Diageology 元ディアジオ・ジャパン株式会社社員の回顧録57

回顧録57
 
皆様こんにちは、元ディアジオ・ジャパン社社員による回顧録の第57回目です。
 ディアジオ社としての業績を振り返る43回目になります。唐突ですが、私が初めて飲みましたボジョレー・ヌーヴォー(フランスのボジョレー地区でその年に収穫したブドウを使って造られる新酒のワイン)は、藤沢さいか屋さんの酒売り場でアルバイトをしている時でした。その頃の酒売り場はほぼ毎週何かのお酒の試飲販売をしておりまして、専属の試飲担当の方もいらっしゃいました。その方はマネキンさんと言って、マネキン派遣会社から派遣されている販売員の方でしたので、お酒の知識が豊富だったかは分かりませんが、売るほうはプロフェッショナルな方でした。
 で、その酒売り場でアルバイトをしていた私はその試飲担当のおばさん(失礼!何せ20代だったものですから)にしょっちゅう試飲をさせてもらっていたのです。いつもすりすりすり寄っていき、試飲を頂戴していたのです。そんなある11月中旬のこと、ボジョレー・ヌーヴォーというワインがたくさん並べられているではありませんか。いや、販売準備は私たちがしたのですね、11月の第3木曜日が解禁日ですので、解禁早々に始めたかどうかは覚えておりませんが、その入荷した日の次の木曜日から試飲販売コーナーで売るべく火曜日に準備するのです。その当時は百貨店は大体水曜日が定休日でしたので、火曜日閉店後に準備し、木曜日から販売開始が当たり前でした。
 その頃まではワインなぞそれ程おいしいと思ったことはなく、ほとんど知識もありませんでしたので、日ごろから飲むお酒という認識もなく、只々ビールばかり飲んでいる日々でした。飲んだことがあるワインと言いましても、赤玉ポートワインや、その頃販売されていました赤玉パンチ(これはスパークリングで甘くておいしかったです)くらいで、たまたま父親が買ってきたワインも飲みましたが、ただお酒だからと飲んだだけでした。
 しかし、このボジョレー・ヌーヴォーを試飲させていただいてからはワインへの認識が180度変わりました。何と飲みやすくフルーティなのでしょうか、変な癖もなく渋みも苦みもなく香りがよく、ぐびぐび飲めてしまうお酒ではありませんか。ワインにつきましてはその後お酒関係の会社に従事しましたので、かなり勉強はしましたし、渋みや酸味のバランスの取れたヴィンテージの良い赤ワインを探すのが趣味みたいになっていったのですが、ボジョレー・ヌーヴォーがワインの道を開いてくれたと言っても過言ではありません。今では蘊蓄を語りながら飲む方やTV番組を横目に、何言ってんだかという体で食事と合わせた泡物を選んで飲んでます。ビール感覚です。ワインはおいしいものさえ選べばどう飲んでもおいしいですし、どういう雰囲気で飲むかによっては普通のワインもおいしくなります。では何卒今後とも宜しくお願い申し上げます。

ディアジオ社としての出発㊺
359、ポート・エレン蒸留所が40年ぶりに営業再開
 かつては沈黙していたポート・エレンは、2024年3月、40年ぶりに正式に営業を再開した後、もう沈黙はありません。ディアジオ社は、アイラ島に本拠を置く蒸留所の修復に1億8,500万ポンド(2億3,500万米ドル)を投じ、ブローラの修復とともにグループのスコッチウイスキー訪問体験への投資を行いました。
 新しい蒸留所は、ガラス張りの蒸留室の建物からは遮るもののない視界を確保しており、アイラ島の海岸線や湾の向こうのカレイグ・ファダ灯台まで見渡すことができます。蒸留室には2組の銅製ポット・スチルが設置されています。1組目は「フェニックス・スチル(Phoenix Stills)」と呼ばれ、ポート・エレンのオリジナル蒸留器の正確なレプリカです。この蒸留器は、同ブランドの特徴であるスモーキーなスタイルのスピリッツを蒸留します。2組目は「エクスペリメンタル・スチル(Experimental Stills)」と呼ばれ、スコッチウイスキーにおいてかつてない蒸留の精度を追求します。エクスペリメンタル・スチルは、蒸留所で一般的に使用されている3つの部分から成るスピリッツ・セーフとは異なり、10個の部分から成るスピリッツ・セーフに接続されています。
 さらに、ポート・エレンには専用の研究所と常勤の実験技術者が常駐しており、新たに生み出される実験的なウイスキーを分析し、カタログ化します。ポート・エレンのマスター・ブレンダー、エイミー・モリソン(Aimée Morrison)は次のように付け加えました。「ポート・エレンは、限界に挑戦する蒸溜所として位置づけられるでしょう。敷地内の研究所では、科学的な研究に深く取り組む機会を提供し、このアイラ・モルトを深く理解することができます。樽ごとに異なるニュアンスを持つ風味が、ポート・エレンの深淵を漂う煙とともにどのように輝きを放つのか、より深く理解できるようになります。」
 私が担当しておりました相模大野のバーのScrabsterの川澄オーナーには、ポート・エレンがもうすぐできます、と情報共有はしていたのですが、コロナ禍のせいで随分完成が伸びてしまっていたのです。そんな中アイラ島に蒸留所見学に行かれたオーナーからは、元の蒸留所は精麦所として残されてはいたのですが、そことは全く違うところに建設していましたよ、すでに蒸留器も入ってました、と教えていただきました。カリラ蒸留所のビジター・センターは立派なものが出来上がってました、とも。

