Diageology 元ディアジオ ジャパン株式会社社員の回顧録㉚
回顧録㉚
皆様こんにちは、元ディアジオ・ジャパン社社員による回顧録の第30回目です。
ディアジオ社としての業績を振り返る16回目になります。ギネスビールとスミノフアイスに特化していたディアジオ・ジャパン社時代に、ギネスビールのセント・ジェームズ・ゲートを女性タレントの方が訪れるという、情熱大陸という番組がありました。上長が、この放送日のチラシを作って、皆で手分けして配ろうということになりまして、私もギネスの樽詰め取り扱い店に直接お届けしたことを思い出しました。確かその当時の担当エリアだった下北沢と狛江のギネスビール樽店だったと思います。狛江の飲食店様はコンクリートの打ちっ放しといった感じの内装のショット・バーで、喜んでトイレに貼っていただいたと思います。当時はギネスビールの樽店はそれほどありませんでしたし、ギネスビールの担当者だと言って伺いますと、何かお互い連帯感を共有できているような感覚になりました。バーの方からしますと頑張って売っているよ、と体中で発信されているかのようでした。何卒今後とも宜しくお願い申し上げます。
ディアジオ社としての出発⑱
108、ウォーターフォードの元ギネス醸造所をわずか720万ユーロで売却
2014年11月、ディアジオ社はウォーターフォードの元ギネス醸造所をわずか720万ユーロで売却しました。高く評価されているスコットランドのウイスキー蒸留所、ブルックラディの復活の立役者が率いる企業は、アイルランドのウォーターフォードに、もともと2004年にディアジオ社が建設したギネスビールの醸造所があったのですが、以前は4,000万ユーロと評価されていた資産をわずか720万ユーロで買収しました。
2014年にマーク・レイニエ(Mark Reynier)によって設立されたウォーターフォード蒸留所は、最近提出された会社の決算書によると、2014年11月にディアジオ社からこの土地を購入し、施設の改修にさらに240万ユーロを投資しました。ディアジオ社は2004年にグラッタン・キー(Grattan Quay)の敷地を買収し、施設の改修に4,000万ユーロを費やした後、2013年にその敷地での生産を閉鎖し、1年後にレネゲード・スピリッツ社(Renegade Spirits:マーク・レイニエが率いるインディペンデント・ボトラーのマーレイ・マクダヴィッド社(Murray McDavid)を中心とした個人投資家のグループ)にその敷地をわずかな費用で売却しました。
レネゲード・スピリッツ社は、2000年にジム・ビーム社から600万ポンドでアイラ島の廃墟となった蒸留所ブルックラディを買収したレイニエが設立した持ち株会社です。シングルモルト・ウイスキーの復活に成功し、ボタニスト・ジンやアイラ・バーレイなどの新製品を発売した後、レイニエは2012年に同社をレミー・コアントロー社に5,800万ポンドで売却しました。ウォーターフォードの蒸留所が他のアイルランドの蒸留所とは少し異なるやり方をとっているという事実(例えば、3回蒸留ではなく2回蒸留を採用しています)は、彼らのウイスキーのスペルにも反映されています。2回蒸留でスコッチ・タイプのシングルモルトを生産、eの綴りのないWhisky表記です。
2024年、なんと同社が資金調達がうまくいかずに破産手続きに入ることが報じられました。最近の会計報告によれば、2022年の売上は300万ユーロにとどまり、前年比で30万ユーロ減少。累積損失は770万ユーロに達し、持続可能な経営が難しい状況に陥っていました。
2023年1月、同社はHSBCと新たな信用契約を締結しました。その際の管財人選任は、同社と主要融資先であるHSBC銀行が数週間にわたり、事業再建計画を策定してきた努力の集大成でした。管財人選任は合意に基づくものでした。蒸留所の従業員は水曜日の朝、インターパス・アドバイザリー社(Interpath Advisory)のマーク・デグナンとダリル・マッケナが管財人に選任されたことを知らされました。インターパス社は同社および融資先と協力し、新規資本の調達、あるいは他の解決策の導入を検討していましたが、このプロセスは成功しませんでした。この週初めの緊急取締役会の後、同社はHSBCに対し、管財人を選任し、事業の経営権を取得するよう要請しました。
