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AIを「使いこなす」の定義って?AI活用の「正解」に悶々とする広報の現在地

「AIで広報業務を自動化!」という周囲の成功体験を耳にするたび、「私たちのこれって、本当に『AI活用』って呼んでいいの?」と自信がなくなっていくのは、私たちだけでしょうか。ちょっとは使えてるほうだと思っているのですが。

ギークスPRラボ第3弾。今回のテーマは、多くの広報担当者が口に出せずに悶々としているであろう、この問いです。

「広報としてAIを使えてる」って、何ができていればOKなの?そう言い切れるの?

自分たちがAI活用できているのかどうか、その「現在地」に不安を覚えている皆さん(私たちだけではないはずだと祈りたい)とともに、広報のAI活用における「答え合わせ」と「自信の持ち方」について、今の私たちの「葛藤」をさらけ出しながら、そのヒントを探してみたいと思います。


Geminiと「格闘」して作った、この記事の構成案

今、皆さんが読んでいるこの記事の構成を練るために、Geminiの画面を前に、もがき苦しんでいました。

まさにAIと「壁打ち」をしながら書き進めているわけですが、

「どんなプロンプト入れれば、私たちが伝えたい記事が書けるんだろう」
「この程度しか使えないんじゃ、AI『活用』なんて程遠い」
「いっそ、自力で書いたほうが早いんじゃないか」
「AI活用が上手な人はサクサク仕上げていくんだろうな、うらやましいな」

そんな想いを抱きながら、書き上げていったのがこの記事です。

AIを使いながら文章を書き綴っているだけで「AI活用」と評価してもらえるのかもしれませんが、書く時間がかかればかかるほどに「活用できてない」「きっと周りはもっと上手いんだ」と自己肯定感が削られていきます。

上手く使いこなせていないが故に、AIが出してきたピント外れの構成案に「そうじゃないんだよな」とぼやいたり、その結果、自分の手で一から構成を考えてみたり。これは果たして効率化できているのだろうかと悩みが一層深まります。

一方で、世の中を見渡せば、「AIで広報業務をフル自動化!」「魔法のプロンプトでプレスリリースを秒速で完成!」といった成功事例も溢れていて、その度にPCの画面をそっと閉じてしまいたくなります。

私たちは、このギークスPRラボで「AXに注力する!」「AX Logを書く!」と発信していいレベルなのだろうか。そんな自問自答を繰り返しています。

ただ、私たち、広報の本来の仕事、役割は「ステークホルダーの皆さまへ正しくタイムリーに企業情報を届けること」であり、この悩みや不安、モヤモヤはそもそも必要なものなのだろうかと思う瞬間もあります。

まずは、AIを前にした時の、広報担当者としての悩みや不安、モヤモヤの正体を、少し仮説立ててみたいと思います。

「AI活用」という言葉に引け目を感じてしまう理由

普段から多少なりとも業務でAIを使っているはずなのに、どこか引け目を感じてしまうのはなぜなのでしょうか。その理由をいくつか考えてみました。

「仕組みを作れる人」への劣等感:エンジニア領域への越境は必要なのか?

AI活用で注目を浴びやすいのは、例えば「複雑なワークフローを自動化した」「魔法のプロンプトを編み出した」といった実績です。しかし、これらは、本来はITエンジニアが担うような「仕組みを構築する」領域に近いものではないでしょうか。

そんなスキルと役割の境界線が曖昧になっている現状(過渡期なのだと思います)が、私たちのような「単なるユーザーとしてのAI活用」を、どこか価値の低いもののように思わせてしまい、「AIで仕組みを作ることができなければ、本当の意味での『活用』とは言い切れない」といった、強迫観念に近いものを、気づかぬうちに抱かせてしまっているのかもしれません。

「対価」のジレンマ:広報の1時間は、コストに見合っているか?

マーケティング領域のように「AI活用でCVRが大幅に向上した」といった定量的な実績を示すことができれば、AI活用にリソースを割く稟議も上げやすくなるでしょう。しかし、私たち広報がAIを使ってリリース作成を1時間短縮したとして、「便利になった」という実感だけで、会社への貢献として語っていいのでしょうか。

評価指標が難しいと言われる広報職において、成果が見えにくい「AX推進」に手を出すことは、単なる自己満足になってしまうのではないか。そんな責任感とちょっとした劣等感が、私たちのアクセルを緩めてしまっている現状があります。

「想い」の不在:AIとの向き合いに、熱量を奪われていないか?

