JAは本当に「悪」なのか?中小農家が語る、農協の真価と未来のはなし
「JA(農協)は既得権益の塊だ」「農協があるから日本の農業はダメになる」ネットやメディアでは、時にこうした厳しい言葉が飛び交います。しかし、実際に現場で土に触れ、経営を営んでいる農家の視点は少し異なります。
こんにちは、GOOD PEOPLEのマシューです。
私はデザイナーというバックグラウンドを持ちながら、現在は農業の世界に身を置いています。日々の活動を通じて感じているのは、「JAという組織がなければ、今の私の農業は成り立たない」という揺るぎない事実です。この記事では、批判されがちなJAがいかに現場の支えになっているのか、そして、これからの時代に向けてJAがどう「進化」すべきなのか。
現場の一次情報をもとに、忖度なしの本音を綴ります。農業関係者の方はもちろん、日本の食の裏側に興味があるすべての方に読んでいただければ幸いです。
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「肥料1袋」から支えてくれる物流の要、資材課の存在
まず、私が最もお世話になっているのが「資材課」です。ここは肥料や農薬など、農業生産に欠かせない資材を販売している、いわば農家向けのプロショップです。
プロの農家が使う肥料の量は、家庭菜園とは桁が違います。1反(約1000平方メートル)あたり100kg、200kgという単位で投入するため、合計すると数トン単位になることも珍しくありません。
ここで重要になるのが「物流コスト」です。もしこれらをネット通販などで個別に購入しようとすれば、20kgや30kgといった重量物の送料が跳ね上がり、経営を圧迫します。
JAは地域全体で大量に仕入れ、各農家へ届ける仕組みを持っています。1袋単位からでも良心的な価格で提供してくれるこのインフラがなければ、小規模な農家は立ち行かなくなります。
昨今の世界情勢で肥料価格が高騰し、苦しい状況にあるのは事実ですが、それでもJAの物流網があるからこそ、私たちは今日もの生産を続けられているのです。
「選別作業」からの解放。共同出荷がもたらす圧倒的な効率化
私が拠点を置く宮崎県新富町では、ピーマンやキュウリの生産が盛んです。ここでJAが果たしている大きな役割が、自動選別機を備えた「集荷場」の運営です。
実は、農作業の中で最も神経を使い、かつ時間がかかるのが「選別」という工程です。収穫した作物を、形や大きさ、傷の有無によってA品、B品と格付けしていく作業は、出荷基準に合わせるために膨大な手間を要します。
しかし、JAに共同出荷する場合、農家は最低限の選別をして持ち込むだけで、あとは高性能な自動選別機が正確に仕分けを行ってくれます。この「選別作業からの解放」が、どれほど農家の労働時間を削減し、生産効率を高めているかは計り知れません。
もしすべてを個人で選別・梱包し、販路を開拓しなければならないとしたら、栽培そのものにかける時間は半分以下になってしまうでしょう。
「作る」に集中できる環境。安定した販路と価格のメリット
農業は「作って終わり」ではありません。
むしろ、作ったものをどう売るか、どう届けるかが経営の肝となります。JAに出荷することの最大のメリットは、農家が「栽培」に集中できる環境が整っていることです。市場価格の変動はあるものの、JAという大きな組織を通じて出荷することで、一定の価格安定性と確実な販売先が担保されます。市場であれば価格の乱高下に一喜一憂することもありますが、JAの共同販売は経営の予測を立てやすくしてくれます。
もちろん、こだわりを持って直接販売(直販)に力を入れるモデルもありますが、地域全体の農業を底上げし、安定した供給責任を果たすためには、JAの持つ広域な流通ネットワークは欠かせないピースなのです。
ダーウィンの進化論に学ぶ、これからのJAへの提言
一方で、現状に満足して良いわけではありません。ダーウィンの進化論にある通り、生き残ることができるのは「強い者」でも「賢い者」でもなく、「変化し続けられる者」だけです。
JAも、そして私たち農家も、時代の変化に合わせて進化する必要があります。私が特にJAに期待したいのは「中小農家へのより手厚い支援」です。例えば、国の補助事業である「強い農業づくり総合支援事業(強農)」などは非常に魅力的ですが、採択基準となる経営面積(50ヘクタールなど)が、地方の中小農家にとってはあまりに高すぎます。
そこで、JAに検討していただきたいのが「高額農機具のシェアリング・リース」です。例えば、畑の排水対策に不可欠な「レーザーレベラー(畑を水平にする機械)」や、竹や剪定枝を処理する「ウッドチッパー」などは、毎日使うものではありませんが、購入すれば数百万円します。
こうした「たまにしか使わないけれど、高品質な生産には不可欠な機械」をJAが所有し、手軽な料金で貸し出す仕組みがあれば、中小農家の生産性は劇的に向上するのに。。。とか思っちゃいます。
IT導入で変わる、現場のユーザー体験
最後に、これは今すぐにでも取り組めることですが、ITを活用した予約・管理システムの導入です。
現在、農機具の貸出予約などが電話やファックスのみで行われているケースが少なくありません。これでは多忙な農家にとって利便性が低く、機会損失を招いています。
ウェブやアプリで空き状況が確認でき、数タップで予約が完了する。そんなシンプルな仕組みがあるだけで、若い世代の農家はもっとJAのサービスを活用しやすくなります。
「これまでのやり方」を守ることも大切ですが、現場の使いやすさを第一に考え、システムをアップデートしていく。そんな柔軟な姿勢こそが、これからのJAには求められているのではないでしょうか。
まとめ🌱
JAは、日本の農業という大きな船を支える巨大なエンジンです。時に批判の対象となることもありますが、現場で働く私から見れば、その価値は計り知れません。
だからこそ、私はJAに「変わること」を期待しています。中小農家の声に耳を傾け、最新のテクノロジーを取り入れ、より使いやすい組織へと進化していく。
そんなJAと共に、私もまた一人の農家として成長していきたいと考えています。農業の発展は、JAの発展であり、ひいては日本の食の未来につながります。
これからも手を取り合い、より良い農業の形を模索していきましょう。本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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