109、ウェスト・インディーズ・ポーターとダブリン・ポーターを新発売
1970年代に、売上の減少を受けて、ギネス・エクストラ・スタウトをより飲みやすいものにする決定が下されました。その後、比重が下げられ、ブランドは1981年に再発売されました。ペールモルト(Pale malt:ペールモルトとは、85~90℃の低温で、じっくり乾燥させて作った淡色のモルトのこと。ビールに必要な糖と酵素を十分に含んでいることから、もっとも多くのビールのベースとして使われます)が初めて使用され、異性化ホップ・エキス(isomerised hop extract:CO₂のみから生成されるイソアルファ酸のカリウム塩の水溶液)が使用されるようになりました。2014年には、Guinness社は、ウェスト・インディーズ・ポーター(West Indies Porter)とダブリン・ポーター(Dublin Porter)の2つの新しいポーターを導入しました。
110、ドン・フリオ・テキーラ・ブランドの完全な所有
ディアジオ社はオーナーのホセ・クエルボ社との合弁事業を通じて2003年にドン・フリオ・テキーラの株式の50%を取得し、その対価として1億米ドルを支払いました。その後、2014年、ディアジオ社はブッシュミルズ・アイリッシュウイスキー・ブランドを供出し、ホセ・クエルボ社を買収したプロキシモ・スピリッツ社は引き換えに4億800万米ドルとドン・フリオ・テキーラ・ブランドの完全な所有権を供出しドン・フリオ・テキーラの株式の残りの50%を売却することに同意し、ディアジオ社はブランドの完全な所有権を取得しました。
111、ジョニーウォーカーの世界観を表現する「JOHNNIE WALKER presents 深海ブラック・バー」を開催
2014年11月、キリンビール社とキリン・ディアジオ社は、ジョニーウォーカーの世界観を表現する「JOHNNIE WALKER presents 深海ブラック・バー」を東京・銀座にて2014年12月4日から6日まで開催すると発表しました。2013年から展開している広告コミュニケーション「WHERE FLAVOUR IS KING」の一環として実施しているブラック・バーは、暗闇で嗅覚と味覚を研ぎ澄まし、ジョニーウォーカーのさまざまな香りと味わいをより楽しんでいただくための空間となります。第1弾は2014年5月に「プラネタリウム・ブラック・バー」として5日間限定で実施し、約1,000人の方にご来場いただきました。今回実施する第2弾「深海ブラック・バー」は、テーマを深海とし、非日常的な暗闇の中で幻想的な映像コンテンツと空間を演出した、期間限定の特別なバーとなります。
112、Chrome Vodkaを発売
2014 年に発売された Chrome Vodka は、自分らしさを感じられる価値の高いブランドを求める現代の若いケニア人のためにKenya Breweries社によって製造されています。さらにChrome Ginは、ケニアの若者の間でジンの人気の高まりに応えて2020年に製造され、手頃な価格で高品質のジンを提供しています。しかし、ディアジオ社の2つのブランド、トリプル・エース・ウォッカ(Triple Ace vodka)とケニア・ケイン・ラム(Kenya Cane rum)に関しては話は別です。トリプル・エースは2021年についに118万ケースを販売し、100万ケースの大台を突破しました。しかし、2022年には27.1%減少し、同ブランドの販売量は再び基準を下回り、86万ケースとなってしまいました。一方、ケニア・ケインは2018年以降、前年比で減少しており、2020年に記録した100万ケースからさらに減少しています。
113、ケンタッキー州で事業を拡大
2014年9月、ディアジオ社は、スティッツェル・ウェラー蒸留所(Stitzel-Weller)にブレット・フロンティア・ウイスキー・エクスペリエンス(Bulleit Fronteir Whiskey Experience)を開設しました。この蒸留所は、ケンタッキー・バーボン・トレイル・ツアー(Kentuckyk Bourbon Trail Tour)の新たな訪問地にもなりました。
