戸定梨香と存立危機事態 ~真の「ライオン」とは誰のことか~
「檻の中のライオン」という寓話がある。
中学・高校の社会科の授業(公民・政治経済・世界史)で度々触れられているので一定以上の学問を修めた方ならまずご存知とは思うが、「歴史の教訓として権力とは放っておくと我々民衆に危害を加える恐ろしい存在なので、民主的コントロールという檻の中に入れて監視しておかないといけない」という教えを図案化した、いわば「民主主義の説話」である。
この言説自体に特段おかしなところはなく、我が国を含む世界各国で有史以来多くの権力者が民衆を危機に曝し、その都度その座から引きずり降ろされてきていることは周知の事実であろう。
近年の本邦において、この「寓話」は、主に左派野党(立民・社民・共産・れいわ)支持層のSNS投稿で、また文脈としては自民党(特に安倍政権、高市政権)あるいは参政党が憲法改正構想において「基本的人権の尊重」に関する条文の重複分を削除している、あるいは高市新政権がスパイ防止法の制定を目指している件に関して盛んに引用されている。
一例に挙げる毬谷友子(元宝塚の女優)もれいわ新選組の熱心な支持者として知られている。
こういう事になるんです。 https://t.co/drenzz7kV6 pic.twitter.com/wwh1tKypaQ
— 毬谷友子 🕊 TOMOKO MARIYA (@mariyatomoko) October 21, 2025
現実、彼らの支持する左派野党が政権に食い込める可能性は事実上皆無であり、「お気に召さない政権が存続してしまう」情勢に対して「憲法改正して基本的人権の条文を削除、スパイ防止法を作るなんて、あんな権力者は我々を威圧するライオンだ。民主主義の檻に閉じ込めてしまえ」とも言いたくなるのは「情緒的には」理解できなくもないところである。
だが、本当の問題点は、この「寓話」を引用して憲法改正に反対し、民主主義を語る彼らの論理、そして日頃の言行に、およそ民主主義の概念は見て取れない、何ならむしろ対極に位置するよう専制政治、ナチズムを援護・正当化するような言動が繰り返されている点にあると言える。
中国・薛剣領事のX上での発言に対する反応
先日、中華人民共和国(以下中国)の駐大阪領事・薛剣のXでの
勝手に突っ込んできたその汚い首は一瞬の躊躇もなく斬ってやるしかない。覚悟が出来ているのか
との投稿が日中の外交問題を惹起するものとして炎上したことは今なお記憶に新しい。
もとよりこの投稿は、高市総理が臨時国会での立憲民主党・岡田克也との論戦において「台湾を中国、北京政府が支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか(中略)戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースである」と述べたことを受けての反応であった。
外交官がその職位を明示しながら赴任先の政治指導者について「首を斬る」と発言することは明確な外国への主権侵害で、「侵略の意図有り」として「ペルソナ・ノン・グラータ」の発動を受けても文句は言えない。
そもそも中国自体もこの発言の背景となった台湾有事問題を筆頭に、内陸部でもチベット、ウイグル等少数民族の人権を大幅に軽視した強制労働、言論弾圧等、領土的野心、専制政治への願望を露(あらわ)にした大いに強権的かつ高圧的な行動を度々国際社会から非難されていることを考えれば「台湾への中国による武力侵攻が行われるようなら、我が国にとってもそれは存立危機事態に値する」と考えるのは至って自然な話である。
これら一連の日本・中国双方の政府関係者の行動に対する左派界隈の反応はどのようなものかと言うと、あろうことか「中国政府の尻馬に乗って日本政府・高市内閣関係者の対応を非難する」論調で溢れている。
時の政府・政権を批判したからと言って我が身の近辺に官憲が銃を持ってうろつくような身の危険が差し迫ることもない極めて穏当な民主国家の政府を「ライオンの格言」を引いて非難しながら、それを遥かに上回る中国政府の強権には忠犬の如く尻尾を振って付和雷同する彼らの有り様には、果たしてその格言の意味をちゃんと理解しているのかと疑問を持たざるを得ない。
萌えアニメ・グラビア撮影会を巡って
フェミニストが「女性初」であるにもかかわらず高市早苗の自民党総裁・内閣総理大臣就任を歓迎していない現象に関しては前回ご紹介した通りだが、この界隈に関しても顕著な専制主義が見受けられる。
