♟️ 名人と小学生がペアで将棋を指したら、将棋を知らない人も夢中になるかもしれない
「次の一手は……」
名人が盤面をじっと見つめる。
何十手先まで読んでいるのだろう。
そして、ついに一手を指す。
「なるほど! これは深いですね!」
解説者が興奮する。
……でも、私は将棋がそこまで分からない。
「なるほど」と言われても、何がなるほどなのか分からない。
プロ棋士がすごいことは分かる。
でも、その「すごさ」を理解するには、こちらにもある程度の将棋の知識が必要になる。
だったら。
将棋を知らなくても楽しめる将棋番組を作ったらいい。
そんなことを考えていて、ふと思いつきました。
「名人+小学生」対「名人+小学生」。
将棋のペア戦です。
♟️ 将棋版「ダブルス」
ルールはシンプル。
2人1組でチームを作ります。
そして、一手ごとに交代して指す。
名人が指したら、次は小学生。
相手の小学生が指したら、次は相手の名人。
そしてまた自分たちのチームへ。
将棋版のダブルスです。
ただし、チーム内で相談することはできます。
「ここは王様を守ろう」
「銀と飛車を使って守備を固めよう」
「今は攻めるより、相手の攻撃を受け止めよう」
こうした作戦会議はOK。
ただし、
「次は銀を5三に動かして」
「あなたはこの駒をここに置いて」
といった、具体的な指し手の指示はNG。
大きな方針は二人で決める。
でも、その作戦をどう実現するかは、自分の手番になった人が自分で考えて指す。
ここがポイントです。
😂「えっ、そこに指すの!?」
例えば、名人が小学生に作戦を伝えます。
「この局面では、まず王様を安全にしよう」
「分かった!」
そして、小学生の番。
名人は、小学生がどんな一手を指すのか見ています。
ところが。
「えっ、そこ!?」
小学生が、名人の想定とは全然違う手を指してしまう。
名人、絶句。
でも、もう指してしまった。
「いや、それじゃないよ」と具体的な指示を出すことはできません。
名人は、その一手を受け入れるしかない。
そして次の自分の番で、何とか戦略を立て直す。
これは、普通の将棋では起こりません。
自分で考えて、自分で指す。
それが普通の将棋です。
でもペア将棋では、
「自分がどう指すか」だけではなく、「相方がどう指すか」まで考えなければならない。
将棋なのに、ちょっと心理戦なのです。
🧒 小学生の一手に、名人が本気で悩む
ここが、この番組の一番面白いところかもしれません。
小学生は、名人から将棋を教えてもらうだけではありません。
小学生も、れっきとしたチームメンバーです。
「僕はこっちのほうがいいと思う」
「ここに駒を置いたら、相手の王様が逃げられなくなるんじゃない?」
そんな意見を名人に伝える。
名人は、それを聞いて盤面を見る。
「なるほど……」
そして、その発想を生かして次の一手を考える。
逆に、小学生が名人も予想していなかった大胆な一手を指すこともあるでしょう。
もちろん、失敗することもある。
でも、その失敗を名人がどうリカバリーするのか。
そこも見どころになります。
「最強の棋士が、最善手を指す」
だけではない。
「最強の棋士が、相方の予想外の一手を受け入れて、そこからどう戦うか」
を見る将棋です。
👀 初心者は「人」を楽しめる
普通の将棋中継では、初心者には難しい場面があります。
「ここで7六歩」
と言われても、
「それが何なの?」
となってしまう。
でも、ペア将棋なら違います。
「名人、今の小学生の一手に困ってます!」
「さっき守るって言ってたのに、攻め始めました!」
「この二人、全然かみ合ってない(笑)」
将棋の細かいルールが分からなくても、人間ドラマとして楽しめる。
「この二人、息ぴったりだな」
「このチーム、仲が悪いのかな(笑)」
「小学生のほうが大胆だ!」
「名人が完全に翻弄されている!」
そんな見方ができます。
一方、将棋が分かる人は、
「なぜ名人はこの作戦を選んだのか」
「小学生の一手をどう生かすのか」
「この状況からどう立て直すのか」
と、将棋そのものを深く楽しめる。
つまり、
初心者は「人」を楽しむ。
中級者は「作戦」を楽しむ。
玄人は「将棋」を楽しむ。
同じ一局を、違うレイヤーで楽しめるのです。
🏆 最強の二人が組めば勝てるとは限らない
このペア将棋では、いろいろな組み合わせが考えられます。
名人+小学生。
師匠+弟子。
プロ棋士+初心者。
ベテラン+若手。
親+子。
将棋好き+将棋をまったく知らない人。
そして面白いのは、強い二人を組ませれば必ず強いチームになるとは限らないことです。
作戦の意見が合わないかもしれない。
相方の考えを理解できないかもしれない。
逆に、実力差があっても、抜群に息の合うペアが勝つかもしれない。
勝敗を分けるのは、将棋の強さだけではない。
相方を信じる力。
相方の考えを理解する力。
予想外の一手を受け入れる力。
そんなものまで、勝負に影響してくる。
これはもう、普通の将棋とは別の競技なのかもしれません。
♟️ 将棋を「一人の頭脳」から「二人の物語」へ
普通の将棋は、一人の棋士が自分の頭脳だけで戦います。
だからこそ、究極の個人競技とも言えます。
でも、ペア将棋は違う。
自分の考え。
相方の考え。
相手チームの作戦。
そして、相方が予想外の手を指したときの対応。
そこには、普通の将棋にはない「人間」がたくさん入ってきます。
将棋を知らない人に将棋の面白さを伝えるために、将棋を簡単にする必要はないのかもしれません。
「人間ドラマの中に将棋を置く」
という方法があるのではないでしょうか。
名人と小学生が、同じ盤を見ている。
名人は何十手も先を読んでいる。
小学生は、目の前の一手を一生懸命考えている。
そして二人の考えが、一つの盤面で交差する。
「さあ、次は小学生の番です」
その瞬間、名人が少しだけ不安そうな顔をする。
……この番組、ちょっと見てみたくないですか?
将棋版ダブルス。
私は、ぜひ一度見てみたいです。
