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神保町をさまよい思った事

4月11日から12日にかけて開催された日本内科学会総会の会場は有楽町でした。宿泊したホテルは帝国ホテルの近所でしたが、調べてみると地下鉄で二駅の場所に、古書街で有名な神保町がありました。そこで、30年ぶりに少し歩いてみることにしました。狭い店内に漂う、黴臭さが混じった独特の匂いや、店外にまであふれんばかりの絵や写真。マニアックな空気の充満したその空間を、どこか楽しんでいる自分がいました。

 30年前、まだ20代だった頃はこの空気に圧倒されていましたが、今回はかなり馴染めた気がします。「東京バンドワゴン」シリーズが好きなせいもあるかもしれません。滞在時間は短かったものの、普段は見かけない貴重な本や古いポスター、地図などが狭い空間にひしめき合っていました。

 大手書店の清潔で広々とした店内に新刊が並ぶ光景も良いものですし、ブックオフのような大型チェーン店も嫌いではありません。ですが、神保町のように小さな本屋がそれぞれに個性を主張し、カフェが併設された店内でくつろぎながら本を読んだり、英文の医学論文のコピーを読み耽ったりする人がいる、そんな空間もまた格別です。

 神保町は今も大学が隣接する文教地区であり、意外にも学生と思われる若い姿が多く、「今の大学生も捨てたものじゃないな」と感じさせられました。アルバイトらしき若い店員さんの接客も親切で、かつての「頑固親父がいる店」というイメージとは様変わりしています。街も時代とともに進化しているのだと実感しました。

 一方で、興味深い人々との出会いもありました。なんと、西武ライオンズの前身のさらに前身にあたる「太平洋クラブ・ライオンズ」の帽子をかぶった方を見かけたのです。幼少期以来の懐かしさに思わず声をかけると、サイトで復刻されていたものだとのこと。その方は、難解そうな哲学書を購入されていました。

 普段は最新のデータや知識が求められる論文や専門書ばかりを読んでいますが、色褪せた古書をゆったりと紐解く1〜2時間は、非常に貴重なひとときでした。立ち去りがたいほどの名残惜しさを感じ、今度は神保町を歩くためだけに上京するのも悪くない、と考えたほどです。その時は、最新の書物と古い専門書を見比べながら、古書の世界にどっぷりと浸かってみたいと思います。


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