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SUMMITからharuka nakamura、ラブリーサマーちゃんまでを橋渡しするジャパニーズオルタナ最前線の宅録アヴァンポップ。『botto(2023)』 / 野口文

野口文(のぐち・ぶん)は2001年生まれ。

幼少期からクラシックピアノを習い、高校時代からDAWでの音楽制作をはじめる。

大学在学中に音楽プロジェクト「C子あまね」を立ち上げコンポーザーとして活動。
ちなみにC子あまね在籍時は野口文也(恐らく本名)名義となっている。

2023年に発表したソロ名義でのデビューアルバム『botto』が、後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)主宰のAPPLE VINEGAR - Music Award 2024にて特別賞を受賞し、新進気鋭の音楽クリエイターとして一躍注目を集める存在となる。

botto(2023)/ 野口文


C子あまねの楽曲群に比べ、かなり先鋭的な方向に針を振った同作品。

ストラヴィンスキーとジョン・コルトレーンの『至上の愛(1965)』に多大な影響を受けたと語る野口の、よりパーソナルな前衛性が如実にあらわれた強烈なエネルギーと個性を放つアヴァンポップアルバム。

カオスとキャッチーが入り混じる複雑なサウンドながらとっつきづらさは無くて、トレンド感のあるヒップホップマナーとエアリーな女性ボーカルが心地良く、まさに令和世代のオルタナ集大成にして最前線といった趣の網羅的傑作。

インタビューで冨田ラボに言及していたが、その大衆感覚のスパイスも同アルバムのキャッチーさを担保しているように思う。
サウンド的な質感で言えば、本人は全く意識していないだろうとは思うが強いて挙げればキセルや幽体コミュニケーションズ辺りが近いかもしれない。ヒップホップの洗礼を受けた辻村兄弟とでも言うべきか。


デジタルネイティブ世代にも関わらず携帯どころかスマホも持たず、SNSも一切やっていなかった(現在はXもインスタも開設中)というまさに令和世代の「奇才」「天才」のキャッチコピーがよく似合う野口だが、だからと言って彼自身は友人関係の乏しい自室にこもる孤高のクリエイターみたいなタイプの人ではなくて、本作『botto(2023)』についても、野口が所属していたサークル(早稲田大学中南米研究会)周辺の友人達と和気藹々で制作した作品である。

下記に貼ったの本アルバムの制作風景に見てとれる、令和世代らしい横のつながりの強さ、アイディアから完成までをインナーサークルなDIYで貫徹してしまうスマートさも「令和世代のクリエイティブ」って感じがして良い。

bottoレコーディング-ボーカル(bottoⅡ, Ⅶ)


今年2月に発表した2ndアルバム『藤子(2025)』についても、1stアルバムとは毛色の違うローファイなアコースティックサウンド主体の作品ながら、1st同様に一筋縄ではいかないポストクラシカルの怪作となっている。こちらも俄然オススメ。

藤子(2025)/ 野口文


野口文は、SUMMIT周辺の日本語ラップからharuka nakamura界隈のアンビエントシーン、そしてラブリーサマーちゃんまでを同一線上で伏線回収する令和世代のトップランカーになり得る才能の持ち主であり、彼自身のクラシックの素養を鑑みれば、音楽性に関してもまだまだ手札を隠し持っていそうな底知れなさがある。
何より気負いなく音楽作りを楽しんでいる感じがするし、リスナー側にもその楽しさが伝わってくる。

とにかく今後が楽しみな日本のアーティストの一人だし、彼と関わりのあるアーティストや周辺のシーンについても、私がここで紹介するしないに関わらず、いずれ今よりも大きな注目を集めることになるだろう。

3rdアルバムも鋭意作成中とのことなので、音楽ファンの皆さんは今のうちに是非、野口文の生み出す新世代のオルタナティブサウンドをチェックしてみてください。

bottoⅣ(2023)/ 野口文


bottoⅧ (2023)/ 野口文


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