展覧会ができるまで(美術館の舞台裏)vol.14【展示用パネル、キャプションを制作する】
美術館で展覧会が開催されるまでの工程を、学芸員の立場からひとつひとつ解説していくコーナーです。工程を細かく切り出していたら、大長編になってしまいました。でもあとちょっとです。
前回の記事↓
全工程はこちら(↓)をご覧ください。
21. 展示用パネル、キャプションを制作する
さて、展覧会開幕が近づいてきました。
いよいよ、展示作業!
となる前に用意しておかなければいけないのが、会場に設置するパネルやキャプションです。
キャプションとは、作品の横とかに貼ってある(または置いてある)作品情報を記したものです。



こうしたキャプションをどうやって作るのか。
まずは一番原始的な方法からご説明しましょう。
自分でデータを作って、印刷するところから始まります。
データ作成は、Illustratorを使うことが多いかな(人による)。
印刷したサンプルがこちら。

単純に見えて、意外と考えることが多いです。
どの情報を載せて、どの情報は省くか。二カ国語表記にするか。
フォント一つとっても、展覧会の雰囲気作りと関係してくるので、明朝系でいくかゴシック系でいくか。
キャプションを置く位置によって、適切な文字サイズも変わります。
顔を近づけられる場所なら文字は小さめでも大丈夫ですが、展示ケースの中など接近できない場所なら視認性を考えて、大きめにしなくてはいけません。
印刷する紙によっても印象が変わります。光沢があるか否かなど。
そんなもろもろを考えながら、データを作って印刷したら、工作の時間です。
貼りパネルとかのり付きパネルと呼ばれるスチレンボードを用意します。
厚みが3mm、5mm、7mmと様々なので、適切なものを選びます。

シールをペリペリとはがすと、糊面が出てきます。

印刷した紙をペタッと貼る。
皺がよったり、空気が入ったりしないように慎重に。

ガイドに沿って、カッターで切り出します(もちろんこのガイドもデータ作成時に自分で設定しなくてはいけません)。
大量生産しなければいけないと、だんだん集中力が切れてきて、ケガをしがちなので要注意。ま、だいたい新人時代に一度はやらかします。

完成です。

横から見るとこんな感じ。この側面から虫ピンを刺して、壁に打ち付けます。

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以上が、1から10まで手作りする時のやり方ですが、プロの力を借りることもあります。
キャプションデータやパネルデータの作成を、デザイナーに外注するのがその一例ですね。
文字を並べるという単純に思える作業でも、デザイン素人の学芸員とプロのデザイナーでは仕上がりが違うから不思議です。行間とか文字揃えとかなんかそういう一個一個なんでしょうね。
パネル印刷を印刷会社に外注することもあります。それこそkinko'sとかでもやってます。
プロにお願いすると、印刷の質がやっぱり違います。
あと当然ながら失敗がない(笑)。手作りの場合、貼る・切るのどこかでどうしてもミスが出て作り直しが発生します。
予算があれば、迷わず外注です。
それから特大サイズのパネルも、当然通常プリンタでは対応できないので、外注するしかないですね。
こうした外注の場合、開幕直前や開幕後にキャプションに誤字脱字があっても、即座に修正できないというデメリットもあります(もちろん誤字脱字がないのが一番なのですが…)。
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もちろん必ずパネル形態にするとは限りません。
キャプションを透明シールに印刷して、ガラスケースに貼る。
あえてペラペラの紙のまま壁に貼る(現代アート系でやりがち)。
バナーに印刷して天井から吊る。
みなさんも展覧会でいろいろなパターンを見たことがあると思います。
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大型企画展だと、展示デザインの会社が入って、これらを総合的にプロデュースします。
会場全体に統一感があるなと思ったら、このパターンですね。そういう時は、学芸員が一個一個せっせとキャプションを手作りするようなことはしません。
今度展覧会に行った時は、ぜひ作品の横のキャプションにも注目してみてくださいね。