360、ベイリーズのアルミ・ボトルがデビュー
 2024年3月、ディアジオ社は、持続可能性計画の一環として、ベイリーズ・オリジナル・アイリッシュクリームのアルミニウム・ボトル30,000本を発売する予定です。新しいボトルの重さは85gで、従来の700mlガラス・ボトル(454グラム)の5分の1の軽さです。ボトルネックには4gのプラスチック・ネジが含まれており、キャップには2.5gのバージン・アルミニウムが使用されています。このボトルは、1月にEcoAct(シュナイダー・エレクトリック社のSEアドバイザリー・サービスに名称を変更。サステナビリティ、エネルギー、デジタル化といった最も複雑な課題を解決するための、より深い専門知識、幅広い能力、そしてより統合的なアプローチを提供する組織)による製品二酸化炭素排出量分析に合格しました。
 このボトルは今月、ハイネマン社のロイヤリティ・プログラム・プラットフォーム(会員の方に割引、ロイヤリティ・ポイント、誕生日プレゼント、様々な店舗での提携パートナー限定特典など、様々な特典を提供する販売会社)でデビューします。その後、4月からアムステルダム・スキポール、フランクフルト、コペンハーゲンの国際空港で購入可能となります。5月には、ドイツの小売店REWE社が期間限定でこのボトルを販売します。

361、ユナイテッド・スピリッツ社、インド産アガベ・スピリッツに投資
 2024年4月、ディアジオ社傘下のユナイテッド・スピリッツ社は、インド産アガベ・スピリッツ・ブランドのマヤ・ピストラ(Maya Pistola)を製造するインスパイアード・ホスピタリティ社(Inspired Hospitality)の少数株式を取得しました。ユナイテッド・スピリッツ社は今回の投資により、インド産のプレミアム・クラフト市場における事業強化を目指しており、この市場は地元消費者の間で好調な伸びを見せています。
 マヤ・ピストラ・アガベプラは、ラクシャイ・ダリワルとラディカ・ダリワル(Rakshay Dhariwal and Radhika Dhariwal)によって2021年に設立されました。2人は食品・飲料業界での経験を活かし、インド産アガベ・スピリッツを開発しました。この100%アガベ・スピリッツは、インドのデカン高原に生育する8~10年ものの野生のアガベ・アメリカーナ(agave americana)から作られています。この地の豊かな火山性土壌は、青緑色のアガベの生育に最適な環境と言われています。この蒸留酒は、ゴアの海岸で、未使用のアメリカン・ホワイトオーク樽、バーボン樽、または赤ワイン樽で熟成されます。
 マヤ・ピストラの製品は、ブランドの売上の90%を占めるインド以外では、米国、シンガポール、タイでも販売されています。マヤ・ピストラの製品ラインには、ホベン、ローザ、レポサド、アネホ、エクストラ・アネホ(Joven, Rosa, Reposado, Añejo and Extra Añejo)があります。このブランドのアネホは、Spring Blind Tasting 2023で最高位のマスターメダルを獲得しました。2024年のコンテストでは、金賞と銀賞を複数受賞しました。

