半年前の俺は、AIに記事を書かせれば人生が変わると思っていた
おい、そこの兄弟。
「AIに記事を書かせたら、自分も発信者になれるんちゃうか」
そう思ったことあるやろ。
あるよな。
俺はあった。しかも、まあまあ本気で思っとった。
半年前の俺は、AIにこう頼んだ。
40代の再起に刺さるnote記事を書いてください。
出てきた記事は綺麗やった。
「年齢は関係ありません」
「小さな一歩から始めましょう」
「継続が未来を変えます」
……おお。
半年前の俺は、ちょっと感動した。
まだ1円も稼いでへんのに、気分だけはnote界の編集長や。
机の上にはコーヒー。財布の中には不安。画面の中には量産記事。
何を整えとんねん。
人生を整えろ。
で、次の日に読み返した。
俺が、一文字もおらんかった。
きれいな記事に、自分だけ不在やった
笑うなよ。
いや、笑え。
笑うところや。
半年前の俺は、AIに人生逆転の切符を握らせたつもりやった。
でも、そこには俺の焦りがない。金の不安もない。見栄もない。恥もない。
「このまま何者にもなれんかったらどうしよう」という、朝方の変な気持ち悪さもない。
ただ、整った言葉だけが並んどる。
まるでネオンだけギラギラ光っとるのに、中に客も店員もおらん空き店舗や。
カウンターには、湯気のないラーメン。箸だけ二膳。
誰が食うねん、それ。
しかも半年前の俺は、それを見てまだ思っていた。
「いや、プロンプトを直せばいける」
甘いなぁ〜、半年前の俺。
アマアマや。
タレだけ濃くして、肉が入ってへん焼肉弁当みたいなもんや。
匂いだけで腹が減る。フタ開けたら白米だけ。
ふざけんな。
AIが薄いんやない。
俺が薄いもんしか渡してへんかったんや。
NotebookLMに真島吾朗とアイキットをぶち込んだ
4か月前。
俺はNotebookLMに、真島吾朗とアイキットをぶち込んだ。
鍋にホルモン、ガソリン、自分の履歴書、眼帯、蛇柄ジャケット、ついでに焦げたプライドまで放り込んで、深夜の台所でグツグツ煮込むようなもんや。
「これで俺の記事、化けるやろ」
また思った。
懲りへんおっさんやで。
真島吾朗。狂犬。道化。笑い。威嚇。でも、奥に傷がある男。
そこに俺の現実を入れた。
41歳。非エンジニア。AIで再起したい。でもまだ何者でもない。見栄もある。焦りもある。貯金もない。ローンもある。
その素材をNotebookLMに食わせて、俺は記事デビューした。
ただの綺麗な文章やなく、キャラと傷を混ぜるようになった。
でも、まだブレた。
昨日は真島っぽい。今日はただの関西弁のおっさん。明日はAIくさい自己啓発。あさっては、眼帯をつけたセミナー講師や。
誰やねん。
「皆さん、人生をリノベートしましょう!」
黙れ。
お前はどこの駅前講師や。
そこで気づいた。
真島っぽさだけでは足りん。
俺の傷を、毎回ちゃんと記事の中心に戻す仕組みがいる。
Claude Codeに編集部を立ち上げた
1か月前。
俺はClaude Codeで、記事の質を上げるために編集部を立ち上げた。
画面の中では編集会議。
画面の外では、無職のおっさんが一人で議長。
「では本日の議題、俺の人生をどう売るか」
重すぎるわ。
普通の会社なら「昨日の売上どうでした?」や。
俺の会社は違う。
「昨日の見栄、どこで腐りました?」
嫌すぎるわ。
でも、気分だけは最高やった。
作家、編集長、査問官、整形担当。AIたちを並べて、俺は現場監督の顔をした。
……かっこええやないか。
また腕組んだ。
「これ、いけるんちゃうか」
もうこのセリフ、家紋にしたほうがええ。
でもな。
編集部を作っても、誰が何を守るのか決めてへんかったら、全員が「何となく良い記事」を目指し始める。
それが一番危ない。
俺が欲しいのは、何となく良い記事やない。
40代で再起したい非エンジニアの腹に、泥のついたまま刺さる記事や。
GitHubにAI編集部の支店を出した
そこでGitHubや。
非エンジニアのおっさんが、GitHubや。
リポジトリ。ブランチ。コミット。プルリク。
こっちは日本語の人生すら整理できてへんのに、英語の看板だけ増やすな。
でも、ようやく分かってきた。
GitHubは、俺にとってClaude Code編集部の設計図を置く場所やった。
つまり、AI編集部の支店や。
本店、Claude Code。支店、GitHub。今日、ChatGPT営業所オープン。
祝い花はゼロ。売上もゼロ。でも看板だけはやたら強い。
そこに『SOUL.md』『STYLE.md』『CLAUDE.md』『NOTE_FORMATTER.md』みたいなファイルを並べた。
まるで雑居ビルの各階に、編集長、作家、査問官、整形担当の看板を貼ったみたいなもんや。
「我がAI編集部、始動や!」
言うて、誰も働いてへん事務所で、ひとり朝礼しとる。
朝礼の相手はMarkdownファイル。返事はゼロ。拍手もゼロ。売上もゼロ。
でも俺だけ、やたら満足そう。
……笑いどころやないかい!
