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【週刊】世界のワイントレンド2026年3月第4週ーーオーストラリアが低アルコールを作る時代になっている

今週のワインニュースを見ていると、ひとつの違和感が残ります。

オーストラリアが低アルコールワインを作っている。

これまでのイメージとは、少し違う方向です。

ただ、他の地域の動きを見ていくと、この違和感は一つの流れとして繋がってきます。



スペインでは、軽い赤が増えている

スペインでは、アルコール度数11〜12%台の軽い赤ワインの輸出が増加しています。ガルナッチャを中心に、早摘み・低抽出でタンニンを抑えたスタイルが広がり、北欧やアメリカ市場で需要が伸びています。冷やして飲む“チルレッド”として扱われることも増えています。

濃い赤ではなく、軽くて冷やして飲める赤ワインが求められている状況です。日常的に飲むワインとして「軽さ」や「飲み疲れしないこと」が重視され、さらに温暖化の影響でブドウの成熟が進みやすく、従来通りに造るとアルコールが高くなりやすくなっています。そのため、収穫タイミングや抽出を調整したスタイルが選ばれています。

スペインはしっかりした赤を造れる国ですが、あえて軽くしている。
軽くなったというより、重くなりすぎる前提の中でバランスを取りにいっているようにも見えます。


フランスでは、ワインからアルコールを抜いている

フランスではノンアルコールワイン市場が拡大しています。通常のワインを造った後、減圧蒸留や逆浸透膜でアルコールを除去し、0.0〜0.5%に設計する製品が増えています。都市部を中心に需要が伸びています。

ワインは飲みたいが、アルコールは不要という選択が増えています。健康志向の高まりや、平日と週末で飲酒を分けるライフスタイルの変化が背景にあり、外食や家庭でも「飲まない選択肢」が求められるようになっています。

ワインの国であるフランスでアルコールを抜くという動きは、一見矛盾しているようにも見えます。
ただ、ワインの価値が“酔うこと”から少し離れ始めているようにも感じられます。


アメリカでは、ワインの“使い分け”が進んでいる

アメリカでは、$20以上のプレミアムワインの消費が鈍化しています。一方で$10〜15帯のワインは安定しており、日常用と特別用の消費が分かれてきています。生産者も飲みやすい価格帯の商品を強化しています。

高級ワインは“毎日飲むもの”ではなくなりつつあります。生活コストの上昇により日常消費では価格への意識が強くなり、飲酒頻度の変化とともに「普段」と「特別」の使い分けが明確になっています。

重いワインが減っているというより、
重いワインを開けるタイミングが選ばれるようになっているだけに見えます。


イタリアでは、“昔の造り”が外に広がっている

イタリアではオレンジワインの輸出が伸びています。白ブドウを長期間果皮と接触させることでタンニンと構造を持たせたスタイルで、アンフォラや無濾過など伝統的手法を用いる生産者が多く見られます。

昔ながらの造りのワインが、今の市場で評価されています。ナチュラルワインの流れや、他と違う個性を求める消費が背景にあり、均一な味わいとは異なる方向性が差別化として機能しています。

新しいカテゴリに見えるものが、実は過去の手法であるというのは興味深いところです。


そして、オーストラリア

オーストラリアでは、10〜11%台の低アルコールワインの開発が進んでいます。気候変動によりブドウの糖度が上がりやすく、従来の収穫タイミングではアルコールが高くなりやすいため、早摘みや発酵設計を変えたスタイルが増えています。

強くなりやすい環境の中で、軽いスタイルを別に作っている動きです。気温上昇によってブドウの成熟スピードが上がり、従来のバランスが取りにくくなっていることが背景にあります。

例えば、南オーストラリアの比較的冷涼なエリアでは、早摘みのシラーズを使ったアルコール11%前後のワインがすでに出てきています。抽出は軽めで、黒系果実というより赤系果実寄りのニュアンス。タンニンも穏やかで、やや冷やして飲む前提の設計です。

オーストラリアはパワフルなシラーズのイメージが強いですが、
今は“強くなりすぎる前提の中で設計する国”になっているようにも見えます。

今週の1本

Jauma Tikka The Cosmic Cat(南オーストラリア)

この流れを実際のワインで感じるなら、この1本が分かりやすいです。

南オーストラリアのナチュラル系生産者によるワインで、
Grenache / Shirazのブレンド(比率非公表)。アルコールは約11〜12%台です。

一般的なオーストラリアのシラーズに見られるような濃さや重さはなく、抽出は穏やか。黒系果実よりも赤系果実寄りで、スパイスのニュアンスはありつつも軽やかにまとまっています。少し冷やして飲む前提で設計されているスタイルです。

いわゆる「パワフルなオーストラリア」とは違う方向ですが、
👉 “強くなりすぎる環境の中で、別の設計を選んでいる”ことが体感できるワインです。


今週のまとめ

今週見えてきたのは、「軽さ」がトレンドというより、

そのままにしておくと
重くなりすぎる環境や、
飲み方の変化が先にあり、

その結果としてワインのスタイルが変わってきている、という流れです。


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