362、シンディ・クロフォードがカーサミーガス・ハラペーニョ・テキーラを開発
 2024年4月、スーパーモデルのシンディ・クロフォードと、ジョージ・クルーニーとランディ・ガーバー、マイク・メルドマンのカーサミーゴスの創業者たちが、ハラペーニョ風味のテキーラのカーサミーガスを開発しました。この超高級テキーラのカーサミーガスは、ブルー・ウェーバー・アガベを100%使用したカーサミーゴス・ブランコ・テキーラを原料としています。ハラペーニョの自然な風味が、スパイシーな刺激を生み出しています。ガーバーの妻であるクロフォードは、カーサミーゴスが大好きなそうですが、楽しい夜には、細くてスパイシーなカーサミーゴス・マルガリータが定番だそうです。カーサミーガス・ハラペーニョなら、もっと手軽にマルガリータを楽しむことができ、パンチの効いたカーサミーゴスとなるそうです。アルコール度数40%のカーサミーガス・ハラペーニョ・テキーラは、全米で販売されており、750mlボトルが希望小売価格49.99米ドル、1リットル・ボトルが希望小売価格60.99米ドルです。

363、スタウニング社、コア・ラインを拡充
 2024年4月、ディアジオ社が支援するディスティル・ベンチャーズ社の出資するデンマークのウイスキー・メーカー、スタウニング社は、コア・ラインのウイスキー・ラインナップにホストという商品を追加し、ブランドのポートフォリオを広く知ってもらうことを目指しています。デンマーク語で収穫を意味するこのウイスキーは、ライ麦とシングルモルトの融合で、デンマーク西海岸にある蒸留所を取り囲む農地へのオマージュとして蒸留されました。このウイスキーは、ファーストフィルのバーボン樽と、深くチャーさせたアメリカン・ホワイトオークの新樽で熟成され、ファーストフィルのポート樽のバリック樽(ポートワインの熟成に使用されたオーク製の樽)でフィニッシュされています。
 液体はバニラ、蜜蝋、柑橘類の香りをもたらし、口蓋には牧草地の蜂蜜、トフィー、リンゴ、赤いベリーの香りがあり、フィニッシュにはシナモン、オーク、微妙なスパイスが特徴です。スタウニング社は、近くの畑から調達した穀物を使用してウイスキーを製造しています。蒸留所からわずか数マイル離れた場所にあり、各穀物は社内でフロア・モルト化されています。アルコール度数は40.5%で、マスター・オブ・モルト社、ザ・ウィスキー・エクスチェンジ社、セルフリッジ社で45ポンド(56米ドル)で購入できます。ディアジオ社が支援するこのブランドは、最近、初の世界的なカクテル・コンペティション「Stauning Drinks Kollektive」を開始しました。

364、ライアン・レイノルズがデッドプール&ウルヴァリンのアビエーション・ジン・ボトルを発売
 2024年4月、ライアン・レイノルズがスポンサーを務めるアビエーション・アメリカン・ジンは、7月26日に劇場公開される映画『デッドプール&ウルヴァリン(Deadpool & Wolverine)』の公開を記念して、6種類の限定ボトルをデザインしました。黒のガラス製で、赤いカスタム・ストリップ・スタンプとメタリックなディテールがアクセントになっているそれぞれのボトルにはデッドプールの6つのアイコンが描かれ、ケースの外側はデッドプールの象徴的なスーツ生地を模したデザインとなっています。
 マーベル・スタジオ・シリーズでデッドプールを演じる俳優レイノルズは、アビエーション・アメリカン・ジンを知ったのは最初の『デッドプール』の撮影中で、その後2018年2月にアビエーション・ジンに投資し、クリエイティブ・ディレクションを統括しました。その後2年後、このブランドはディアジオ社に買収されました。ディアジオ社はアビエーション・ジンの親会社であるダボス・ブランズ社を最大6億1,000万ドルで買収したのです。
 2022年9月、アビエーション・ジンはオレゴン州ポートランドに蒸留所とビジター・センターをオープンしました。この施設には、テイスティング・ルーム、ドラフト・カクテルバー、ギフトショップが併設されています。デッドプール&ウルヴァリン・ボトルは、今年の夏初めに全米で、通常のアビエーション・ボトルと同じ価格(25ドル)で、在庫限りで発売されます。