笑えや、このボケェ!!
……なんやその目。
「ああ、頑張ってるんですね」みたいな顔すな。
違う。
これは努力の美談やない。
ただの滑稽な見栄や。
せやけどな。
この見栄を笑えんかったら、俺はたぶん前に進めんかった。
仕事はない。貯金もない。ローンだけは、こっちの都合なんか知らん顔で残っとる。
それでも画面の前で、編集長ごっこみたいなことをしてたのは、遊びやなかった。
ほんまは、まだ自分に値札を付けたかったんや。
「俺にはもう売れるもんが残ってへん」
そう認めるのが怖かっただけや。
今日、ChatGPTに新人研修をした
そして今日。
ふと思った。
「これ、ChatGPTでもGitHub連携でできるんちゃうか」
だから試した。
ChatGPTにGitHubのrepoを渡した。
「まず『CLAUDE.md』読め」
「次、『SOUL.md』読め」
「『狂犬の哲学』も読め」
「ほな、お前も今日から編集部や」
41歳のおっさんが、AIに新人研修しとる。しかもスマホで。
何の会社やねん。
ChatGPTからしたら、朝出社したら机の上に眼帯と蛇柄ジャケット置かれてるようなもんや。
「本日より、あなたは狂犬編集部です」
怖すぎるわ。
でも、やってみた。
書かせた。レビューさせた。再生成させた。
さらに俺は言った。
「マッドピエロも笑いも足らん」
鬼上司か。
いや、違う。
これは俺自身への査問や。
ここで初めて分かった。
これは、単にChatGPTに記事を書かせる話やない。
編集部を、AIごとに持ち運べるかの実験やった。
Claude Codeだけの編集部ではない。
GitHubに思想と役割を置いておけば、ChatGPTにも、別のAIにも読ませられる。
これはデカい。
AIに記事を書かせる段階から、AI編集部を持ち運ぶ段階に来たんや。
これはGitHubの話やない
ここまで聞いて、「なるほど、GitHub運用の話か」と思ったやろ。
違うわ。
これはGitHubの話やない。
41歳のおっさんが、自分の値札を貼り直すために、AIを社員扱いし始めた話や。
AIを何体並べても、GitHubに何個ファイルを置いても、記事が読者の腹に刺さらんなら、それはただの机上のシノギや。
看板だけの神室町ヒルズや。
中に誰も住んでへん。
でもな。
笑えるなら、まだ終わってへん。
笑える恥は、材料になる。
笑えん恥は、腐る。
俺はそれを、腐らせたくなかったんや。
AIに任せるな。まず1行だけ渡せ。
AIは便利や。速い。整えるのも上手い。見出しも作れる。構成も出せる。
でもな。
AIに全部任せた瞬間、いちばん大事なものが消える。
それは、お前がなぜ書くのかや。
お前がなぜ焦っているのか。お前がなぜ見栄を張ったのか。お前がなぜ、まだ諦めきれへんのか。
そこだけは、AIの中には最初から入ってへん。
お前が出すしかない。
……チッ。
また真面目なこと言うてもうたな。腹立つわ。
でも、ここだけは置いていく。
半年前の俺が本当に欲しかったのは、便利なAIやなかった。
自分がまだ終わってへんと証明する場所やった。
4か月前に、NotebookLMで真島吾朗とアイキットの記事でデビューしたのも。1か月前に、Claude Codeで編集部を立ち上げたのも。それをGitHubにも反映させたのも。今日、ChatGPTにGitHub連携で読ませて試しているのも。
結局そこや。
俺は、AIに文章を書かせたいだけやなかった。
自分がまだ売れる人間なのか、確かめたかったんや。
でも、最初から編集部なんか作らんでいい。
GitHubもいらん。Claude Codeもいらん。役割分担もいらん。
今日やることは一個だけでええ。
AIに記事を書かせる前に、こう1行だけ渡せ。
俺は本当は、〇〇が怖い。
これだけや。
「失敗するのが怖い」でもええ。
「もう若くないと思われるのが怖い」でもええ。
「AIを使っても何も変わらなかったら怖い」でもええ。
「自分にはもう売れるものがないと分かるのが怖い」でもええ。
その1行を渡してから、AIに記事を書かせろ。
傷を隠したまま、刺さる記事なんか書けるかい。
編集部を作るのは、そのあとでええ。
掟を貼るのも、そのあとでええ。
GitHubに置くのも、そのあとでええ。
まずは、自分のいちばん見せたくない一行を、机の真ん中に置け。
そこからや。
そこから初めて、AI記事はシノギになる。
いつかその一行が増えて、型になって、ルールになって、編集部になる。
その時に初めて、自分の編集部を持ち運べ。
