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AnimagineXLで紹介する、里見八犬伝「第六の玉-犬阪毛野胤智」


里見八犬伝、第六の玉犬阪毛野との出会いを描いた箇所の紹介です。

小文吾の捕り物、捕られ物

 荒芽山で別れた5人のうち犬田小文吾悌順いぬたこぶんごやすよりは、その翌春、隅田川のほとりを歩いていた。ほかの四人にまためぐりあわないかと考えて浅草寺の近くに住んだ。

イノシシを退治する小文吾

 昨夜は色々あって寝不足だ。襲い掛かるイノシシを倒して、お礼にと宿泊した農家の主人、並四郎が俺の寝込みを襲うので返り討ちに殺した。その犯人の妻、船虫は、「わたしはもともと鎌倉北条家に仕えた武家であり村長の娘だったが家が衰え、ダメな男を婿にした、夫を殺してくれてありがとうございます」などと言う。

現在は夫の放蕩に困り果てていたらしい。家のために夫の不始末を黙っていてくれるならば贈り物をいたしたいとまでいう。そう言って価値の高い尺八を渡して来た。これはおかしい。この壁を修理していない家が、思い付きで旅人を襲う家か?なんにせよ夫を殺されて恨み節のひとつもなしというのも気味が悪い。常習犯に違いないと思い、ひそかに尺八を部屋に置き戻しておいた。

囚われる小文吾

 船虫は浅草の千葉家の下屋敷に小文吾が盗人であると突き出した。尺八は千葉家の家宝であるらしい。尺八はどこだと問われたので並四郎の家にあると答える。はたして宿屋に尺八はあった。小文吾の嫌疑は晴れた。
「やい女、お前ひとりでこの尺八を盗みはすまい、仲間を吐け」

捕まる船虫

「何も知らぬ役人め、黙っておくのは累がおよぶためよ、知りたければ家老に聞きなさい、ちょうど笛の持ち主千葉介自胤ちばのすけよりたねが狩りにきているだろうから」
殿様がちょうど通りかかったので、捕り手の畑上語路五郎はたがみごろごろうがひれ伏して頭をあげ、うやうやしく下知を待った。
殿様に事情を話すと、殿様は笛を手に非常のよろこびよう。
「この尺八と同時に失ったものに、名刀,小篠おささ落葉おちばがあり、今も探しているが、この笛こそ我が家に最も重要な家宝。小鳥を狩りに行くが、これを取り返してくれた犬田殿を家臣にできるならこれ以上に大きな獲物はないだろう。家老、馬加大記まくわりだいきよ、犬田殿と話して私に仕えるよう手配せよ」そう言って殿様は去る。

小文吾をもてなす馬加大記

「お前さん仕官がかなうといいな」畑上語路五郎はたがみごろごろうがいう
「いや、俺は人を探してるんだ、今は仕官したいわけじゃない」そう犬田は言うが、ともに家宝を救ったお礼に、また非礼の詫びに、千葉家の家老、馬加大記まくわりだいきからぜひ一献さしあげたいと、墨田川の馬加まくわり邸に招かれた。

馬加邸の軟禁

 馬加大記まくわりだいきはしきりに小文吾に礼を言う。立派な屋敷の離れの座敷に通され、親し気に酒肴をすすめてくる。
「あなたは命の恩人です。千葉家の家宝が失われたら切腹を言いつけられてもおかしくはないものでした」
「それほど大切な家宝とは知りませんでした、千葉家の家宝が無事だったことはまことにご同慶にたえません」
良い気持ちで酒を飲んでいると、馬加まくわりは中座する。しかもなかなか帰ってこない。座敷まわりをよく見ると、3方を掘割にかこまれて残る1方は高い石塀で母屋から仕切られているため、敷地全体がはなれ小島のようだった。これはおかしい。