施設改修の次の段階として、新しいボトリング・ライン、敷地内のフィニッシング・センター、そしてイノベーションに重点を置いたビジター・センター用の少量生産クラフト・スチルの建設が予定されています。これにより、ディアジオ社が2014年に発表したスティッツェル・ウェラーへの投資総額は、1,000万ドルを超えました。ご来場のお客様は、ブレット創業者トム・ブレットのオフィスを間近で見学し、アメリカで最も歴史ある施設の一つであるこの地の歴史を垣間見ることができます。参加者は、1879年にリックハウジング・システムが発明された倉庫、1935年の開業以来変わらない樽工場、そしてモンティセロに着想を得た歴史的な玄関ホールを見学します。
蒸留に加え、同社はスティッツェル・ウェラーに瓶詰め機能も復活させます。現在、新たな瓶詰めラインを建設中で、2014年後半の稼働開始が予定されています。この新ラインでは、様々なアメリカンウイスキーとバーボンを瓶詰めする予定です。
114、蜂蜜入りJ&B「スコッチ」を発売
2014年3月、ディアジオ社は、J&Bアーバン・ハニーの発売により、スコッチウイスキーと蜂蜜のフレーバーを組み合わせた最新の飲料グループとなりました。アルコール度数35%で瓶詰めされたJ&Bアーバン・ハニーは、バランスのとれた滑らかな液体を持つ個性的なドリンクと説明されています。スコッチウイスキー協会(SWA)のガイドラインとEU法では、カラメル色素と水以外の成分をスコッチウイスキーに加えることはできないと規定されています。そのためディアジオ社は、新製品がハニカム・パターン、都市のスカイラインのイラスト、目立つ「蜂」のイラストを使用して親ブランドのJ&Bと差別化されるようにすると主張していました。この最新のフレーバー付きリリースで、バカルディ社とペルノリカール社の足跡をたどりました。
前年3月、バカルディ社は、新しいデュワーズ・ハイランダー・ハニーをめぐる論争に巻き込まれました。この商品は、前面のラベルに天然フレーバーを注入したブレンデッド・スコッチウイスキーと記載されていますが、裏面にはスピリッツ・ドリンクとしか記載されていませんでした。このラベルは米国の規制に準拠していますが、現状ではEUでは禁止されています。
最近では、2013年12月にペルノリカール社のシーバス・ブラザーズ社がバランタイン・ブラジルを発売しました。これは、バランタインのブレンデッド・スコッチウイスキーをライムの皮に浸して作ったスピリッツ・ドリンクというラベルの付いた製品です。フレーバード・スピリッツのカテゴリーは、特に米国で近年急成長を遂げています。米国蒸留酒協会(DISCUS)によりますと、米国のスピリッツの40%以上がフレーバード・エクスプレッションを添加しており、現在220種類以上のフレーバー商品が市場に出回っています。2011年にはブラウン・フォーマン社がジャック・ダニエル・テネシー・ハニーを発売し、2012年5月にはビーム社がジム・ビーム・ハニーを発売しました。その他ワイルド・ターキー、エヴァン・ウイリアムズが追随しました。アイリッシュウイスキーが初めてフレーバーに進出したのは、ディアジオ社のブッシュミルズ・アイリッシュ・ハニーが2012年2月に発売され、続いてペルノリカール社のパディ・ビー・スティングが2013年10月に発売されたときです。J&Bアーバン・ハニーは、2014年4月からスペインで初めて発売されます。
115、ヘイグ・クラブのシングルグレーン・スコッチ発売にベッカムと契約
2014年4月、ディアジオ社は、元サッカー選手のデビッド・ベッカムと英国の音楽界の大物サイモン・フラーと共同で、シングルグレーン・ウイスキーのブランド、ヘイグ・クラブ(Haig Club)を立ち上げます。少量生産のキャメロンブリッジ・シングルグレーン・ウイスキーの本拠地であるキャメロンブリッジ蒸留所のグレーンウイスキーから作られたヘイグ・クラブは、アルコール度数40%、年数表記のない製品として発売されます。3種類の樽(ファースト・フィル、リジュビネート、リフィルのバーボン樽)から熟成されたさまざまなウイスキーから構成されます。
