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#285_ガスバーナーパフォーマンステストで育まれるチーム力

わたしは中学校で理科を教えている。
今年は久しぶりに、中1で学習するガスバーナーのパフォーマンステストを実施した。

手順は以下の通りである。
【第1時】
①白い粉を分類するための実験計画を立てる。
②実験方法を挙げ、必要な道具を確認する。
③熱して確かめる実験を行うための道具として、ガスバーナーがあることを知る。
④ガスバーナーの使い方を学ぶ必要感をもつ。
⑤ガスバーナーの構造を知る(分解してガス調節ねじと空気調節ねじの関係を目視する)。
⑥全員がマッチを擦る練習をし、班で一度ガスバーナーに点火→消火する活動を行う。
【第2時】
①前時の活動を想起し、ガスバーナーを自分でつけられるようになりたいという必要感をもつ。
②ガスバーナーパフォーマンステストの手順を知る。
<ルール>
・ガスバーナーの点火手順を、教科書や資料で確認してはいけない。ただし、同じグループの友達一人からアドバイスをもらうことはできる。
・マッチへの点火は、同じグループの人に頼んでもよい。ただし、ガス・空気調節ねじは自分で回して調節する。
・合格したら合格証を授与され、ミニ先生になることができる。
・ミニ先生はテスト実施の権利を得る。ただし、ミニ先生が合格と判定した生徒に教師が再度テストを行い、その生徒が正しく操作できなかった場合は、判定したミニ先生及び不合格者の合格証を回収する。
③本時のめあてを「ガスバーナーのパフォーマンステストを受け、クラス(グループ)全員で合格しよう」とし、まずはグループ全員が合格、次はクラス全員が合格できるよう、働きかける。
④合格者は黒板に記名する。ミニ先生のテストを受けた生徒はそれがわかるように(  )の中に名前をかく。(下の写真参照)

結論から言うと、子どもたちが躍動してとても面白かった。

最初に合格したのは、いわゆる勉強が得意な生徒ではなく、クラスで一、二を争うほど元気で、行動力と思い切りのよさが抜群の生徒だった。
彼女が合格するや否や、「〇〇(彼女の名前)ー!!!」と多くの子たちから名前を呼ばれて引っ張りだこだった。

彼女はうれしそうに教室を動き回り、最終的に五人のテストを担当した。

その姿を見て勢いがついたのか、テストに挑戦する生徒がどんどん増えていった。

わたしが直接テストを行ったのは六人だけだった。それ以外の生徒は、自分で選んだミニ先生からテストを受けたことになる。

特筆すべきは、最後にテストを受けた2人だった。

Aさんは、自分から友達に声をかける姿があまり見られない生徒である。
休み時間に、一人でいる姿をよく見かける。
そのAさんの周りに五、六人の生徒が集まり、「がんばれ!」「もう少し!」と声をかけられていた。
そのような姿が生まれたのは、めあてを「自分が合格する」ではなく、「グループ全員、クラス全員で合格する」としたからだろう。

アドバイスややり直しOKというルールも効いていたようだ。
ミニ先生にとっては、自分の働きかけによって友達ができるようになり、合格することに喜びがあったのかもしれない。

ルール、環境設定、子どもが動きたくなる仕組みがうまく連動した実践だった。

今回の実践で意識したのは
「誰一人取り残さない授業」という信念とめあて、授業構造との連動である。

そのための環境づくりとして、教師の権限を子どもに手渡した。
子ども同士でありがちな、判断が甘くなったり妥協したりすることのない条件を付加した。
互いに助言し、教え合い、合格を認め合うことで、全員が目標を達成しやすくなるルールを設定した。

今まで何となく実践していた授業がもつ意味を、理論を通して再確認できた。
これが大きな喜びであった。

1つ反省点として挙げられるのは、数人の生徒に空白の時間が生まれてしまったことだ。
所属するグループの全員が合格した後、一部の生徒は暇そうにうろうろしていた。
こうした生徒も、ほかの生徒を支援したり、目的意識をもって活動を続けたりできる仕組みが必要だった。

例えば、次のような活動が考えられる。
①「自分は誰の、どのような学びに貢献したか」をノートに振り返る。
②ガスバーナーの点火や炎の調節で間違いやすい点を整理し、掲示物をつくる。
③必要に応じて、助言係や応援係としてほかのグループを支援する。

課題は残ったが、今後の広がりを感じる授業だった。

次回はいよいよ、白い粉末の分類実験で活用に移る。
身に付けた技能が、実際の探究場面でどのように発揮されるのか。
次時の子どもたちの姿が、今から楽しみである。
子どもたちの底力は、やはり計り知れない。

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