出社日のランチは、乗り継ぎになる
12時を少し過ぎた会議室は、いつもより静かに感じました。
パソコンを閉じる音が重なって、ようやく昼休みが始まったと気づきます。
エレベーター前には、すでに人が並んでいました。
誰も会話はしていません。
スマホを見ている人、腕時計をちらっと確認する人。
私もその列の中に入りました。
13時から研修が入っています。
残り時間を逆算すると、もう余裕はありません。
この記事では、出社日のランチ選択が、
なぜか旅の行き先や移動手段の選択に似ていると気づいた日のことを書いてみます。
昼休みの過ごし方が、そのまま働き方の価値観を映しているのかもしれない、と思ったからです。
🍱並ぶか、売り切れるか、無難に済ませるか
選択肢はいくつかありました。
オフィスビルの外に出れば、飲食店は多い。
けれど、並ぶ可能性が高い。
時間超過のリスク。
社内食堂は早い。
でも、出遅れた日は売り切れていることもある。
コンビニは確実。
ただ、リモートで仕事している日とあまり変わらない昼になる。
頭の奥が少し重いまま、私は計算していました。
価格ではなく、時間のほうを。
これは、旅の乗り換えに似ています。
特急に乗れば早いが、一本逃すと響く。
普通列車は遅いが、大きくは外さない。
乗り換え回数が増えれば、そのぶん不確実性も増える。
出社日は、すでに「移動」をしている日です。
朝の通勤でひとつ旅を終えている。
だから昼は、これ以上のリスクを取りたくない自分がいました。
🍱弁当という安全運転
私はオフィスビル外に停まっていたキッチンカーで弁当を買いました。
決断は早かったと思います。
仕事では判断を重ねているのに、
昼まで冒険する気にはなれませんでした。
研修会場のあるフロアの近くに、フリースペースがあります。
誰でも使えるソファとテーブル。
意外と空いていて、エレベーター前の緊張とは別の空気が流れていました。
ソファに腰を下ろしたとき、ようやく肩が落ちました。
間に合う、という感覚。
弁当のふたを開ける。
味は想像の範囲内。
驚きも失望もありません。
ただ、時間どおりに食べ終えられるという安心があります。
それは、目的地にきっちり到着する旅のようでした。
遅れない。迷わない。冒険しない。
🍱余白より、確実性を取る日
理想はあります。
知らない店にふらっと入り、
メニューを眺めながら少し迷う。
食後にコーヒーを追加するかどうか考える。
でもその日、私はそれを選びませんでした。
選ばなかったというより、最初から候補に入れていなかった気もします。
出社日は、無意識に「安全運転の旅」になりやすい。
移動そのものが体力を使うから、昼にまで揺れを求めない。
リモートの日は違います。
移動の負荷がないぶん、少し遠い店まで歩くこともあります。
昼休みが、ちゃんと「寄り道」になります。
出社日のランチは、乗り継ぎに近い。
時間通りに次の目的地へ向かうための調整。
その選択は合理的です。
でも、どこか味気なさが残るのも事実でした。
研修が終わった夕方、
同じフリースペースはほとんど空いていました。
昼に座ったソファを横目で見ながら、
あのときの判断を思い出します。
あれは正しかったのか、とか、
もっと攻めてもよかったのでは、とか、
そういうことではなく。
ただ、私はその日も、確実に目的地へ向かうほうを選びました。
あなたの昼休みは、旅になっていますか。
それとも、次の目的地への乗り継ぎでしょうか。
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