樽のリジュビネートは新しいアイデアではなく、蒸留所は何年も樽をリチャーリングしてきました。これはバーボン樽、ホッグス・ヘッド、さらには一部のシェリー樽にも当てはまりました。リチャーリングの実践は、基本的に、使い古した木材をさらに数回使用できるようにするコスト削減策でした。樽の役割は熟成と貯蔵の両方であり、そのため樽は使用前にトーストされます。ベッカムとフラーはこのブランドの開発において基本的な役割を担う一方、ベッカムはヘイグ・クラブの責任ある飲酒プログラムを確立することにも取り組みます。ディアジオ社はこれがこのブランドの中核であると主張しています。
同社は、2014年がグレーンウイスキーが主流に躍り出て、当然の評価を得る年になると考えています。ヘイグ・クラブは、1824年にキャメロンブリッジ蒸留所を設立したスコットランド最古のウイスキー一族で蒸留業者の家族にちなんで名付けられ、今年後半に発売される予定です。ヘイグ・クラブは、バニラ、ハチミツ、フローラル、新鮮な青リンゴの香りがあり、口の中でレーズンとトーストしたアーモンドの香りがし、スパイシーで長い余韻が残ります。カクテルに混ぜても、そのまま飲んでも楽しめるように作られています。当初は 1つの製品のみで構成されるこのブランドは、国内およびアジア圏内の旅行免税店の両方で今夏に世界的に発売される予定です。
116、ジョージ・ディッケルの保管に関する調査が終了
2014年6月、ディアジオ社のジョージ・ディッケル・テネシー・ウイスキーを調査していたテネシー州の酒類規制当局は、同ブランドが州法に違反していないとの判決を下しました。テネシー州のアルコール規制当局は、ディアジオ社がジョージ・ディッケル・テネシー・ウイスキーをケンタッキー州で熟成させたことで州法に違反したかどうかの調査を終了しました。ディアジオ社と州は、テネシー州で作られたウイスキーは蒸留された郡内またはその近くで熟成させることを義務付ける80年前の法律をめぐって連邦裁判所で争っていました。
ディアジオ・アメリカス・サプライ社(Diageo Americas Supply)は4月、テネシー州アルコール飲料委員会のキース・ベル委員長に対し、この法律が米国憲法に基づく州際通商法(interstate commerce laws)に違反しているとして、ナッシュビル連邦裁判所に訴訟を起こしました。
ジョージ・ディッケルのマスター・ディスティラーであるジョン・ラン(John Lunn)は、ウイスキーはタラホーマの蒸留所から60マイル南にあるナッシュビルに保管されているため、規制を遵守していると証言しました。またジョージ・ディッケルのテネシー蒸留所で製造されケンタッキー州に貯蔵されている酒類はディアジオ社の他の蒸留酒とブレンドされるだろうとし、倉庫不足のため過去5年間でバーボンウイスキーとウィートウイスキー(wheat whiskey:原料の51%以上に小麦を使うアメリカンウイスキー)約1万6,000樽が同州に移されたと付け加えました。ランによれば、ディアジオ社の役員はテネシー州で適切な保管施設を見つけられなかったため、ウイスキーをケンタッキー州ルイビルにあるディアジオ社が所有・賃借している保管施設に移したということです。
117、ワインボトル入りウォッカ・スプリッツを発売
2014年6月、ディアジオ社は、ワインボトル入りのウォッカ・スプリッツRTD(RTD vodka spritz)「Nola」を発売し、若い女性のワイン愛好家をターゲットにしています。ラズベリー、エルダーフラワー、ウォーターメロン、ストロベリーのフレーバーで展開されるこのスプリッツは、「女性が伝統的にワインを好む場面で、より一層その期待に応える」とされています。また、低カロリー・低アルコール飲料のトレンドにも乗り出し、「Nola」の発売で、このRTDは標準的なピノ・グリージョの半分のアルコール度数と35%のカロリーカットを実現しています。業界初とされるNolaの700mlボトルは、ワインボトルの細長い形状を模倣しながら、炭酸飲料もボトリングできるように設計されています。Nolaは250ml缶でも販売され、6月17日にテスコ、7月10日にアズダで限定発売され、2015年1月から英国全土で展開されます。
118、ディアジオ社株、SABミラー社との合併の噂で上昇
