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なぜ、ギークス広報は「地方」に目を向けたのか。「足で稼ぐ」メディアリレーションの再定義

先日発売された『広報会議』5月号にて、ギークスのローカルメディアとの連携について取り上げていただきました。

広報担当者であれば、誰もが一度は読んだことのある『広報会議』。そんな媒体に当社の取り組みを取り上げていただいたことは大変嬉しいことで、3年以上前、まだ広報が部門として立ち上がる前には想像もつかなかったことです。

取材いただいた誌面では、ローカルメディアにおける広報戦略を整然と語っていますが(笑)、その裏には「どうすればギークスの認知を向上できるか」、さまざまな角度から頭に汗をかいて考え試行錯誤した、泥臭い「もがき」がありました。


広報としてのジレンマと、突きつけられた現実

コンスタントに情報発信できない広報に「生きる場所」はあるのか。

今から3年ほど前、現在の広報・サスティナビリティ推進部という組織が生まれた当時、私たちが直面していた現実でした。

ギークスが主軸とする、ITフリーランスと企業のマッチング事業は、いわゆるtoBのビジネスモデル。「IT人材」という領域は、人材業界という広い括りの中の一部分のマーケットであり、一般的な消費者には馴染みが薄いものです。加えて、「IT人材」という、いわゆる無形商材であるがゆえに、テレビや新聞などが求める「分かりやすい画」は撮りづらく、また、総合人材サービス企業と言われる大手企業もひしめく中で、私たちに興味を持ってもらい、認知を獲得することは至難の業。広報が狙いたい「メディア掲載の獲得」へのアプローチは簡単なものではありませんでした。

また、部内全体で共通認識として持っている「広報のために会社はニュースを生み出すのではない、企業や事業の成長のために新たなアクションを仕掛けた結果がニュースである」という考えに基づけば、現場の動きに対応する「リアクション型」にならざるを得ません。

事業成長に貢献しながら、メディアを惹きつけられるフックを自分たちの手で作り出さなければ。この焦燥感が、私たちの「もがき」の出発点でした。

社内トップクラスの「フィールドワーク」から掴んだ勝機

待っているだけではダメだ。とにもかくにも何かやらなきゃ。そこで私たちが選び取った武器が「フットワーク」でした。脳筋(笑)。

当時は、コロナ禍の自粛ムードが和らぎはじめ、オフラインの熱気が戻り始めた頃。ギークスが拠点を構えるフレキシブルオフィスでも、少しずつイベントが企画、開催されるようになりました。現場の活気を感じることで、何か刺激をもらえないだろうか。気がつけば多くのイベントに参加し、その参加率は社内トップクラスだったはずです。ちなみにイベントの多くは夜に開催されていたものであり、いわゆる「業後」の活動です。

▲佐々木がイベントに登壇することも

フィールドワークにも似た活動の積み重ねで気づいたことは、地方との連携、そしてピッチやライトニングトークといった熱量の高いイベントスタイルを掛け合わせるという選択肢でした。外の世界に飛び出し、様々なコミュニティの温度感に触れ続けたこと、そして、フレキシブルオフィスに地方自治体の方々が多く入居していたことも、その気づきに繋がりました。

とはいえ、これはいいかも!という選択肢に気づいたとしても、そこから何を企画すればいいのか、どう動けばいいのか、課題は山積みでした。

「フィールドワーク」は社内にも及ぶ

「業後」の時間に外に出ていく中、業務時間内は社内、グループ内を駆け回っていました。

例えば、グループ企業のシードテックの広報活動(採用広報を含む)にも手を挙げ、活動領域を広げていくことも並行していました。そんな中、2023年秋に神戸で開催された「Seed Tech Camp」のキックオフを取材した際、ギークスの大阪支店へ伺い、当時の地方営業部部長とのコミュニケーションを開始しました。今思えば、ここがターニングポイントだったかもしれません。

最初は情報交換をするだけでした。地方在住のITフリーランスや地方企業の特徴や困りごと、支店での営業活動、支店メンバーの人となり。知っているようで知らないことだらけだったという気づき(反省)から、現場を知らずして広報活動なんてできないという危機感が生まれました。

この後、経営陣に相談し、現場のマネジメント層やキーマンとの定例MTGを設定していったのですが、当時の私たちへの信頼や期待は高くなく、最初から手放しで協力的だったわけではありません。日々の営業数字を追う現場にとって、広報とのMTGに時間を割くメリットは何なのか。時にロジカルに、時に泥臭く、伝え続けていきました。

私たちにとって救い(幸運)だったのは、ギークスに「メンバーの挑戦を応援する文化」が根付いていたこと。経営陣含め、部門を超えて「広報が動くなら一肌脱いでみようか」と受け入れ、背中を押してくれる文化があったからこそ、少しずつその関係性が深まっていきました。

