小暑:東雲草が咲くころ

二十四節気のひとつ「小暑」。
暑さがじわじわと増し
日差しもひとしお強くなり
本格的な夏への扉が
開かれる頃です。
朝のやわらかい光や風に
夏の香りが溶け合うこの季節。
夜明けとともに静かに花を開く朝顔は
「東雲草(しののめそう)」という
美しい異名をもちます。
「東雲」とは
夜が明け
東の空がほのかに紫色へと
染まり始めるひととき。
一日の始まりを告げるその姿は
小暑の朝にふさわしい
凛とした美しさをたたえています。
英語ではmorning glory
朝に開く花の鮮やかさを表しています
季節の移ろいを慈しむ心は
昔も今も変わりません。

そのことをあらためて感じさせてくれるのが
平安時代、清少納言が綴った『枕草子』です。
夏の情景を次のように描いています。
夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。
〈現代語訳〉
夏は夜が趣深いです。月の浮かぶ夜はもちろん風情がありますが、月のない暗い夜でも、蛍が飛び交う様子に心惹かれます。ほんの一、二匹だけがほのかに光りながら飛んでいく姿にも風情があります。そして、しっとりと雨が降る夜もまた情緒があります。
清少納言が眺めていたのは
特別な景色ではありません。
朝に咲く花
夜空を舞う蛍
静かに降る雨。
日々の暮らしの中にある自然の美しさに
そっと心を寄せていたのでしょう。



添えた一枚は
日本画家、小林古径 の「雨」。
霞む橋
静かに降る雨
リズミカルな川の流れ
やわらかく広がる水の気配。
色彩は控えめですが
雨音や湿った空気まで
感じられるような味わいがあります。

文学でも絵画でもうかがえるように
日本人は古くから自然を見つめ
その移ろいを心と体で受け止めながら
暮らしてきました。
小暑という節気もまた
その豊かな感性を思い出させてくれる
大切な季節の節目です。
千年以上も前に
清少納言が心を寄せた夏の風景。
その景色は形を変えながらも
私たちの暮らしの中に今も息づいています。
東雲草が咲く朝
蛍が舞う夜
そして、雨に霞む景色。
季節は、いつの時代も静かに心を動かし
日々の暮らしに小さな彩りを
添えてくれるようです。
今年の小暑もまた
日本の夏の美しさに
そっと心を寄せるひとときとなりますように。

そうめんを機織りの白い糸に見立てたという説や天の川に見立てたという説などがあるようです。



Morning glory is the best name, it always refreshes me to see it.
morning gloryというのは絶妙な名前です。その花を見るたびに、わたしは新鮮な気持ちになります。
最後まで読んでいただきありがとうございます(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)ஐ⋆*
今日も新鮮な気持ちで過ごせますように🍀