 食事を運んでくれた老人にといかけると、気の毒そうに答えてくれた。
「お気の毒に、千葉家の家宝を救ったばっかりにこのような座敷牢に」
「なに?ここは座敷牢なのか」
馬加大記まくわりだいきは大の悪人でさあ、実は、だんなが倒した並四郎は馬加大記まくわりだいきの手のもので、大記がそそのかして千葉家から家宝を盗み出させたので、実は大記に仕えていたんでさ」
「えっ」
 小文吾はただ降りかかる火の粉を払うだけに並四郎を倒したのに、こんな災難にあうとは。
老人は、過去に馬加大記まくわりだいきの行った悪行を話して聞かせた。
 どうやら千葉家の重臣粟飯原首胤度あいはらおおとたねのり馬加大記まくわりだいきに命じられ籠山 逸東太 縁連こみやま いっとうた よりつらによって殺害された。という。
「おそらくですが、馬加大記まくわりだいきはだんなを味方にひきいれたい、だけどなびかないようなら毒殺するでしょう、お気をつけくださいよ」
 それからもしばらく、食事はその老人が運んでくれたのだが、いつからか姿が見えなくなってしまった。小姓に聞くとおしゃべりが過ぎてクビになったとのこと
そう聞いてまもなく馬加大記まくわりだいきから使者がつかわされた。
「実は家宝の盗難に関して犬田様の疑いがまだ晴れていなかったためとどまっていただきました、まことに申し訳ないしだいと主人も大変恐縮しております。つきましては母屋の方で田楽を楽しんでほしいとのこと」
小文吾は表面上は快くうけいれ、酒宴を楽しんだ。女芸人の中にひときわ美しい十五~六の娘がいた。

あさけ野の登場

「あれは、あさけ野と申して、姿も舞もあれほどのものはあるまいと言われる娘でござる」馬加大記まくわりだいきは説明する。あまりの美しさに、この馬加まくわり家に逗留させているのだという。
小文吾は、心のどこかで、なぜこんなもよおしに俺を呼んだのだろうと思う。俺は色恋がよくわからんが、普通の男なら、何をおいても手に入れたいと思うほどの美しさなのだろうか。目の前に来ても目を逸らした。一晩中芸能を楽しんだ。

「どうです、小文吾殿、美女を見たあとには自然を見るのも良いです、こちらの対牛楼たいぎゅうろうへおこしください、夜明けの景色と薄茶をさしあげます」馬加大記まくわりだいきは二階づくりの部屋へ小文吾を促す。
 席を立つときそばに桃の花のかんざしがあることに気がついた。そばの芸人に問いかけると、これはあさけ野のかんざしであるという。ではこれをあさけ野に返すようにとかんざしを渡した。
ついていった部屋は、ここはまた墨田川を目の前に牛島、葛西を一望できる景色だった。
馬加大記まくわりだいきは語り掛ける。

「実は自分はかねてから主君の千葉家を滅ぼそうと考えているが、もしあなたが力を貸してくれたらあの葛西の地を差し上げましょう」
小文吾はそらきた、と、すべての申し出をはぐらかすように答える
「ははは、御冗談を、船は水があって浮かぶものです。あなたが言っているのは水が船に乗るようなものだ。家臣は水、家は船のようなものですよ、臣君の間には礼がある。礼のないところは舵のない船のようなものです」
「いや、さすがはお見上げ申した、小文吾殿、これまでのことはご明察どおり、殿のご意向もありますので、こうして試すように申し上げた次第。重ねての非礼をお許しください」
うってかわった態度で弁解をするのだった。
「主君から再度沙汰があるまで、いましばらく離れでご辛抱願いたい」そう言うので小文吾はしかたなく監禁生活に戻った。部屋に戻ると庭の手水鉢の水の上に、手紙が置いている。
「分け入った 栞途絶えし麓路に 流れも出ろ 谷川の桃」
これは、あさけ野の歌かもしれない。なぜかそう思った。

