンジョヴェーゼは、トスカーナの赤ワインを語るうえで欠かせない主役品種です。

  • 香り:赤いチェリー、スミレ、ドライハーブ、土、タバコ

  • 味わい:高めの酸、しっかりしたタンニン、ミディアム〜フルボディ

単体でもブレンドでも、料理と合わせたときに本領を発揮する
「ご飯の相棒」タイプ

キアンティ、キアンティ・クラシコ、ブルネッロ、
ヴィーノ・ノビレなど、主要DOCGの多くがサンジョヴェーゼ主体で造られています。italysfinestwines.it+1


4-2.キアンティ vs キアンティ・クラシコ――何がどう違う?

ここで一度、「キアンティ」と「キアンティ・クラシコ」の違いを整理しておきます。

① エリア(どこで造られるか)

  • キアンティ DOCG

    • トスカーナ広域にまたがる大きな産地。             フィレンツェ〜シエナ周辺に加え、アレッツォやピサ寄りまで   サブゾーンが広がる。Dalla Terra+1

  • キアンティ・クラシコ DOCG

    • 歴史的な「キアンティの芯」にあたるエリアのみ        (フィレンツェとシエナの間)。より限定された丘陵地。     Italian Wine Central+1

② ブドウ品種と配合ルール

  • キアンティ DOCG

    • サンジョヴェーゼ 最低70% が義務。               残りはカナイオーロやカベルネ、メルロなどをブレンド可能。wsetglobal.com+2Drink Italian+2

    • サブゾーンによって最低比率や熟成ルールが少しずつ異なります。

  • キアンティ・クラシコ DOCG

    • サンジョヴェーゼ 80〜100%が義務。残り最大20%までトスカーナで認められた赤ブドウ(カナイオーロ、カラーリノ、        マルヴァジア・ネーラ、メルロ、カベルネなど)をブレンド可能。 キャンティクラッシコ+2Carus Vini+2

    • 白ブドウは認められず、「サンジョヴェーゼ主役の赤」に     フォーカスした規定になっています。

③ 熟成区分とスタイル

  • キアンティ DOCG

    • 一般的な「キアンティ」は短期熟成でリリースされる、      フレッシュ寄りのスタイル。

    • 「キアンティ・リゼルヴァ」は最低2年間の熟成義務があり、    より落ち着いた味わいになります。Dalla Terra+1

  • キアンティ・クラシコ DOCG

    • アナータ(Annata):最低12か月熟成。フレッシュ〜       ミディアムレンジのクラシックなキアンティ・クラシコ。     キャンティクラッシコ+1

    • リゼルヴァ(Riserva):最低24か月熟成。骨格を保ちながら、   複雑さと丸みが増すスタイル。キャンティクラッシコ+2Carus Vini+2

    • グラン・セレツィオーネ(Gran Selezione)

      • エステート(自社畑)ブドウのみ使用

      • 最低30か月熟成

      • 現在はサンジョヴェーゼ最低80%、2027ヴィンテージからは   最低90%サンジョヴェーゼに引き上げ予定

      • ラベルには、11の UGA(追加地理単位=地区名)を表示でき、 テロワールの差別化がより強調される
        といった、最上級カテゴリーです。             Food & Wine+3Italian Wine Central+3キアンティ・クラシコガイド+3

④ 味わいイメージのざっくり比較

  • キアンティ DOCG:

    • 幅広いスタイルがあり、カジュアル〜中価格帯まで守備範囲が広い

    • 「トマトソースのパスタ」「ピザ」「ラザニア」など、      日常のイタリアンに合わせやすい

  • キアンティ・クラシコ DOCG:

    • 標高や土壌の影響で、酸と香りの輪郭がはっきりしたものが多く、 近年は品質対価格のバリューゾーンとして再評価が進んでいる。 Food & Wine

    • グラン・セレツィオーネは、「ブルネッロほど重くはないが、   テロワール表現にフォーカスしたトップレンジ」という立ち位置。

まとめると

広くてスタイルも幅広いのが「キアンティ」

歴史的な芯のエリアで、サンジョヴェーゼにフォーカスしたのが「キアンティ・クラシコ」

というイメージで捉えておくと、ワインリストでも選びやすくなります。


4-3.ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ:サンジョヴェーゼ100%の“濃縮版”

ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ DOCG は、
サンジョヴェーゼ・グロッソ(ブルネッロ)100%で造られる、
トスカーナのフラッグシップ赤ワインのひとつです。
italysfinestwines.it+1