2014年7月、ディアジオ社の株価が、同社がビール会社SABMiller社と合併するかもしれないとの憶測を受け1.4%上昇しました。SABMiller社の株価も0.6%上昇しました。フィナンシャル・タイムズ紙(The Financial Times)の報道によりますと、ビール大手ABインベブ社(Anheuser-Busch InBev)が買収提案を検討しているという憶測が高まったことを背景に、SAB社の株はここ数週間、急伸しています。SABMiller社もこの世界的な飲料大手との合併を模索しており、ギネスビール事業に参入できる可能性もあります。バークレイズ銀行の予測によりますと、ディアジオ社とSABミラー社の合併により、約1,000億ポンド規模の事業が誕生し、配当前フリーキャッシュフローは約50億ポンドとなる、とのことでした。
しかし結果としては、2015年9月、アンハイザー・ブッシュ・インベブ社がSABミラー社の買収提案を行い、世界最大のビールメーカー2社が統合され、業界全体の利益の約半分を掌握することになりました。しかし、この買収にはいくつかの規制上のハードルを乗り越える必要があり、一部の事業をグループから分離する必要が生じました。暫定合意は2015年10月13日に発表され、ABインベブ社とSABミラー社の1,070億米ドルの合併は2016年10月に完了しました。そして新会社であるアンハイザー・ブッシュ・インベブSA/NV社(Anheuser-Busch InBev SA/NV)は、世界最大のビール会社となりました。
2015年にアンハイザー・ブッシュ・インベブ社とSABミラー社が合併協議を行った際、米国司法省(DOJ: U.S. Department of Justice)は、SABミラー社が、米国内のミラー・クアーズ社(MillerCoors holdings)の全保有株(ミラー社とクアーズ社が保有する両ブランドを含む)と米国外のミラー・ブランドを分離する、という条件のみで、提案された取引に同意しました。所有権の状況は複雑で、米国では、クアーズ社はミラー・クアーズ社(SABミラー社の子会社)が過半数を所有し、モルソン・クアーズ社(Molson Coors)が少数を所有していますが、国際的にはモルソン・クアーズ社が完全所有し、ミラー社はSABミラー社の所有となっています。
規制当局との合意に基づき、旧SABミラー社は2016年10月、米国とプエルトリコを除くミラー・ブランド・ポートフォリオの全所有権をモルソン・クアーズ社に120億米ドルで売却しました。モルソン・クアーズ社はまた、米国とプエルトリコにおけるミラー・クアーズ社が現在所有する全ブランドの権利も保持しました。この合意により、モルソン・クアーズ社は世界第3位のビール会社となりました。カナダでは、モルソン・クアーズ社は(旧SABミラー社から)ミラー・ジェニュイン・ドラフトとミラー・ライトの製造・販売権を取り戻しました。
またABインベブ社は、旧SABミラー社の東欧事業(ABインベブ社によるSABミラー社統合前に、SABミラー社が保有していた中東欧5カ国市場における事業及びその他関連事業を構成する会社の全株式、並びにピルスナー・ウルケル(Pilsner Urquell)、コーゼル(Kozel)、タイスキ(Tyskie)・ブランドを含む)を日本のアサヒビール社に73億ユーロ(111億シンガポール・ドル)で売却することで合意しました。この取引は2016年12月に完了しました。ABインベブ社は、すでにグロールシュ醸造所、ペローニ醸造所、ミーンタイム醸造所(ロンドン・ペール・エール)をアサヒビール社に25億5,000万ユーロで売却することに合意しており、この取引は2016年10月に完了しました。同日、SABミラー社が保有するスノービール社の株式49%を華潤企業集団(チャイナ・リソーシズ・エンタプライズ社)に売却することも完了しました。
またキリンホールディングス社は、オーストラリアの子会社ライオン社(Lion: フォーエックス(XXXX)、トゥーイーズ(Tooheys)やエミュー(Emu)などといった超有名なブランドを所有)が、ベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ社とライセンス契約しているコロナビールやバドワイザーなどの10種類のビールの販売を終了すると発表しました。ABインベブ社が2位のSABミラー社を買収したことにより、今後はSABミラー社の豪子会社がABインベブ社からの輸入ビールの販売を担うことになったのです。これを受け、ABインベブ社から解約金として最大3億豪ドル(約230億円)を受け取ることになりました。しかしライオン社は販売量の約1割を占めているブランド群を失うことになりました。
