見出し画像

59歳。観光地を減らしたら、旅はもっと面白くなりました。

■ 若い頃の旅は、とにかく「効率」でした

サラリーマン時代の約30年、出張が多く、個人の旅行も合わせると日本は全都道府県を制覇。海外も50回以上を数え、私の旅は常にスケジュールと段取り勝負が基本でした。

そのため、限られた休みの中で、

  • できるだけ多くの観光地を回る

  • 有名なお店で食事をする

  • 写真を撮る

  • そして次の場所へ向かう

そんな、予定をびっしり埋める旅ばかりをしていました。

でも59歳になった今。 私たち夫婦の旅のスタイルは、ずいぶん変わりました。

私にとって旅は、飛行機に乗った日からは始まりません。 航空券を予約したその日から、もう始まっているのです。


■ 飛行機も、旅の一部

まず決めるのは季節や日程です。 次に、飛行機や電車などの移動手段をじっくり考え予約します。
飛行機なら、貯めているマイルをどう有効に使うか。 直行便だけを探しません。あえて乗り継ぎ便にして、「行ったことのない空港内でその土地の空気感を体験してみよう」と、そのプロセスを楽しみます。
乗り継ぎの待ち時間も、大切な旅の一部。 現地の食事や味付けを味わったり、プライオリティ・パスが使えるラウンジに寄り、ゆっくりコーヒーなどを飲んだりと、現地を、時間を味わいます。

昔の私にとって、移動は「目的地へ行くための削るべき時間」でした。 でも今は違います。移動そのものが、旅の楽しみです。

■ ホテルは、できるだけ一つの滞在型

ホテル選びも、最近は基本的に「連泊」がマイルールです。 毎日荷物をまとめてホテルを変える旅は、ほとんどしなくなりました。

朝起きて、街へ出かけるとき、 「今日も、この部屋へ帰って来る」 という安心感がある。それだけで旅の心地よさが変わります。
その都市、その街自体を、今回の旅の目的としています。

ホテルのスタッフと顔見知りになったり、近所のパン屋さんへ毎朝歩いて行ったり。 少しだけ、その街の住民になって「暮らしている」ような気持ちになれる。

そんな静かな旅の時間が、実は一番思い出に残っています。

■ 計画は立てる。でも、予定は決めすぎない

もちろん、事前の下調べはします。 YouTubeを見ますし、Googleマップには「ここへ行きたい」という印をいくつも付けます。

でも、それはあくまで滞在地での選択肢の一つです。

現地へ着いたら、その日の空気を肌で感じて決めます。 今日は晴れているから、市場へ行こう。 今日は雨だから、あの公園をゆっくり歩こう。
疲れたからホテルで昼寝、もありです。

「このカフェ、雰囲気がいいね、明日の朝も来る?」 「あそこのパン屋さん、雰囲気良さそう、ちょっと寄ってみよう」

そんなふうに、その日の気分で即興で決めていきます。

妻はパン屋さんやカフェの隠れた名店を探すのが本当に大好きです。 私は地図を見るのが好き。 だから、旅先での役割分担も自然と決まっています。

■ スーパーマーケットと、ローカルバスが好き

旅先で私たちが必ず行く場所があります。 それは、有名観光地だけではなく、地元の人が普段買い物をする普通の「スーパーマーケット」です。

どんな野菜が並んでいるのか。 どんなパンが人気なのか。相場はいくらくらいなのか。 お菓子や調味料には、どんな文化があるのか。

それらを眺めるだけで、「この街の本当の暮らし」が少し見えてきます。

移動も同じです。タクシーはほとんど使いません。

基本は、路線バス。 地下鉄。 ローカル列車。 そして、一番に徒歩。

その土地に住む人と同じ目線で、同じ景色を見ながら移動する。 それ自体が、何よりの私たちのエンタメです。


■ 急がない旅は、人生そのもの

若い頃の私にとって、旅とは「何カ所行けたか」というスタンスの証明でした。 でも今は違います。「その土地を好きになったか」の方が、ずっと大切です。

市場のおばちゃんと少し言葉を交わしたこと。 お気に入りのカフェを見つけて、のんびり本を読んだこと。 スーパーで見つけた珍しい野菜に、夫婦で驚いたこと。
そんな一見なんてことのない小さな出来事の方が、何年経っても色鮮やかに心に残っています。

59歳。 人生後半の旅は、観光地を制覇する旅ではありません。

その土地の空気を深く味わい、そこで暮らす人たちの日常に、少しだけおじゃまする旅。 私たち夫婦は、そんな「急がない旅」が、今は一番心地よく感じています。

■ 次回

今回は、私たち夫婦の「急がない旅」の楽しみ方についてお話ししました。

旅先では、街の空気や人との距離感を楽しむ一方で、実は日本にいる時から変わらず大切にしていることがあります。

それは、「歩くこと」です。 毎日の散歩でも、旅先でも、気づけば一日に2万歩、3万歩歩いていることも珍しくありません。

次回は、そんな人生後半の「歩く旅」を支えてくれる、【59歳の足元と、大人のスニーカー選び】について、少しお話ししたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!