長期熟成の義務(通常、リリースまで5年以上)があり、黒いチェリー、
プラム、革、タバコ、スパイスなど、奥行きのある香りと
筋肉質なタンニンを備えます。
熟成に時間が必要な一方で、「開いてきたブルネッロ」の感じは、
トスカーナ赤のひとつの到達点とも言えます。

4-4.ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ:貴族的なバランス型

ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ DOCG は、
サンジョヴェーゼ(プルニョーロ・ジェンティーレ)主体で造られ、
ブルネッロよりも一段柔らかく、ふくよかなスタイルが多いワインです。
ウィキペディア+1

スミレや赤い果実、ほのかなスパイスの香りに、しなやかなタンニン。
「重厚な一本」よりも、「食卓と会話に溶け込む上質な赤」という
ポジションで覚えておくと使いやすいワインです。

4-5.スーパータスカン:ルールの外側から生まれたトップレンジ

スーパータスカンは、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラーなど
国際品種、あるいはそれらとサンジョヴェーゼのブレンドで造られる、
高品質な赤ワイン群です。

もともとは DOC 規定を外れるため「テーブルワイン」としてしか
表記できませんでしたが、
1990年代に IGT トスカーナやボルゲリDOCが整備されることで、
現在のポジションに落ち着きました。
キアンティ・クラシコガイド+3Vignaioli America+3Drink Italian+3

凝縮感のある黒系果実、カカオ、甘いスパイス、きれいな樽香。
「ボルドーが地中海の海風を浴びたらこうなるかもしれない」と
想像すると、スタイルのイメージが掴みやすいと思います。

4-6.白とロゼ:ヴェルナッチャ、ヴェルメンティーノ、トレッビアーノ

赤ワインの影に隠れがちですが、トスカーナの白も見逃せません。

  • ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ DOCG

    • トスカーナの丘の町サン・ジミニャーノで造られる、       歴史ある白ワイン。

    • 1966年にイタリア初の DOC 認定を受け、1993年に       DOCG に昇格した“白の女王”的存在です。            ウィキペディア+2Drink Italian+2

  • ヴェルメンティーノ(Vermentino)

    • トスカーナ、リグーリア、サルデーニャなど地中海沿岸で栽培される白ブドウ。

    • 柑橘、白い花、ハーブ、海風を思わせる塩味とミネラル感が特徴で、魚介料理と好相性です。principecorsini.com+2Food & Wine+2

  • トレッビアーノ(Trebbiano)

    • イタリア全土で広く栽培されている白ブドウ。かつてはシンプルな ブレンド用のイメージが強かったものの、近年は畑と醸造を選べば、クリーンで食事に寄り添う白として見直されつつあります。visittuscany.com+1

4-7.ヴィン・サント:干しブドウが生む“祈りのデザートワイン”

ヴィン・サント(Vin Santo)は、収穫したブドウを乾燥させ、
濃縮した果汁を小樽で長期熟成させる、オキシダティヴな甘口ワインです。consorziovinochianti.it+1

アーモンド、キャラメル、蜂蜜、ドライフルーツの香り。
カントゥッチ(アーモンドビスコッティ)を浸しながら飲むのが
トスカーナ流。
「食後のもう一章」を読ませてくれるような、静かなデザートワインです。


5.リボッリータとビステッカ――トスカーナのテーブルとワイン

5-1.ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ × キアンティ・クラシコ or ボルゲリ

厚切り Tボーンステーキを炭火で焼き上げた
ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ。
外は香ばしく、中はレアに近いジューシーさを残したこの料理には、

  • サンジョヴェーゼの酸とタンニンがしっかりしたキアンティ・クラシコ

  • あるいはカベルネ主体のボルゲリ・ロッソ/スーパータスカン

がよく合います。
肉の脂と旨みに、酸が切り込み、タンニンが「噛み応え」を
支えてくれるペアリングです。

5-2.パッパルデッレ・アル・チンギアーレ × ブルネッロ/ヴィーノ・ノビレ

猪肉のラグーを太いパスタに絡めたパッパルデッレ・アル・チンギアーレ。
野性味とハーブ感のあるソースには、

  • 濃密でスパイシーなブルネッロ・ディ・モンタルチーノ

  • ふくよかなヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ

のような、南トスカーナのサンジョヴェーゼ上級クラスが似合います。

5-3.リボッリータ/パンツァネッラ × 素朴なキアンティ

一度煮た野菜と豆のスープを翌日また煮込むリボッリータ、
パンを使ったサラダのパンツァネッラ。
いずれも「残りものを活かす」農民料理らしい一皿です。

こうした素朴な料理には、樽香控えめで果実味と酸が素直な
ベーシックなキアンティがちょうどいい。
庭のテーブルで昼下がりに開けたくなるような、軽やかなペアリングです。

