公立育ちの親が、子供を私立中高一貫に通わせて気づいたこと
私自身は公立中学・公立高校出身。妻も同じ。そんな夫婦が、3人の子供全員を私立の中高一貫校に通わせることになった。
正直、最初はわからないことだらけだった。私立中高一貫校の世界が、自分たちの知っている学校とどう違うのか。子供たちが入学するまで、想像するしかなかった。
6年間通わせてみて、気づいたことを書いておきたい。
学習スピードが、公立とは別次元だった
最初に驚いたのは授業の進む速さだ。公立中学と比べると、学習スピードが圧倒的に早い。
ただ、通わせながら気づいたことがある。これは私立が特別に速いのではなく、公立中学が遅すぎるのではないかということだ。
イメージとしてはこうだ。中学から高校までに仮に10のことをやらなければならないとして、
中高一貫校:5年間で毎年2ずつ進め、最後の1年を大学受験対策に充てる
公立:中学3年間で3しか進めず、残りの7を高校3年間でこなす
公立は中学での遅れを高校で取り戻しながら、同時に大学受験も戦わなければならない。一方で一貫校は、最後の1年を丸ごと受験に使える。
大学受験を見据えるなら、中高一貫校は圧倒的に合理的で有利だ。 決して授業スピードが早いのではなく、公立中学が遅すぎるだけ。そのことに、通わせて初めて気づいた。
友人関係・人間関係の質が違った
公立の場合、学区内の子供が集まる。家庭環境も、価値観も、バラバラだ。それ自体は社会の縮図として悪いことではないが、私立中高一貫校は違う。
同じ受験を乗り越えてきた子供たちが集まる。
意識の高い生徒が多く、友人関係の質が自然と変わった。勉強や将来について普通に話せる友人ができた。子供たちが刺激を受け合いながら成長していく姿を、親として間近で見ることができた。
これは正直、入学前には想像していなかった効果だった。
先生と生徒の距離が近かった
公立のイメージとして、先生はどこか「管理する側」という印象があった。しかし私立中高一貫校では、先生と生徒の距離が明らかに近かった。
担任だけでなく、様々な先生が生徒一人ひとりをよく見ていた。6年間同じ学校に通うからこそ、先生との関係も長く深くなる。子供たちにとって、信頼できる大人が学校にいるという環境は、思った以上に大きかった。
学校行事・文化祭が本気だった
文化祭や体育祭などの学校行事が、とにかく充実していた。生徒が主体的に企画・運営する文化がある。親として見に行くたびに、子供たちの生き生きとした姿があった。
勉強だけでなく、こういう場面での成長も、6年間を通じて積み重なっていったと思う。
保護者との付き合い、正直気後れした
入学当初、保護者の集まりに参加して面食らった。意識の高い保護者が多い。会話の中に出てくる情報量、教育への関心の深さ、全てが自分たちとは違う世界のように感じた。
最初は正直、気後れした。公立育ちの自分たちが場違いなのではないかと思った瞬間もあった。
でも時間が経つにつれ、それが普通になっていった。そしていつの間にか、自分たちの教育への意識も引き上げられていた。環境は、親も変える。
光だけではない:ついていけない子供が出るという現実
正直に書いておかなければならないことがある。
私が公立高校に通っていた頃、留年や退学をする生徒はほとんどいなかった。少なくとも身近には見当たらなかった。
しかし子供たちの学校では、毎年5人前後が留年したり、学校を辞めたりする現実があった。
考えてみれば当然かもしれない。公立中学が進度をゆっくりにしているのは、ついていけない子供を出さないためでもある。一貫校はそのセーフティネットがない。中学の間は私立といえど義務教育期間であり、留年は学校側もさせられない。何とかついていけても、高校に上がってから限界を迎える子供が出てくる。
中学受験を乗り越えた子供たちでも、6年間の長丁場で脱落することがある。これは一貫校の光の部分と表裏一体の、影の部分だ。
わが子が無事に6年間を走り切れたこと(ちなみに最後方であったが…)は、決して当たり前ではなかったと、今になって思う。
中学受験をしてよかったのか
答えは、よかった。
ただし、それは偏差値の高い学校に入れたからではない。筑駒でも御三家でも東大でもない。世間的に「大成功」と言える結果ではないかもしれない。
中学受験について「小学生に過酷な受験をさせるのは可哀想」という意見があることは知っている。その気持ちはわかる。もちろん受験以外に全力で打ち込めるものがあるなら、それでいいと思う。勉強である必要はない。
ただ「伸び伸び育てる」「自由に遊ばせる」という反論だけでは、現実には家でゲームをしたりYouTubeを見て終わることも多い。合格できたから言えるのかもしれないが、何よりも私が中学受験を通じて本当によかったと思うのは、合格よりも、小学生の間に家族が一緒になって何かに全力で取り組めたこと。
結局、私立中高一貫校に入れてよかったのか
答えはこれも良かった
中高一貫校での6年間、友人に恵まれ、先生に恵まれ、行事を通じて何かを掴んできた。その積み重ねが、今の子供たちの姿につながっていると感じている。
そして、公立は中学3年で高校受験、高校に入ってまた3年で大学受験と、絶えず結果を求められる。一貫校は受験というプレッシャーから一度解放され、6年かけて子供たちはやりたいことに打ち込める。
更に、6年間というスパンは、子供だけでなく親の心の余裕にも大きく影響する。じっくり子供の成長を見守れる。親にとってこれは、思った以上に大きかった。中高一貫校の方が親も子どもも、公立より精神的ゆとりがあるのではないだろうか。
公立育ちの親だからこそ、比較できることがある。そしてその比較の答えは、私立中高一貫校に入れて良かった、ということだ。
あの時間は、もう二度と戻らない。
このシリーズでは、3人の子供の教育にかかった費用や体験を記録しています。過去の記事もあわせてどうぞ。