2021年、千葉県警が松戸市のご当地VTuber「戸定梨香」を交通安全の啓発動画にマスコットとして起用した。動画内ではへそ出しルックのセーラー服を纏っており、一般に「萌えアニメ」と呼ばれるジャンルに分類される。
千葉県警がアップしていた動画(事務所側による再掲)
この動画に関して、地元松戸市の市会議員である増田かおるを筆頭に、左派野党所属あるいはシンパの地方議員を主要構成員とするフェミニスト議員連盟(以下フェミ議連)は「肌の露出の多い服を着て胸を揺らしている。女児を性的消費するコンテンツをよもや警察がアップするとはけしからん」と「抗議」を展開した。最終的に千葉県警は投稿した動画を削除した(表向きの理由は掲載期間その他総合的な判断と説明されている)が、その後戸定梨香関連のキャンペーン自体は地元の新京成線(現・京成松戸線)などに展開の幅を広げている。
なお、ラッピング列車の運転は沿線自治体の屋外広告物条例に基づく審査をパスしないとできないもので、京成千葉線直通を含めると新京成線の列車が通過する自治体は松戸市以外にも鎌ヶ谷市、習志野市、船橋市、千葉市に跨るため、このラッピング列車の実現をもって事実上フェミ議連の「敗戦」が確定したと言える。
フェミ議連による異議申し立て
新京成線のラッピング列車
【戸定梨香情報】
— VASE【公式】 (@vase_ase) June 30, 2023
数々の困難があり、1年半という月日が経過してしまいましたが、本日、新京成電鉄のラッピング電車が運行開始いたしました。
松戸〜京成津田沼まで運行し、期間は1年間です。
走行前のキャンセルを防ぐ為、当日の発表となりました。
お待ちいただいた皆様、ありがとうございます。 pic.twitter.com/2FFgpccXzS
戸定梨香のマネジメント会社(MCN)の女性代表、漫画・アニメに関する表現の自由を守る活動に取り組む大田区議会のおぎの稔議員などはフェミ議連の「抗議」を「表現の自由の弾圧」と指摘・批判している。2023~24年に運行された新京成線のラッピング列車に関するポストでも上記の通り「数々の困難」「キャンセル」と言及されている。
だが、左派野党系フェミニストのしつこさはその後も健在であり、今度は埼玉県の県営公園プールでのグラビアアイドル撮影会に同様の「抗議」を展開した。今回の抗議の主は埼玉県議会の共産党女性議員で、フェミ議連自体には名を連ねていないものの、実態は同類と考えていいだろう。
埼玉県営公園で女性の水着撮影会が行われます。未成年も出演するという情報については調査中です。城下のり子・伊藤はつみ・山﨑すなお県議は、本日、都市公園法第1条に反するとして、貸し出しを禁止するよう県に申し入れました。https://t.co/mbFYa9uHOz https://t.co/OtojtOm9N5
— 日本共産党埼玉県議会議員団 (@jcp_sai) June 6, 2023
民間企業と異なり自治体はこの手の「抗議」を正面から食らってしまうと立つ瀬がないため、この年の各県営公園でのグラビア撮影会はほぼ中止となったものの、結果的に翌年からは特段の問題もなく再開している。
この前後にも、献血を呼びかける保健所のポスターの「宇崎ちゃんは遊びたい!」、駅前のメンズクリニックの広告における茜さや、温泉むすめ、エレベーターの安全マナー啓発ポスターの「お姉さん」、東洋水産の「赤いきつね」のCMでカップ麺を啜りながら頬を赤らめる女性キャラ、アツギや三重交通など、公職レベルに達しない民間のフェミニストによる「萌えアニメへの吊し上げ」は主だったものだけでも年に数件と、枚挙に暇がないレベルで繰り返されている。
一方、公職レベルのフェミニストが関与して物議を醸した事案としては、2020年の草津町長冤罪事件や、今年3月の国際女性デーの街宣活動「フェミブリッジ」で「男が産めるのう○こだけ!」という「最低限の公衆道徳すら放棄した汚言」をまき散らした(しかもその場所は世界最多の乗降客数を誇る新宿駅前)などの実例が存在する。
(続報)2025年12月7日、立憲民主党所属の衆議院議員藤原規眞が20年前の「苺ましまろ」のビジュアルに関して「少女売春と繋がった醜悪なもので、一掃されるべきである」として下記のポストをXに投稿した。