5-4.前菜盛り合わせ × キアンティ or ヴェルナッチャ

レバーペーストのクロスティーニ、サラミ、プロシュット、
ペコリーノ・トスカーノなどを盛り合わせた前菜には、

  • 軽めのキアンティ(赤)

  • 柑橘とミネラルを持つヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ(白)

のどちらでも対応できます。
「生ハムメインなら白寄り」「レバーやサラミが多いなら赤寄り」と
覚えておくと、現場でも使いやすいです。

5-5.カントゥッチ × ヴィン・サント

食後の締めには、やはりカントゥッチとヴィン・サント。
ビスコッティをヴィン・サントに浸しながら少しずつかじると、
ナッツとワインの香りが重なり、食後の時間が
もう一段ゆるやかになります。


6.“キアンティだけじゃないトスカーナ”――21世紀の変化とトレンド

6-1.クラシックDOCGのアップグレード

キアンティ・クラシコ、ブルネッロ、ヴィーノ・ノビレといった
クラシックDOCGは、
熟成規定の見直しや畑選別、グラン・セレツィオーネなどの
上位カテゴリー創設を通じて、質的なアップグレードが続いています。Vinodelice+2italysfinestwines.it+2

特にキアンティ・クラシコでは、サンジョヴェーゼ比率の引き上げや
UGA(地区名)の導入を通じて、
「単なる“キアンティの一種”ではなく、独自のテロワールを持つ産地」
としての発信を強めています。フィナンシャル・タイムズ+1

6-2.ボルゲリ&マレンマ:海沿い赤とスーパータスカンの成熟期

ボルゲリやマレンマのワインは、スーパータスカンのブームを経て、
現在は「高品質な地中海赤ワイン」として安定した地位を獲得しています。Drink Italian+2Out of the Box Florence+2

  • カベルネやメルロのフラッグシップ

  • 価格を抑えたボルゲリ・ロッソ

  • ヴェルメンティーノ主体の白

など、レンジの広さも魅力です。

6-3.トスカーナ白の再評価:ヴェルナッチャとヴェルメンティーノ

赤に比べると存在感が薄かったトスカーナの白ワインですが、

  • 歴史的 DOCG 白であるヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノDrink Italian+1

  • 海沿いのヴェルメンティーノ

などが、近年は専門誌やガイドでも評価されるようになり、
「軽くて合わせやすい地中海白」の代表格になりつつあります。
Food & Wine+2principecorsini.com+2

6-4.ワインツーリズム:ヴァル・ドルチャ&モンタルチーノが“目的地”に

世界遺産ヴァル・ドルチャの景観とモンタルチーノのブルネッロは、
「行って飲むワイン」の代表的な組み合わせになっています。
キャンティクラッシコ+1

アグリツーリズモ(農家民宿)やワイナリーツアーと絡めた
スロー・トラベルは、トスカーナの新しい観光の柱としても成長中です。

6-5.サステナビリティとオーガニック

トスカーナでも、有機栽培やビオディナミ、生物多様性を意識した畑づくりが広がっています。
特にキアンティ・クラシコでは、サステナブル認証を取得する生産者が増え、「環境負荷の少ない高品質ワイン産地」としてのイメージも強めています。Italian Wine Central+2Vinodelice+2


7.日本の家飲み・飲食店・ECで、トスカーナをどう使うか

7-1.家飲み:平日“キアンティ”、週末“ブルネッロ or ボルゲリ”

平日ライン

  • ベーシックなキアンティ

  • サンジョヴェーゼ主体のトスカーナIGT(樽控えめ)

を、パスタ、ラザニア、ミートボール、ハンバーグ、トマト煮込みなどと合わせる。
「酸がある赤で、トマトと肉をまとめる」という役割をイメージすると選びやすいです。

週末・ご褒美ライン

  • ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ

  • ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ

  • スーパータスカン/ボルゲリ・ロッソ

を、ステーキ、ローストビーフ、ラムチョップ、すき焼きなどの「メイン料理」と合わせる。
「今日はゆっくり肉とワインを楽しみたい」という日に開けたいゾーンです。

7-2.飲食店:コースの“赤の背骨”として

イタリアンやビストロでは、コースの中でトスカーナ赤を「背骨」に据える設計がしやすいです。

  • 前菜:ヴェルナッチャ or ヴェルメンティーノ

  • パスタ:キアンティ or キアンティ・クラシコ

  • メイン:ブルネッロ or ボルゲリ

という「トスカーナしばりコース」は、それだけでストーリー性のある提案になります。

和食寄りのメニューでも、

  • ハンバーグ、ビーフシチュー、煮込みハンバーグ

  • トマトを使った洋食系

  • すき焼き、すき煮、照り焼き系の肉料理

など、「甘辛+旨み+脂」がある料理にはサンジョヴェーゼ系赤がフィットしやすく、
「キアンティ=トマト」「ブルネッロ=ステーキ」だけではない使いどころが見えてきます。