そして、2023年の年末。地方営業部が主導して企画した「ZundaTech」への広報連携という機会が生まれ、地方メディアに対する広報戦略が始まったのです。

「Zunda Tech」はメディアにとって最高のストーリーだったはずなのに。

「Zunda Tech(ずんだテック)」はどこで開催したイベントでしょう?と尋ねると、多くの方々が「宮城?仙台?」と答えていただけると信じています。

「あ!地元のネタだ!」とメディア関係者の方々の目に留まらないかという1点にこだわり、地元の文脈を冠したキャッチーな名前を付けました。

「Zunda Tech」は地方のIT人材とIT企業が交わるイベント。自治体の後援も含め、その地域をIT人材の力で盛り上げていこうという内容でした。集客やイベントの満足度だけでなく、営業数字にも繋がったことから、翌年は広島で「JackenTech(じゃけんテック)」、岡山で「DenimTech(デニムテック)」を開催しました。

イベント名だけ見れば「キャッチーさ」を意識した企画のようにも見えますが、「人口流出」という地域課題に対し、「ITフリーランスの地域を跨いだ案件参画」という新しい働き方を提示することで、地方在住のIT人材にとっても、地方企業にとっても、また、地元に戻ることを検討する首都圏在住のIT人材にとっても、win-winが生まれるヒントを伝えられればとコンセプトを立てました。

働き方を切り口に、地方のIT不足という痛みを取り除く。この「公共性」「地域課題解決」をフックにメディアを惹きつけられるのではないか。それが皮算用だったことに気づいたのは、仙台、広島とイベントを重ねていった頃でした。

テンプレートは通用しない。「足で稼ぐ」メディアリレーションの再定義

「これだけ揃っていれば、メディアも食いつくはず」 

そんな期待は見事に裏切られました。広報としては「地域創生イベント」としてイベント開催のリリースも打てていましたし、その企画の中核も担うようになっていったので「やってる感」は生まれています。また、イベントの集客は回を重ねるごとに好調になり、実際の売上や案件参画に繋がる出会いも生まれ、事業面での成果も出始めていました。

なのに、なぜ・・・。

メディア露出の獲得は本当に、本当に「一筋縄」ではいかなかったのです。
今思えば「そりゃそうだよね」と思えることもいっぱいあります。当該地方に縁もゆかりもない私たちがイベントを企画し、拠点を構えることもなく「地域を盛り上げる!」と言ったとしても、心を動かすことは難しいはず。また、地域によってメディアの「色」も違う中で、テンプレートをなぞるようなメディアリレーションを行っても、心のシャッターを開けられない感覚が続きました。

まずは「現場」にしっかりと目を向け、「なぜここでやるのか」「その地域にとって、この情報を伝える意義とは」を自分たちで掘り下げ、言葉にして伝えていく必要があると感じました。

そんな中、私たちを支えてくれたのは、フィールドワークの現場で生まれた繋がりでした。

▲他社を巻き込んだイベントを開催したことも

自治体の方々やイベントを応援してくれている企業の皆さまに「本当に私たちはこの地域のためにやりたいんだ」という熱量を伝えていくと、最初は首をかしげていても、段々と話を聞いていただけるようになりました。そこから「地元のメディア関係者」を紹介してもらえたり、アポイントをセッティングいただいたり、イベント当日に呼んでいただいたり。こうして振り返ると、感謝してもしきれません。本当にありがたかったです。

Xで繋がった広報担当者の方に、その地方ならではのメディアの方々とのコミュニケーションについてお話を聞かせてもらったこともあり、そういった方々が関わるイベントにはできる限り参加しました。

また、メディア関係者の方が東京に来ることがあれば、たとえ3分しか時間が取れなくても直接お会いすることもあり、広報がここまでやるのかという「足で稼ぐスタイル」こそが、最終的には北海道新聞や神戸新聞、中国新聞といった地方新聞社の紙面掲載などに繋がったと感じています。

2025年1月の北海道支店・広島支店の開設時にも、この時の繋がりが好影響をもたらしてくれました。

最後に伝えたいこと:AI時代の広報に求められる「手触り感」

これからはAI活用が当たり前になる時代です。リリースやブログの制作にかかる時間は、テクノロジーの力で劇的に減っていくでしょう 。

だからこそ、私たちは「空いた時間」をどこに投資すべきなのか。その答えが、今回の「広報としての生存戦略(=地方戦略)」の中にありました。

デスクの前で効率を追求するだけでなく、泥臭く現場を歩き、人と会い、温度感のある情報を掴みに行く「リアルな接点づくり」に時間を割くこと。AIには代替できない、人間ならではの「フットワーク」と「手触り感のある関係構築」こそが、これからの時代の中で、広報職が生き残る方法だと確信しています。

効率化できる部分はAIに任せ、人間はもっと「熱量」が必要な場所に飛び込んでいく。それが、私たちが考える「広報の新しいスタンダード」への提案のひとつです。

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