あさけ野との密会

 食事に毒が盛られている。そう気が付いたのはそれからしばらくしてからだ。どうやら長く食べ続けることで効く毒らしい。毒見役として、膳を運んだものに食べさせてもなんともないようだ。しかし膳を運ぶものは日々変わる。
 しばらく腹痛を理由に食事をとらずにいたが、体は弱るばかりである。
 ある夜、ふと人の気配で目が覚める。月明かりの障子に刀を抜いた人影が。こちらも刀を抜いて障子戸を開けると馬加まくわり家のさむらいが倒れているではないか。のどもとに、なんと桃の花飾りの美しい銀のかんざしが突き刺さり、月にきらめいていた。
 このかんざしは…先日、女田楽のあさけ野が髪に刺していたもの。すると庭に人の気配。
「だれだ!」
刀をかまえ、そう叫ぶと、相手は夜目にあざやかな派手な姿でこちらに走り寄り、「小文吾さま、私です、女田楽のあさけ野でございます」


「夜も明けないうちに、話をしたこともない男の部屋に忍び込むとは若い女のすることではないぞ」小文吾は手裏剣で俺を射殺すつもりかもしれないと思い警戒している。
「話をしたことがなくても、夏の男女の花の露、あなたに会いたくて神に願掛かけてここにまいりました。手水鉢の手紙の意味もまったく思うことなく私を殺すというならそうなさいませ」
「俺はいま、見おぼえぬ罪でここに軟禁されている。そんなときに芸者にうつつを抜かすなんてないだろう」
「私がかんざしでこの家のものを殺した意味がわかりますか?わたしの思いがつたわらないならどうか私もこの場で殺してください」
そう言われて刀を下ろす。あさけ野は手をあわせてかしこまっている。

「その思いが本当だというのはわかったけれど、俺と夫婦なんてここを出なきゃ無理だよ」
「その思いだけで充分です、私とともに、ここを逃げましょう」
「どうやって?」
「私はこの屋敷に20日います、夜には夜の通行証がありますし、私は軽業も身に着けています」
「わかった、無事ここを出て、友との約束を果たしたらお前と夫婦になろう、このかんざしはお前のものだ、返しておくぞ」


「このかんざしは明日の成功を祈って神にささげましょう」
そう言ってかんざしを池に投げ入れた。
「話したいことはたくさんあります。しかし夜が明ける、私をお待ちください」
あさけ野はふたたび月明かりの中、塀をつたって部屋に戻って行った。
小文吾は死体を隠して明日を待つ。歌の意味か。よくわかんねえな。

馬加邸からの脱出

 いつものように飯がはこばれる。聞き耳をたてると今日も向こうでは宴会があるらしい。小文吾はじっと縁側に座っている。
あさけ野は、成功するだろうか、失敗して殺されたら可哀想だ、あいつにとって、ここで命をかけるような時ではないだろう、また俺も手伝えたかもしれないのに、ここで座っているだけなんて。
そうは思うが、できることはない。小文吾はとにかくすぐに出立できる準備だけは整え、夜をまつことにした。
 垣根を越えて人影が飛んでくる。

「あさけ野か?」小文吾の胸は緊張につつまれた。
あさけ野の髪は斬り割かれ、服は血まみれ、右手の刀も血にぬれている。
「お待たせしました小文吾さま。通行証はこれでございます」
左手に持っていたものをゴトリと縁側に投げる。そこには馬加大記まくわりだいきの首があった。
小文吾は驚き尋ねる。「お前、あさけ野!なぜ?」
あさけ野は返り血に染まった顔でにっこりとほほ笑み答える。
「そうでした、ここに至っては隠し事は無用ですね、私は実は男なのです。馬加大記まくわりだいきが嘘の裁判でおとしいれた粟飯原首胤度あいはらおおとたねのりの側室の子なのです。奸計のために父の一族はことごとく打ち首になりましたが、側室はゆるされました。母はその時私を身ごもっていたのですが、病気とうそをついて私を腹にかかえたまま3年隠しとおし、田楽で太鼓をたたくことで生活をたて、私が産まれても女として育て、いつか仇を討つことを夢にみて育ってきました。本当の名を犬坂毛野胤智いぬさかけのたねともと言います」
小文吾は黙って聞いていた。
「今夜の宴が終わり、みなが寝静まると宴席にはさむらいどもはみな酔いつぶれて寝ているし、仇は家族と寝室です。私は馬加の枕元でしっかりと名乗りをあげ奴を起こし、そのうえで八つ裂きにしてやりました。子供は梯子から落ちる母の下敷きに、他のさむらいたちを討ち殺しているうちに、屋敷の下人たちも俵の下敷きになり全員死にました」さらりと言う。
「とても優れた女性だと思っていたが、想像していた以上のものだった、しかし男だったとは」