7-3.EC:コピーライティング用“タグ”としてのトスカーナ

ECの商品ページや特集記事では、州やDOCGの物語がそのままコピーの素材になります。

例:

  • 「トマトソースには、やっぱりこの一杯――キアンティ・クラシコDOCG」

  • 「“フィレンツェのステーキ”のために生まれた赤。ビステッカ専用キアンティ」

  • 「地中海の風を運ぶボルゲリ・ロッソ。カベルネと海風のマリアージュ」

  • 「カントゥッチと一緒に、晩ご飯の“あと一章”。ヴィン・サント」

この「20州巡礼」シリーズでは、各州でこうしたコピーに転用できるタグラインを毎回少しずつ拾っていくと、
noteの記事がそのまま EC やメニュー説明の下地になっていきます。


8.今日出てきたトスカーナ・キーワードの、ちいさな用語集

最後に、この記事に出てきた用語をコンパクトにまとめておきます。

  • サンジョヴェーゼ(Sangiovese)
    トスカーナを代表する赤ブドウ。赤いチェリーと高い酸、しっかりしたタンニンが特徴で、食事と合わせて真価を発揮する。

  • キアンティ(Chianti DOCG)
    トスカーナ広域にまたがる赤ワインの産地。サンジョヴェーゼ70%以上に、他品種をブレンド可能。スタイルは素朴な日常ワインからリゼルヴァまで幅広い。wsetglobal.com+2Drink Italian+2

  • キアンティ・クラシコ(Chianti Classico DOCG)
    フィレンツェ〜シエナ間の歴史的キアンティ地区のみを対象とするDOCG。サンジョヴェーゼ80〜100%で造られ、酸と香りの輪郭がはっきりしたワインが多い。アナータ/リゼルヴァ/グラン・セレツィオーネの階層がある。Food & Wine+3キャンティクラッシコ+3Carus Vini+3

  • グラン・セレツィオーネ(Gran Selezione)
    キアンティ・クラシコの最上級カテゴリー。自社畑ブドウのみ、最低30か月熟成、サンジョヴェーゼ主体(将来的には90%以上)などの条件を持ち、UGA(地区名)表記でテロワールを強調する。Food & Wine+3Italian Wine Central+3キアンティ・クラシコガイド+3

  • ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino DOCG)
    南トスカーナ・モンタルチーノのサンジョヴェーゼ100%赤。長期熟成義務を持つ、濃密でパワフルなワイン。italysfinestwines.it+1

  • ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ(Vino Nobile di Montepulciano DOCG)
    モンテプルチアーノのサンジョヴェーゼ主体赤。ふくよかでバランスの良いスタイル。

  • スーパータスカン(Super Tuscan)
    従来の DOC 規定に収まらない、高品質なトスカーナ赤の総称。カベルネ・メルロ・シラーやサンジョヴェーゼとのブレンドなどで造られ、現在は IGT トスカーナやボルゲリDOCなどの枠組みの中でも展開されている。キアンティ・クラシコガイド+3Vignaioli America+3Drink Italian+3

  • ボルゲリ(Bolgheri DOC)
    ティレニア海沿岸の産地。カベルネやメルロ主体の赤が有名で、「地中海ボルドー」とも呼ばれる。Drink Italian+1

  • ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ(Vernaccia di San Gimignano DOCG)
    サン・ジミニャーノで造られる歴史ある白ワイン。1966年にイタリア初の DOC 認定を受け、1993年に DOCG に昇格した。柑橘とミネラル感、ほのかなアーモンドの余韻が特徴。ウィキペディア+2Drink Italian+2

  • ヴェルメンティーノ(Vermentino)
    トスカーナ、リグーリア、サルデーニャなどの海沿いで栽培される白ブドウ。柑橘や白い花、ハーブ、塩味のニュアンスを持ち、魚介と好相性。principecorsini.com+2Food & Wine+2

  • ヴィン・サント(Vin Santo)
    干しブドウから造るトスカーナの伝統的甘口ワイン。オキシダティヴな熟成により、ナッツやドライフルーツの香りを持つ。カントゥッチと合わせるのが定番。

  • ヴァル・ドルチャ(Val d’Orcia)
    世界遺産に登録された南トスカーナの景観地域。滑らかな丘陵と糸杉並木が特徴で、周辺にはモンタルチーノやモンテプルチアーノなどの産地が広がる。



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