またABインベブ社はアサヒビール社がライセンス販売をしていたヒューガルデン(Hoegaarden)やステラ・アルトワ(Stella Artois)、レフ(Leffe)などの商品についても2018年1月、自社販売に切り替えました。そして2019年1月、キリンビール社が日本国内でのライセンス生産・販売を行ってきましたバドワイザーにつきましても自社販売に切り替えました。2017年、コロナビールの販売権を失いZIMAやブルームーンに頼っていたモルソン・クアーズ・ジャパン社も、2021年末をもって国内事業を撤退することになりました。
その後2020年7月、ABインベブ社は、旧SABミラー社の豪州マーケット・シェア1位であるカールトン&ユナイテッド・ブルーイング社(Carlton & United Brewing: ビクトリア・ビター、カールトン・ドラフト、フォスターズ・ラガー、グレート・ノーザン、レッシュ、ピュア・ブロンド、メルボルン・ビターなどがある)をアサヒビール社に売却することにも合意しました。
ベルギービールにつきましては、横浜の青葉台と町田市にベルギービール専門店があり、従業員の方がベルギービールそれぞれの専用グラスにボトルを逆さにして突っ込み、お客様の前で注ぐという独特の見せ方をされていたお店がありましたね。ギネスのエクストラ・スタウトの瓶だったかドラフト缶だったかを扱っていただいていましたので伺ったことがあります。 (続く)
さて第30回目の回想録でしたが、いかがでしたでしょうか。ディアジオ社としてスタートしての16回目でした。ディアジオ社が力を入れて発売開始しましたヘイグ・クラブですが、最初は英国の百貨店とアジア諸国の免税店で販売されたと記憶しております。横浜の吉田町のバーのTowserさんのバックバーに並んでいましたので、オーナーにどうされたかと伺いますと、韓国の免税店で販売していたので購入されたとのことでした。たまたまどういう商品か勉強してましたので、内容について説明できましたが、こんなこともあるのです、ディアジオ社の商品群は。中華街の飲食店様でも置かれてあったインドのウイスキーがディアジオ社のものだったかペルノリカール社のものだったかうろ覚えでしたので、帰って調べましたらディアジオ社のものでマクダウェルズでした。ディアジオ社の商品の資料を端からそろえてますと、手帳もカバンもパンパンになってしまいます。
また、インディアン・ウイスキーの全ての商品が悪いわけではありませんが、一部の商品は廃糖蜜(モラセス)を蒸留して造ったアルコールをブレンドしており、EU諸国ではウイスキーと認められません。そのようなウイスキーやブランデー、ラム酒がアジア圏内ではたくさんあります。国内での法律の規制がないのですね。日本でもそうですが、いまだにスピリッツをブレンドしたウイスキーやブランデーがたくさんあります。それも大手メーカーさんも堂々と製造されています。決して法律違反ではないのですが、これまでの流れでジャパニーズ・ウイスキーとは何ぞやと色々取沙汰していますのに、そんなアイテムを作っていていいのでしょうかね?売れているからいい?あっそうですか!
日本酒にブレンドしてあるアルコールを特に工業用アルコール、と呼んでましたが、本醸造以下の日本酒はすべてこの工業用アルコールがブレンドされ、味を整えてあります。このアル添日本酒を米国に輸出しますと日本酒と認められません。まあ米国は置いておいて、本来の日本酒は純米酒であったのに、戦争があったためでもあるのですが、米ぬかを醸造しアル添し作られているものが多いのですね。何か脱脂加工大豆を使ってアル添した醤油みたいで、丸大豆しょう油が出た時はどういうこと?と思いました。酒問屋時代は学校給食用の一斗缶の醤油もお届けしていて、何々無添加というようなシールが貼ってあって、通常品とは分けてありました。学校側からの指定でした。何か腑に落ちませんよね、色々と理由はあるのでしょうけど。これからまだまだディアジオ社につきましての回顧録は続けていく所存でございますので、ご指摘等ございましたらどんどんお寄せいただきたいと思います。何卒今後とも宜しくお願い申し上げます。