そして最も怖いのは、AIとの向き合い(プロンプトの微調整とか)に心血を注ぐあまり、本来の役割である「誰に、何を、どんな熱量で届けるか」という広報的思考が二の次になってしまうことです。

AIが出した整った文章を前にして、「これでいいか」と妥協し、同時に「自分には導き出せなかった」と肩を落とす。あるいは、AIに背景を理解させるための「説明」に時間を費やし、肝心のステークホルダーとの対話が疎かになる。

単なる一つのツールであったはずのAIが、いつの間にか「使えなければいけないもの」にすり替わる。そして、これまで大切にしてきた「言葉に想いを込める時間」や「広報としての矜持」がじわじわと削られていく。そもそもAIが作った文章で十分という評価が下った時、こうした熱量は本当に必要なのか。そんな自問自答が、私たちの足をすくませているのではないでしょうか。

これらは私たちの部門内の雑談から出てきたものですが、AI活用を前にした時のちょっとした心理的な障壁は、案外、こういった感情のどこかから発生しているのかもしれません。

「AIを使ってる広報」の現在地をレベル別に整理してみる

また、そもそも「どの程度使っていれば、胸を張っていいのか」という基準がどこにもありません。

そこで、独断と偏見で、広報の原稿関連の仕事におけるAI活用のグラデーションを整理してみました。

Level 1:【単発の相談・検索】
類語検索、タイトル案の抽出、メールの敬語確認。いわゆる「高機能な辞書」としての活用です。単発の「点」の活用ですが、これだけでも語彙の幅が広がり、言葉の守備範囲が安定します。

Level 2:【思考の同期(壁打ち)】★今ここ★
まさにこの記事を作っている状態です。「こんな悩みがある」「こんな構成にしたい」というぼんやりした思考を投げ、AIに壁打ち相手になってもらう。仕組み化はされていないけれど、自分の脳内の「もがき」を言語化するプロセスにAIを巻き込んでいる状態で、これは立派な共同作業です。

Level 3:【情報収集・分析のパートナー】
競合他社のリリースを読み込ませて傾向を分析させたり、自社の過去記事とのトーン&マナーの乖離をチェックさせたりする。広報としての「客観的な眼」をAIで補強する段階。ここでは、AIを単なるツールではなく「アシスタント」として扱い始めています。

Level 4:【仕組みによる半自動化(Gem作成の壁)】
特定の目的のためにプロンプトを固定し、「Gem」などを自作して業務フローに組み込む。例えば、企画書を入れるだけでリリース初稿が出るような、再現性のある「仕組み」を持っている状態。エンジニア領域に一歩足を踏み入れるのは、ここからかもしれません。

Level 5:【AIエージェントとの共生】
取材の文字起こし、記事構成、SNS展開までを一気通貫でAIが担う。広報担当者はもはや執筆者ではなく、AIが出してきたアウトプットの「リスク検知」と「想いを乗せる編集業務」に全責任を負うマネージャーへと進化している状態です。

Level 1だからダメだとか、Level 5だから優秀とか、そういう話ではありません。

仕組みを作ることが得意な広報担当者もいれば、便利な道具として「使い倒す」ことで業務を回すのが得意な担当者もいる。また、組織のフェーズによって求められるスピードも違えば、守るべき情報の重さも異なります。

ただ、どのレベルにおいても共通して言えるのは、AIとの対話によって、アウトプットの精度やクオリティ、リスクヘッジ、そして「届ける力」を1ミリでも高めようとしているなら、それは紛れもなく「広報としてのAI活用」ではないでしょうか。

最後に伝えたいこと:近道なんてない。AXの道は一歩ずつ、のはず。

「広報としてAIを使えてる」って、何ができていればOKなの?そう言い切れるの?

そんな問いを冒頭に立ててみましたが、結局のところ、答えは「どのレベルであっても、胸を張っていい」。これに尽きるのではないでしょうか。

今の私たちの状況は、自転車に乗れるように頑張っている子どもと同じようなもので、最初は何度も転んで、泣いて、辞めたくなって、普通に乗れる同級生を恨めしく思って、そして、気がついた時には「まだ手を離さないでね」とか言いながら、実はもう一人で乗れるようになっている。

大人になれば自転車に乗れる自分が当たり前で、乗れるようになった過程を忘れていますが(カッコ悪いことは忘れるようにプログラミングされているのかもしれませんが)結局、AI活用だって一朝一夕にできるものではありません。そこをショートカットしようとして、ちょっと挫けたくらいで不満を言ったり、自信をなくしたりするのは大人の悪いところでしょう。4月に入社してきた新卒にも「失敗したっていいんだよ」とか言うくせに。

なぜか自転車の例えを入れたいなと思って、長々と書きましたが、AIを自分の一部分のように使いこなせるようになるためには、情けなく泥臭い「もがき」が必要なのだと思います。

ギークスPRラボは、これからもAI活用における、今回のようなウジウジとした悩みや、泥臭い「もがき」の過程を、伝えられる限りに伝えていこうと思います。この記事を読んで、「なんだ、ギークスの広報もこんなことで悩んでるんだ」と、少しでも皆さんの心が軽くなったのなら、私たちのこの悶々とした、ちょっと恥ずかしい自己開示にも、価値が宿る気がします。

とはいえ、オープンにするからには、AXを一歩ずつ進めていきますので、応援していただけると嬉しいです。もし皆さんがちょっとしたヒントをお持ちならば、ぜひこっそり教えてください。

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