「あなた様のことは、ひとづてに、とても素晴らしい勇士であると聞いていましたので、ここで殺すより一緒に逃げたいと思ったのです。色になびくか試してみたのですが、思った以上の男振りでしたね」
「聞きたい事は山ほどあるが、ここから逃げなければ明日の朝には兵士に囲まれるぞ」
「お任せください、この屋敷のからくりはすべて把握いたしました」
馬加大記まくわりだいきの首を腰にくくりつけ、あさけ野あらため犬坂毛野胤智いぬさかけのたねともは裏口から小文吾とともに忍術を駆使して脱出した。

「ここまで来れば大丈夫だろうか」
「そうでございますね、墨田川を渡った方がよろしいでしょう」
遠くに人を集める太鼓の音が聴こえる、討ち漏らした下男が人を集めたのか。ものの数ではないな、小文吾が身構えるが、毛野が止める。
「わたしにはもう一人、うたねばならぬ仇がありますれば、ここは逃げて機会を待ちとう存じます」
「よし、急いで渡河しよう」
上流から渡し船が来る、毛野が呼び止めるが無礼にも止まらない。
「頼んでるのに止まらないなどありますか!」毛野は12mをひとっ飛び、船に乗り込み船頭を打ち負かして櫂を奪うが流れが速い。
小文吾は泳ぎが達者だがどうにもなかなか追いつけない。別のいかだ船が上流から流れて来るのでそれにつかまると、船頭が
「米泥棒か、朝早くから不届きなやつ、ふんじばってやれ!」と、船員をけしかけるので、小文吾はここぞとばかりに大暴れ、夜明けの光に照らされて船頭が声をかける。

「なんと、もしかして古那屋の若旦那??」船頭は知った顔だったのだ。
そのまま、小文吾と毛野は別れてしまうことになる。
歌の意味か。分け入った、死の檻が途絶えるときに外に出ろということか。あいつがいなければ死んだのは俺だったかなと小文吾は思う。

こうしてあさけ野と小文吾は、出会うとともに別れてしまう。
小文吾は、不思議とあさけ野、犬阪毛野のことを兄弟と感じとる。このあと、小文吾は他の兄弟とともに、彼を探す。
再開を果たすのは、しばらく後になってからである。

おわりに

こんにちはhakuroです。良い連休をお過ごしですか?
以前、私は里見八犬伝について、ストーリーおさらい記事を書きました。

これを書いたころは、「AIで絵が描ける」という挿絵もまあ、たくさん出そう!という感じでなく、トップ絵イメージだけでもいいや、という感じでしたね。思い出深いです。

そして、今月映画八犬伝が公開されますね。

楽しみです。私は字幕が無いとお話の内容がまったく聞こえないので、ウェアラブルカメラを使わなくても良い、字幕版が出たら見に行きたいと思っています。

しかし、楽しみです。楽しみすぎて里見八犬伝の記事を再度書きたい。

そんな記事でした。
StableDiffusionを使用して、キャラを固定しながら出力を試してみました。

どうやってキャラ固定したかって?
それは怒られそうなので秘密です。

ではまた別の記事で。

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