街のビジョンが消えない理由。エンジニアが語るDOOH開発の面白さ
広告配信の開発と聞くと、Webの世界を思い浮かべる人は多いかもしれません。
ジーニーの広告配信の開発チームでは、Web広告に加えて、DOOHを扱っており、幅広い面白さがあります。
DOOHとは、街中の大型ビジョンや店舗内サイネージに広告を届けるプロダクトです。オフラインでの広告体験では、求められる要件も、開発の難しさも、向き合う手触りも異なります。
しかも、DOOHでは、1つのプロダクトの中で、配信基盤・端末・管理画面・アプリまで横断して扱う場面もある。だからこそ、エンジニアとしての開発範囲も視野も広がっていきます。
今回は、デマンドサイド開発部 部長の小宮山さんと、同部の岩井さんに、ジーニーのデマンドサイドの開発の幅広さ・面白さ・難しさについて聞きました。

1つの部署で、3つのプロダクトをつくるオールマイティ集団
――まずはじめに、デマンドサイド開発部の扱うプロダクトの特徴から教えてください。
小宮山さん:
一言でデマンドサイドと言っても、1つの部署で3つのプロダクトをつくっています。扱っているドメインは、「広告配信」という点では共通していますが、プロダクトごとに性質が大きく異なります。
WebやECサイトにフォーカスした領域もあれば、DOOHのように屋外広告やサイネージに向き合う領域もある。
同じ広告配信プラットフォームでも、何を重視するかはかなり違います。
――具体的には、どう違うのでしょうか。
岩井さん:
例えばWeb広告だと、高いトラフィックにどう対応するかが重要になります。1秒間に10万リクエストという膨大なトラフィックを捌くことが求められ、処理速度などを重視しています。
一方でDOOHは、もちろん配信の仕組みは重要ですが、それ以上に「確実に狙った時間に狙った場所で表示されること」の重みが大きいんです。
街中の大きなビジョンが突然真っ暗になったら、それはユーザー(街を歩く人)にとっても広告主・媒体社双方にとっても大きな問題です。
なので、単純な配信の負荷の対策だけではなくて、「その時間に、確実に届け切る」ための設計や運用がすごく重要になります。
DOOHは「配信する」だけでは終わらない
――「確実に届ける」というのは、開発の観点だとどんな違いになるのでしょうか。
岩井さん:
簡単なDOOHの仕組みとしては画像のようなイメージで、運用者が設定した広告内容が実際にディスプレイに投影されるまでには、様々なプラットフォームを経由します。
設定した動画や画像が、ディスプレイに確実に表示されることを担保する、という発想が必要になります。
そのために、放映の少し前からダウンロードを始める設計にしたり、ネットワーク環境や素材のサイズ、秒数を見ながら、どのくらいの余裕を持たせるかを考えたりします。

――同じ広告配信でも、求められる設計思想が違うんですね。
小宮山さん:
そうですね。
Webだと、表示の直前までの最適化やスピードが重視される場面が多いですが、DOOHでは「実際にディスプレイで再生できる状態になっているか」が大事です。
日常、スマホやPCでは、ネットワークが弱いと広告が止まってしまうことはよくあると思うのですが、DOOHで同様のことが起きたら、広告主・視聴者・媒体社全員に大きな影響を与えます。
端末や設置環境、通信プロトコルの比較まで含めて最適化して、放映を完璧に成立させる必要があるので、前提や重要な観点が全く異なります。
1つのプロダクトの中で、触れる領域が広い
――DOOH開発ならではの面白さは、どこにありますか。
小宮山さん:
1つのプロダクトの中で、触れる技術領域がかなり広いことですね。
DOOHでは、放映用の端末があって、その端末と独自仕様で連携することもありますし、管理画面のWebもあります。配信サーバーもあります。クラウドも使いますし、オンプレミスの配信サーバーもあります。
DOOHの放映機器として広く使われる機器がある一方、Androidアプリで放映する場合もあります。
つまり、1つのプロダクトと言っても、実際には様々な要素がつながっていて、その連携まで考えないと完成しません。
これは、Webだけ、サーバーだけ、ではなくて、「1つの価値を届けるために必要なもの全部を見にいく」感覚に近いかもしれません。
技術者としてすごく面白いところだと思っています。

街の景観に、自分たちの仕事が残る
――技術以外の面白さもありますか。
岩井さん:
もちろんあります。
個人的には、景観に携われることは大きいですね。
大きなビジョンなら街の景観の一部になりますし、店舗内サイネージならお店のインテリアの一部にもなる。街を歩いていて、「あ!自分が携わった広告!」と思えるのは、1つの達成感でもありますね(笑)
広告配信のすべてに携わる
――DOOH開発の特徴として、ほかにありますか。
岩井さん:
広告主側(デマンドサイド)、広告の表示側(サプライサイド)の要素にも向き合う=「広告配信のすべてに携わる」ところは特徴的だと思います。
例えば、ビジョンの管理も我々の業務の1つです。
放映の予定があるのに、端末からアクセスが一度もない場合は、「このビジョンは正常に動いているか」を確認するための通知を自動で送るような仕組みもあります。
案件の入稿や設定を行う管理画面もあれば、実際に放映される端末側の状態も見ていく必要がある。デマンドサイドの文脈で開発していても、実運用に近いところまで視野に入るのがDOOHの面白さだと思います。
領域を広げ、構造を整え、さらなるプロダクト強化へ
――今後、DOOH開発で取り組んでいきたいことは何でしょうか。
小宮山さん:
短期的なテーマで言うと、アーキテクチャをもう少しシンプルにしたいですね。
様々なものを管理している分、複雑につながっている部分もあるので、もう少し構造をほぐしていきたいです。そうすると、開発や改善のしやすさも上がっていくはずです。
もう1つは、チームの技術領域を広げることです。
これまでは少人数で回してきたこともあって、人によって把握している領域に差がある部分もあります。だからこそ、今後はチームの中で「わかる領域」「できる領域」を広げていきたいと思っています。
――これから、どんな方にチームに加わってほしいですか。
岩井さん:
特にAndroidの知見は、これからさらに強化したい領域です。
DOOHではAndroid、Web、配信基盤、端末連携と、複数のレイヤーがつながっているので、その中で強みを持ち込んでいただける方が入ると、チームとしてできることが大きく広がると思います。
小宮山さん:
1つの専門性を起点にしつつ、プロダクト全体に目線を広げていけると、この環境はかなり面白いはずです。
また、冒頭でお伝えした通り、私のチームではDOOH以外にも様々な広告配信のプラットフォームを開発しています。
フロントエンド・バックエンド・インフラなど、幅を広げていきたいと考えている方がいれば、ぜひ一度お話しさせていただきたいです。

DOOH開発の話を聞いていると、そこにあるのは単なる広告配信の話ではありませんでした。
Android、Web、配信サーバー、管理画面といった複数の領域を横断し、街の広告配信の確実性を担保すること。
ジーニーのDOOH開発は、広告という枠組みにありつつ、携わる領域は幅広い。
だからこそ、1つの専門性を深めながら、プロダクト全体に踏み込んでいきたいエンジニアにとって、大きな挑戦の場になるはずです。