365、ブレット・バーボン、ケンタッキー州でガラス・リサイクルの取り組みを開始
 2024年5月、ディアジオ社は、ケンタッキー州シェルビービルのブレット蒸留所でガラスをゴミ捨てしないプログラムの第1段階を開始しました。この取り組みは、ガラス包装協会(Glass Packaging Institute)およびGlassKing Recovery & Recycling社との共同プロジェクトであり、使用済みガラス瓶の回収と地域のリサイクル率向上を目指しています。この企画は2021年に開始され、イリノイ州でこれまでに220万ポンド(約110万キログラム)のガラスを回収しました。ケンタッキー州への拡大により、この取り組みをさらに推進し、バーやレストランなどの小規模事業者にガラス瓶のリサイクルを奨励することを目指しています。米国環境保護庁(EPA)の統計によりますと、ケンタッキー州のガラス・リサイクル率は15%と、現在、全米で最も低い水準にあります。
 Bulleit社は持続可能な設計へのコミットメントを掲げ、自然生息地の保護、節水、地元産原料の調達に重点を置いています。ディアジオ社傘下のこのブランドは、2021年にディアジオ社初のカーボンニュートラル蒸留所で生産を開始し、非営利団体American Forestsと提携して、2026年までに250万本のホワイトオークの植樹と再生に取り組んでいます。同社は、2026年までにシェルビービルでカーボンニュートラル生産を実現する計画です。4月の地球月間(celebration of Earth Month)を記念し、ご来場のお客様は、施設正面玄関にあるBulleit Distilling Co社のガラス・リサイクル・センターに、水曜日から土曜日の午前10時から午後5時まで、および日曜日の午前11時30分から午後5時まで、ガラス瓶をお持ち込みいただけます。

366、アイルランドに新ビール工場着工へ
 2024年5月、ディアジオ社はアイルランドにブリュワリー建設のための許可を得たと発表しました。地元住民との調停により、環境上の苦情が撤回されたためです。業界誌Just Drinks が報じました。ディアジオ社は、アイルランドのキルデア県に2億ユーロ(213百万ドル)の投資で建設されるカーボンニュートラル(温室効果ガス排出ゼロ)のブリュワリー・プロジェクトを開始する許可を得ました。地元の住民が環境上の理由で提訴していましたが、この提訴が撤回されたためです。
 このブリュワリーは、アイルランドのニューブリッジに98,000平方フィートの敷地に建設され、ブリューハウス、貯蔵施設、出荷エリアなどを含みます。完成すればアイルランドで2番目に大きなブリュワリー施設となり、年間200万ヘクトリットルの製造量となります。ディアジオ社は、2022年10月にこの工場の建設を申請し、昨年評議会から許可を得ています。このブリュワリーは約50人の正規従業員を雇用する予定です。また、エールやビールのブランド(ホップハウス13、ハープ、スミティック、キルケニーなど)の製造を、ダブリンのセント・ジェームス・ゲートからキルデアの新工場に移す予定です。これにより、ダブリン工場ではギネスの生産量を増やすことが可能になります。同社は昨年、セント・ジェームス・ゲートの施設に2,500万ユーロ(2,700万ドル)を投資し、非アルコールのスタウトであるギネス0.0の生産能力を拡張しました。

367、ジョージ・ディッケル、ボトルド・イン・ボンド・シリーズに新商品登場
 2024年5月、ジョージ・ディッケルのボトルド・イン・ボンド(bottled-in-bond)・シリーズに新商品が登場します。この12年熟成ウイスキーは、ディアジオ社傘下のテネシー州ブランド、ジョージ・ディッケルの5番目のボトルド・イン・ボンド・ウイスキーです。ジョージ・ディッケル・ボトルド・イン・ボンドのように、熟成年数と価格のバランスが取れたウイスキーは少なく、テネシー州タラホーマの蒸留所は、このシリーズの最新作として、2011年春に蒸留された12年熟成ウイスキーを発表しました。ジョージ・ディッケル・ボトルド・イン・ボンドのデビューは、2019年に13年熟成と記載されたアイテムが最初で、36ドルの価格で発売されました。このウイスキーの熟成年数は年々変動しており、価格もわずかに上昇しています。2024年リリースは45ドルです。
 アルコール度数50%で瓶詰めされた最新のボトルド・イン・ボンドは、熟しすぎたチェリー、マカダミア・ナッツ・クッキー、トーストしたオークの香りが広がります。シリーズのこれまでのリリースと同様に、トウモロコシ84%、ライ麦8%、大麦麦芽8%のマッシュビルを使用し、チルド・チャコールで熟成されています。
 1897年に制定されたボトルド・イン・ボンド法では、この呼称を持つすべてのウイスキーは、アルコール度数50%で瓶詰めされ、4年以上熟成され、同じ蒸留シーズンに樽詰めされたものであることが義務付けられています。このスタイルは近年、クラフト蒸留所が自社のスピ​​リッツの熟成期間の到来を待ち望んでいることや、ジョージ・ディッケルのような大手蒸留所が比較的手頃な価格で熟成年数の長いウイスキーをこのカテゴリーに投入していることから人気が高まっています。(続く)


