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植物屋のこぼれ話(続編)乾燥地の植物その22 by立花吉茂

乾燥地の植物
 日本は雨の多い国だから、乾燥地の生活体験がない方が多いので、水の植生への影響について深く考える人が少ないように思う。世界の乾燥地域については過去に本誌でふれたことが何回もあったが、今回は乾燥した大陸、オーストラリアの植生について記そう。
 筆者の訪ねたのは東南部だけであるが、そこはオーストラリアの唯一の森林地帯である。飛行機でオーストラリア大陸を上空から見ると日本のような緑の大地と違い、赤茶けた土地が延々と続く。やがて東南部の森林地帯にさしかかるが、緑色がない。高度が下がると銀色の大地になってきた。着陸寸前にそれがユーカリの林であることがわかった。日本に植えられたユーカリは銀色に光ってはいるが一応緑色をしている。ここオーストラリアでは完全に銀色である。着陸して自動車で走ると実に多くの種類のユーカリがあることに気づく。しかし、大部分の種は銀色である。ごく稀に日本に植えられた種の緑色程度のものもある。

ユーカリの林
 ユーカリの木はオーストラリアの特産品であるが、これは一応常緑樹である。一応とことわったのは常緑という字にこだわっただけで、落葉樹ではない。乾燥に強く、本来なら暖帯落葉樹林帯に発達しているはずの種類である。一属300種という大きな属だが、熱帯から温帯まで分布し、山の尾根筋や谷底などに適応した種が棲みついている。古く日本に導入されて、大木に育っているのはグロブルス(E. globulus)で、これはオーストラリアの南にある雨量の多い、寒い地のタスマニア産であり、これは現地でも緑色であった。また、北部亜熱帯地域の河辺林にあるE. camaldulensis種も比較的よい緑色をしている。この種はタイ国の緑化に用いられて好成績を挙げていた。

降水時間とその分布
 オーストラリアは乾燥した大地であるが、雨の降る時間で植生帯がはっきりと分けられる(図)。

 同じような気候帯の世界各地に植林され、北米カリフォルニアやマダガスカル、南米ウルグアイには大木が生い茂っていて、ここが原産地ではないか?と思うほどよく成長している。日本には多くの種が導入されたが、雨が多いのと台風によって全滅し、植林で成功した場所は皆無である。筆者のいた植物園にも30種あまり導入し、オーストラリア区を設けて植栽したが残っているのは前期のグロブルス種だけである。
 意外なことに私が見たオーストラリア東南部の野生の木は、胸高直径50cm程度の大木に過ぎなかったが、マダガスカルでは直径1mを越えるものがたくさんあった。これは国に例えればイギリスとアメリカとの関係みたいに思えてならない。中国原産のイチョウやクスノキが、中国よりも日本の方が元気に大きく育っているのと同じことかもしれない。
(『緑の地球』124号 2008年11月掲載)


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