#166:【夏休み企画〜あの人に会いに〜】プロフェッショナル 一流に学ぶ〜秋田大学・小林真人先生から学ぶ。『数学』を通して得られる生きる上で大切な3つのこと〜

「ふるさと秋田をこよなく愛する教師」
Yu-No先生です。
この夏休みは、自分の中で一つのテーマを決めました。
人に会う夏休みにする。
島人先生が以前、「最高のインプットは『人』だ」というお話をされていました👇
その言葉がずっと心に残っていて、この夏は積極的にさまざまな先生方と出会い、学びを拾い集めようと決めました。

だからこそ、本当に自分が会いたい人を
見極める。
出会いも自分からしっかり掴みにいく🔥
その第一弾となったのが、
あきた数学教育学会上半期セミナー
です。
この学会は、『秋田の教育を数学教育から発展させていく』という、素晴らしい理念のもと立ち上がっており、自分も気付けばそこにいました🔥
秋田大学、高校、中学校、小学校と数学教育を通して連携を図っています!🔥

今回のセミナー講師は、秋田大学大学院理工学研究科の小林真人先生。
テーマは、
「高校生と一緒に定理の再発見を目指す授業の試み」

大学時代に数学を専門として学んできた僕にとって、とても刺激的な時間となりました。
今日は、その中で特に心に残った3つの学びを紹介します。

小林先生からは発信許可は得ています💪
学びは拾うもの!ガッツでレディゴー!🔥
① 数学的な見方・考え方は、小学校から大学までずっとつながっている
今回の講演では、高校生が自らFB定理を発見していく授業が紹介されました。

ファブリシウス・ビエル(Fabricius-Bjerre)の定理幾何学・微分幾何学の分野における平面曲線の性質に関する定理。閉曲線や変曲点、接線と曲線の交わりの数や幾何学的インデックスの関係性を表す。

FB定理(Fabricius-Bjerreの定理)は、
「ぐにゃぐにゃした閉じた曲線をよく観察すると、一見バラバラに見える特徴同士に、実は決まった関係がある」
ということを表した定理です。
例えば、
・曲線が内側にくぼんでいる場所
・曲線が自分自身に近づく場所
・接線がもう一度曲線と交わる場所
などを数えていくと、
どんな複雑な曲線でも、必ずある決まった関係式が成り立つ
という、とても美しい定理です。
つまり、
「見た目は複雑でも、その裏には必ずルールがある。」
これがFB定理の面白さです。
⸻
小学生でも分かるイメージ
例えば雲の形を見てください。
☁️
ぐにゃぐにゃしていますよね。
でも数学者は、
「この形にも実は法則があるんじゃない?」
と考えます。
そして、
・ここはへこんでいる
・ここはふくらんでいる
・ここは線が近づいている
という特徴を全部数えていくのです。
すると、
「えっ!どんな形でも同じ関係式になる!」
という発見がありました。
それがFB定理です。



下のURLに、実際の授業の記録が載っています👇
もちろん内容は大学数学につながる難しい分野です。
しかし、驚いたのは、その問題を解決するために高校生が使っていた考え方でした。
「一つへこみを増やしてみたらどうなる?」
「もっとたくさん試してみよう。」
これはまさに、
「まずはたくさん例を調べて、
何か規則性がないかミツケル。」
という数学的な見方・考え方です!

(数学一族9人衆)
つまり、大学数学だから特別な考え方を使っているわけではありません。
小学校、中学校で育ててきた数学的な見方・考え方を、そのまま働かせているだけなのです。
この話を聞いて改めて思いました。
教育は分断されていない。
小学校、中学校、高校、大学、そして社会。
全部が一本の線でつながっている。
そんなことを考えさせられる講演でした。

② 「与えられる数学」ではなく、「発見する数学」が主体性を育てる
小林先生がお話されていた今の大学生の特徴も印象的でした。
「定理は先生が教えてくれるもの。」
「ルールは最初から与えられているもの。」
そんな受け身の姿勢をもつ学生が増えているそうです。