 さて第57回目の回想録でしたが、いかがでしたでしょうか。ディアジオ社としてスタートしての43回目でした。冒頭でボジョレー・ヌーヴォーについて話しましたが、当然酒問屋時代にはこの商品を酒販店様に販売する側に回ります。今でもそうなのかあまり聞かなくなりましたが、当時はボジョレー・ヌーヴォーは輸入が航空便と船便がありまして、航空便はその11月の第3木曜日に通関し、各ワイン・メーカーさんはその日のうちに酒問屋に届けていたわけです。そして酒問屋は届いたその商品をなるべくその日のうちに酒販店様に配送していたわけです。ワイン・メーカーさんが直接空港まで商品を取りに行き、飲食店様にお届けもしていたでしょうね。飲食店様にその日のうちに届けて、待っているお客様に向けて販売できるよう、慌ただしく動いていたわけですね。今に比べますとそれ程需要も大きくなかったでしょうから、それほど目の色を変えてまで大騒ぎしていた記憶はありません。
 ですが、ワイン・メーカーさんは必死ですよね、中には通関するときにトラブルがあって、出荷が午後遅くになってしまったという話も聞きました。私たち個人のお酒屋さん担当は意外とのんびりしたものでして、明日の配送でいいや、という感覚もあったのです。もしその日のうちに必要な飲食店様のオーダーがあれば自分がその分だけ届ければよかったのです。何せ、航空便のボジョレー・ヌーヴォーは売値が高かったので、数本だけ仕入れして、後は安く入荷する船便をメインに販売すればいい、という酒屋さんが多かった様に思います。船便のボジョレー・ヌーヴォーは航空便の半値くらいだったものですから。受注活動の時も、1か月待てば船便が届きますので、航空便はそこそこ、船便を厚めにしましょう、といった感じの営業でした。まだ、その後のブームのころに比べた大騒ぎはありませんでした。
 今でこそ何日か前に輸入され、事前に通関し、酒販店様には直接直送されて倉庫にストックしておいていただき、飲食店様のほうで販売日と時間だけ守っていただければ、前日に飲食店様に納品しても大丈夫になっています。酒販店様のほうでは商品の受け入れ本数とお届け先リストさえしっかりしていれば、配達当日だけはバタバタするでしょうが、あまり混乱されているところを見なくなりましたね。
 そのボジョレー・ヌーヴォーはその数年後には売価がどんどん高くなっていってしまって、徐々に売れなくなっていき、酒屋さんもあまり仕入れなくなってしまいました。また国産のワインの新酒が11月に入って1,000円前後で販売されだしたのも大きかったと思います。各社がこぞって赤白ロゼの新酒ワインの販売を開始しましたので、それだけで酒屋さんはおなか一杯、ボジョレー・ヌーヴォーの出番は少しずつ薄れていってしまいました。国産のワインの新酒は720mlや500mlと輸入ワインと容量的には変わらないのですが、値頃感といい、濁りワインなるものも出てきて、日本酒顔負けの品ぞろいで攻勢を掛けましたので大きなウエイトを占めましたのですが、そんな国産新酒ワインもブームが終わったためか、すでに見ない商品となってしまいました。まだあるのかな?今は毎月新規酒造免許の申請があり、必ず何社か、ワイン製造の新規免許の申請があるようになりました。そのようなクラフト・ワイン・メーカーさんの起業が驚くほど多くなりましたので、どちらかさんでは造っていらっしゃるでしょうね。
 さて、このようによしなしごとを書き綴っていますが、これからもまだまだディアジオ社につきましての回顧録は続けていく所存でございますので、ご指摘等ございましたらどんどんお寄せいただきたいと思います。何卒今後とも宜しくお願い申し上げます。

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