「日本の萌えカルチャーは性犯罪と地続きであり、表現の自由の対象外として規制されるべきだ」と定義するこのような言説は、左翼・フェミニスト界隈、特に所謂「ツイフェミ」の間では「最低限の常識」として共有されているナラティブで、前述の「萌えアニメ吊し上げ」活動もこの認識を基礎として行われている。
なお、「萌えカルチャーが性犯罪と繋がっている」という事実は統計上確認できないどころか、萌え関連の表現の自由が厳しく制限された国・地域と比べても本邦の性犯罪の件数は極めて少ない。科学的に確認できる事実と逆行した言説を臆面もなくご開帳するあたり左翼・フェミニスト界隈には反知性主義が蔓延していると言わざるを得ないだろう。
藤原議員の発言はこのような界隈の「体質」を象徴的に裏付けている。
こういう醜悪なものを許容しているから、人身売買で連れてこられてきた12歳のタイ人女性を「買う」醜悪な男が街なかを涎を垂らして徘徊することになる。
— 藤原のりまさ(衆議院議員・弁護士) 愛知10区 (@CDP_AICHI10) December 7, 2025
一掃しなければならない。 https://t.co/6ZAO9MGyNp
そもそもフェミニズムとは、女性の権利・自由を拡大し、創造的な活動を促す政治・社会活動である。事実選挙権、労働環境など多くの分野で不公平に女性が扱われる状況の改善を叶えてきたのはフェミニストの活動実績であるし、その一環で女性を不本意にもてあそんだり見下すような社会慣習等に異議を申し立てること自体はフェミニズムの本分から外れるものではない。
だが、この度フェミ議連・左派野党の(国会・地方)議員が「抗議」の矛先を向けたのは、萌えアニメであれグラビアアイドルであれ、女性本人の自由意志による自由な表現・創作活動であり、それらのベクトルが「男性向けの(性的な魅力の)アピール」に向いている(と見える)からと言って「それは性的消費だ」と唱えて潰しにかかるのはむしろフェミニズムの本分とは逆行する、それこそ普段フェミニスト自身が「家父長制」と見なしている「お節介な道徳の押し売り」そのものではないだろうか。ましてや地方議員かつ野党とは言え、国政政党の権威を笠に着てそのような行動を取るとすれば、それは立派な権力の発動で「表現の自由の弾圧」と言わざるを得ない。
なお、日本のファッションカルチャーには「男性向けに好感度の高いスタイリング」を提案する「赤文字系」というジャンルがある。表立った言及は今のところ見受けられないが、これほど尖鋭化したフェミニストの現状、いずれ槍玉に上がってしまう日が来ない保証はないと言える。
結局のところ「本物のライオン」とは誰か
高市内閣、および維新、参政党など協力党派の示す憲法や安全保障・スパイ対策の方針をもって「高市内閣は我々民衆を威圧するライオンだ」と詰りながら、その「民衆を威圧する」行動を自らも積極的に取り、あまつさえ同類の外国勢力に平然と秋波を送る左派界隈のあり方はまさに「全体主義の走狗」であり「真のライオン」と呼んで差し支えないものと言えるだろう。
さらにもっと根本的な問題として、「檻の中のライオン」を引く高市政権批判のほとんど全てと言っていい程度の大多数が「特に若い世代で高い高市政権の支持率」を「クラウドワークスで募集したバイト」「若者は戦地へ送られるぞ」などと根拠のないデマで詰る構文とセットになっているあたりにも左派の「民主主義とは水と油」なメンタリティが見て取れる。
若者の高市早苗支持率が高いってブラックジョークなんか?戦争始まったら真っ先に招集かかるの若者なのですが。日中の緊張が高まってくると偶発的武力衝突の可能性も高くなる。現に昨日も中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射が有った。
— にじゅういち (@hodoyokukareta) December 7, 2025
高市を支持してる若者と言われる人達はもっと世界を俯瞰して戦前戦後の歴史も勉強してよ
— 46★ (@46snewscheck) December 5, 2025
バカと言われたくないなら#自民党は利権と汚職と税金泥棒#自民党は国民の敵#裏金議員は全員逮捕
左派が支持されない理由とは
要約「若いやつは馬鹿。なにも考えずに高市を支持してる。」
— もへもへ (@gerogeroR) December 7, 2025
だから左派リベラルは嫌われる。 https://t.co/cS5QjEQ7GQ
衆議院総選挙の時期はまだしばらく先になりそうだが、投票先を選ぶ際にはこれら一連の「左派界隈・左派野党の言動」を思い出してほしい。