だからこそ今回の授業では、
定理そのものを自分たちで見つける。
という授業を設計したそうです。
実際、生徒からは、
「頭が熱くなるくらい考えた。」
「教わるより、自分で見つける方が楽しかった。」
「自分でも新しい発見ができるかもしれない。」
そんな感想が数多く寄せられたそうです。
この話を聞いて、中学校でもまったく同じだと感じました。
教師が全部準備して、全部説明してしまえば、生徒は受け身になります。
でも、
「どうしたらいいだろう。」
「これって他にもあるんじゃない?」
「これって一般化できない?」
そんな問いをもつ時間を保証すると、生徒は自然と前向きになります。
だから僕も授業では、もっと「発見する教材」を増やしていきたい。
そして学級経営でも、生徒自身が考え、自分たちでつくるクラスを目指したいと改めて思いました。

学びは自分から『拾い』にいかなきゃ🔥
③ 数学が好きな子は、未来をつくる人になる
最後の質疑応答で、僕は小林先生に質問しました。
「数学好きな子どもが増えた、その先にはどんな未来を描いていますか?」
先生の答えは、とても印象的でした。
「自分で考え、責任をもって判断し続ける人を育てたい。」

ルールだけに縛られる人ではいけない
ってわけか
さらに講演後、先生から興味深いお話を聞きました。
企業の方々と話をすると、よく
「数学が得意な学生が欲しい。」
と言われることが多いそうです。
理由を聞くと、
数学が得意な人は、一つ問題を解決すると、
「じゃあ、こうしたら?」
「もし条件を変えたら?」
と、その先まで自然と考え始める。
一つの仕事を任せると、1を10、20へと広げてくれる人が多いというのです。

というより、これって‥



でも、確かに納得しました。
数学的な見方・考え方とは、結局、数学の問題を解決するときだけに働かせるのではなく、
生きていく中で、自分の未来を考え、可能性を広げ、新しい価値を生み出すため
に働かせるものですから。
だからこそ、数学は社会で必要とされる。
その理由を改めて実感することができました。

マインドが変わる🔥
おわりに
今回の講演を通して、数学教育の本質を改めて考えることができました。
小学校、中学校、高校、大学、そして社会。
さらに、その原点には子育てがあります。
教育は決して点ではなく、一本の線です。
だからこそ、それぞれの校種がつながりながら子どもたちを育てていくことが大切なのだと強く感じました。
そして何より、小林先生のように「数学が好きな子どもを一人でも増やしたい」という熱い思いをもつ先生が秋田にいることが、僕自身にとって大きな励みになりました。
この夏は、まだまだ多くの方々と出会う予定です。
一流の方々から学んだことを、自分なりに整理し、現場で実践し、そしてまた皆さんに発信していきたいと思います。
🧑🏫小林真人先生紹介🧑🏫
小林真人先生は、秋田大学大学院理工学研究科・数理科学コースの研究者です。専門はトポロジー(位相幾何学)という数学の分野で、図形や空間の性質を研究されています。
「数学をする楽しさ、数学を活用することの大切を伝え、数学を好きな子どもたちを一人でも多く増やしたい。」という熱い思いをもっています。
現在、数学を専門に学ぶ学生は年々減少しているそうです。その現状に対し、小林先生は「これは大学だけの問題ではなく、みんなで取り組む総力戦だ」と話されています。
だからこそ、高校と大学をつなぐ「高大接続」を大切にし、高校生が自ら定理を発見する授業づくりや、数学の楽しさ・面白さを実感できる企画を数多く実践されています。
また、先生は「数学は、まだ分からないことがたくさんあるからこそ面白い」とおっしゃっています。
答えを教えるのではなく、自分で発見する喜びを味わってほしい。その思いが、今回の「FB定理を再発見する授業」にも込められています。

小林先生、ありがとうございました🤲

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