花びらを連れてきた(#シロクマ文芸部)
花びらを頭にのせて、ミャーミャー鳴いていた子猫。
桜咲く春の日に、日課の散歩に出かけた朝。
ララが見つけて、ポロンが連れてきた。
「この子、ひとりっぼっちだよ」
「ママを探してあげようよ」
ララとポロンがそう言ったような気がした。
飼い主の自惚れだっただろうか。
ララとポロンの優しさに絆されて、連れて帰ってしまった。
犬と人間をちっとも怖がらない白い子猫。
名前を付けてしまうと、手放せなくなってしまう。
「猫ちゃん」と呼び、世話をしながら里親探し。
新聞とネットの里親掲示板に載せてみた。
「生後2ヶ月くらいの元気な女の子」
ほどなくして電話があった。
「子猫欲しいです。まだ大丈夫でしょうか?」
里親希望の女性に会ってみると、とても優しそう。
しかも一戸建てにお住まいで、完全室内飼いをご希望だった。
数日して子猫をケージに入れ、ララとポロンとはお別れ。
「幸せにね」
「元気でね」
ララとポロンが、そう言ったような気がした。
「さようなら、可愛がってもらいなね」
私もそう言って、お別れした。
あれから14年。
その女性からメールが届いた。
「メルが先週亡くなりました。最後まで良い子でした。ありがとうございました」
「虹の向こう側で、ララとポロンが迎えていると思います。こちらこそ、最後までありがとうございました」
メールの返信をして、パソコンのファイルを開いた。
メルちゃんの写真、1枚だけ残っていた。ララとポロンと一緒。
あの時、出会えて良かった。
