【借金3000万男の記録】
第7話 消えた元嫁と、残された子供
離婚してから、子供とはなかなか会えない日々が続いていました。
親権は元嫁側にあり、面会の約束をしても、直前でキャンセルされることが何度もありました。「今日は熱があるから」「予定が変わったから」。理由はその都度違いましたが、結局会えないという結果だけが積み重なっていきました。
正直、悔しさと無力さでいっぱいでした。
自分の生活を立て直すことに必死で、多くを言えない負い目もありました。「まともに養育費を払えていない自分に、強く言う資格はあるのか」。そんな迷いが、僕をさらに黙らせていました。それでも、子供に会いたいという気持ちだけは、日に日に強くなっていきました。
そんなある日、思いもよらない知らせが届きました。
元嫁が、いなくなったというんです。
子供は、元嫁の実家に置かれていました。元嫁本人だけが、家を出たまま戻らなくなった。連絡も取れず、行き先も分からない。子供を実家に預けたまま、蒸発してしまったんです。
正直、最初は状況が飲み込めませんでした。
子供は無事だと聞いて、まず安堵しました。でも同時に、別の混乱が押し寄せてきました。元嫁の実家とは、離婚の経緯もあって、決して良好な関係ではありませんでした。その相手の元に、子供が置かれている。自分の子供でありながら、簡単に会いに行ける状況ではありませんでした。
「なぜ蒸発したのか」
理由は、今も正確には分かりません。想像はいくつもありますが、ここで憶測を書くことは控えようと思います。ただ一つ言えるのは、母親としての責任も、僕への説明も、すべて放り出して、元嫁は姿を消したということです。
子供が実家に置かれていると分かってからも、状況はすぐには変わりませんでした。親権や今後の生活について、元嫁の実家側とやり取りをする必要が出てきましたが、感情的な溝もあり、簡単には進みませんでした。
この時期のことは、正直あまり詳しく書けません。行政や関係機関に相談したり、できることを一つずつ探したりしていましたが、詳細はここでは控えます。ただ、金銭的な問題とはまったく違う種類の苦しみが、この時期の僕を支配していたということだけは伝えておきたいです。
借金は、努力すれば数字として確実に減っていきます。返した分だけ、前に進んでいる実感があります。
でも、子供の状況には、そういう「努力すれば報われる」という感覚がありませんでした。何をどれだけ頑張っても、状況が動くかどうかは自分の手の中にない。この無力感は、これまで経験してきたどんな苦しさとも違うものでした。
それでも、僕にできることは限られていました。
目の前の生活を、まず立て直すこと。
そして、子供にいつか胸を張って会えるように、恥じない自分でいること。
結局、僕はまた仕事に向き合うしかありませんでした。子供のことを考えない日はありませんでしたが、考えるだけでは何も変わらない。だったら、せめて自分がやるべきことをやろう。そう自分に言い聞かせて、日々をこなしていました。
次回は、この出来事の後、子供や元嫁の実家との関係がどう変化していったのか、書ける範囲で綴っていこうと思います。
