井上尚弥が「金満ボクシング」に鉄槌!高額契約横行で歪む業界
井上尚弥が、世界を覆う“金満ボクシング”に「待った」をかけた。
サウジアラビアのオイルマネー参入により、ここ数年で夢の対戦カードが次々と実現。米英のプロモーターや選手たちその資金力に魅了され、「ラスベガスに代わるボクシングの未来」とまで言われてきたが、5月、そこに綻びを見た。
5月2日、ニューヨーク・タイムズスクエアで開催された画期的な無観客イベントは、奇抜な演出とは裏腹に、主要3試合すべてが凡戦。続く3日、サウジで行なわれたサウル・カネロ・アルバレスの世界戦も、パンチヒット数が世界戦最低という内容だった。どちらもPPV(ペイ・パー・ビュー=番組課金)イベントでありながら、「巨額ファイトマネーに見合わない大失敗」と批判が起こった。

しかし、その白けた空気を吹き飛ばしたのが、4日のラスベガスで行なわれた井上尚弥の試合だった。相手が無名のラモン・カルデナスで、アメリカでのテレビ中継は無料(ESPN契約者なら追加料金なし)。観客の入りはイマイチだったが、井上は序盤にダウンを喫しながらも慎重策をとらず、怒涛の反撃で会場を総立ちにさせるKO劇を見せた。辛口で知られるアメリカの評論家たちにも、「今年最高のファイト」と絶賛。「もう高額報酬に満足した骨抜きの選手たちはいらない」という話が飛び交いだした。かつて、亀田兄弟の「パフォーマンス主体のボクシング」に異を唱えて、「試合で魅せたかった」と言った井上が、日本だけでなく、世界でもそれをやってのけたのである。
ただ、その矢先、日本でも「同じ歪み」と関係者の間で指摘された世界タイトルマッチがあった。相場を大きく超える高額ファイトマネーが支払われていたことが判明し、これまた同様に試合内容が低調だったのだ。なぜ関係者はファイトマネー相場を気にするのか、ボクシング界が直面するジレンマを明かす。
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