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<ショートショート> 未来の自分が謝りに来た

 朝、未来の自分が謝りに来た。  

玄関に立っていた男は、間違いなく俺だった。

少し年を取っているが、顔も声も同じだ。  

男はいきなり頭を下げた。

「すまん」  

俺は驚いた。

「何がだ?」

男は首を振る。

「それは言えない」  

後悔を減らすために作られた制度らしい。

未来の出来事を具体的に伝えることは禁止されている。  

謝罪だけが許されている。

男はまた頭を下げた。

「本当にすまん」

「だから、何がだよ」  

未来の俺はしばらく黙っていたが、やがて言った。

「一つだけ言えることがある」

「なんだ」  

男は俺を見た。

「これからお前は、後悔する」

「何を?」  

男はまた首を振った。

「言えない」  

沈黙が続く。

やがて男は玄関に向かった。  

帰るらしい。  

ドアを開けながら、男は振り返った。

「すまん」  

三度目だった。

俺は思わず叫んだ。

「何をしたんだ!」  

男は少し考えた。  

そして静かに言った。

「まだしてない」

少し間を置く。

「これからする」

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