Conclusionを読む:結果から言えることだけが書かれているか
ここまで、Introduction、Methods、Discussion、Limitationsの読み方について書いてきました。
今回は、Conclusionの読み方です。
Conclusionは、論文の最後にある短いまとめです。
短いので、ついさらっと読んでしまいがちですが、ここには著者が最終的に何を言いたいのかが出ています。
Conclusionでまず確認したいのは、ResultsとDiscussionから自然につながっているかです。
Introductionで問いが示され、Methodsで方法が説明され、Resultsで結果が示され、Discussionでその意味が解釈され、Limitationsで言えないことが整理される。そのうえで、最後にConclusionがあります。
つまり、Conclusionは、新しい話を始める場所ではありません。
それまでの流れを受けて、この研究から言えることを簡潔にまとめる場所です。
よいConclusionは、短く、無理がありません。
たとえば、
「本研究では、〇〇が△△と関連していた」
「この結果は、□□の理解に役立つ可能性がある」
「今後、より大規模な研究で検証する必要がある」
というように、Resultsから言える範囲でまとめられています。
一方で、注意が必要なのは、Resultsよりも大きなことを言っているConclusionです。
たとえば、観察研究なのに、
「この治療は死亡率を低下させる」
と強く言い切っていたら、少し慎重に読む必要があります。
本来であれば、
「この治療は死亡率低下と関連していた」
「さらなる前向き研究が必要である」
くらいの表現が適切な場合もあります。
研究デザインによって、言えることの強さは変わります。
ランダム化比較試験であれば、介入の効果について比較的強く述べられることがあります。一方で、後ろ向き観察研究では、因果関係を強く言い切ることはできません。
Conclusionを読むときは、
この言い方は、研究デザインに合っているか
Resultsで示された範囲を超えていないか
Limitationsで書かれた限界を無視していないか
を確認するとよいです。
Conclusionだけを読んで、論文全体を分かった気にならないことも大事です。
Conclusionは短くまとまっているので、分かりやすく見えます。
しかし、そこだけ読むと、著者の主張をそのまま受け取ってしまうことがあります。
大事なのは、Conclusionを読んだあとに、
「これはResultsと合っているか」
「Discussionでの解釈とズレていないか」
「Limitationsを踏まえても、この言い方でよいか」
と確認することです。
とくに、Conclusionで強い言葉が使われているときは注意が必要です。
demonstrated
proved
should be used
is effective
reduces mortality
improves outcomes
こうした表現が出てきたら、その研究デザインと結果から本当にそこまで言えるのかを見ます。
一方で、
may
might
suggest
was associated with
could be useful
warrants further investigation
のような表現は、少し慎重な言い方です。
もちろん、慎重な表現なら何でもよいというわけではありません。
ただ、論文では「言い切れること」と「可能性として言えること」を分ける必要があります。
Conclusionを読む練習をすると、自分が論文を書くときにも役に立ちます。
論文を書くとき、最後に少し大きなことを言いたくなることがあります。
「臨床に役立つ」
「新しい治療につながる」
「今後の標準になる」
「重要な知見である」
そう書きたくなる気持ちは分かります。
でも、Conclusionでは、Results以上のことを言いすぎない方がよいです。
言いすぎると、査読でよく指摘されます。
「この結論は結果から支持されていない」
「因果関係を示す表現は避けるべき」
「Conclusionを弱めてください」
「Limitationsを踏まえた表現にしてください」
こうしたコメントはよくあります。
だからこそ、読むときにもConclusionの強さに注意するとよいと思います。
Conclusionを読むときは、まず次の3つを見てください。
1つ目は、Resultsと合っているか
結果で示されたこと以上の主張になっていないかを確認します。
2つ目は、研究デザインに合った言い方か
観察研究なのに因果関係を言い切っていないか、探索的研究なのに確定的に言っていないかを見ます。
3つ目は、Limitationsを踏まえているか
研究の限界を無視して、大きく一般化していないかを確認します。
Conclusionは、論文の最後の一言です。
だからこそ、強く見えます。
でも、その一言が本当に本文に支えられているかを見ることが大事です。
論文を読むときは、Conclusionをただのまとめとして読むのではなく、
この研究で本当に言えることは何か
著者は言いすぎていないか
本文から自然に着地しているか
を確認してみてください。
そこまで見ると、その論文の読み方がかなり深くなります。
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