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第141回 科研費における「研究計画最終年度前年度応募」とは―研究計画を再構築するための特例制度―

科研費には「研究計画最終年度前年度応募」という制度があります。

この制度は、研究の進展を踏まえて研究計画を再構築し、新たな研究へ発展させるための特例制度です。

一方で、

「通常の新規応募と何が違うのか」

「採択されたら現在の科研費はどうなるのか」

「どのような場合に利用する制度なのか」

までは、公募要領を読んでも分かりにくいと感じる方もいるでしょう。

本稿では、「研究計画最終年度前年度応募」の概要と利用する際の注意点について解説します。


研究計画最終年度前年度応募とは

通常、科研費では研究期間の最終年度に新たな研究課題へ応募します。

例えば4年間の研究課題であれば、

  • 1年目

  • 2年目

  • 3年目

  • 4年目(最終年度)

という流れで研究を進め、研究が終わりに近づくころ、上記例でいえば、4年目の夏ごろに次年度から始めたい新たな研究課題へ応募することになります。

これに対し、「研究計画最終年度前年度応募」は、最終年度を迎える前に次の研究課題へ応募できる特例制度です。つまり、3年目の夏ごろに次年度から始めたい新たな研究課題へ応募することになります。

ただし、「早く応募できる制度」と理解するだけでは十分ではありません。

この制度の目的は、研究が順調に進展した結果、新たな研究課題へ発展した場合に、その流れを途切れさせることなく研究を確実に継続できるようにすることにあります。

なぜこの制度が設けられているのか

研究は、当初の計画どおりに進むとは限りません。

一方で、予定以上に研究が進展し、

  • 新たな知見が得られた

  • 新しい研究課題が見えてきた

  • より発展的な研究へ展開できる段階になった

ということもあります。

このような場合でも、通常であれば現在の研究課題は最終年度まで実施し、最終年度に新たな研究課題へ応募することになります。

それでは研究の勢いが失われたり、新たな展開に着手するタイミングを逃したりする可能性があります。

そこで設けられているのが、この制度です。

研究成果を踏まえて研究計画を再構築し、切れ目なく次の研究へ移行できるようにすることが制度の趣旨となっています。

新しい科研費が一つ増える制度ではない

この制度で最も誤解されやすい点があります。

それは、採択されても現在の科研費と新しい科研費を同時に受け取ることはできないということです。

制度上、新しい研究課題が採択された場合には、その基となった継続研究課題の最終年度分の科研費は交付されないこととされています。

つまり、

「現在の研究を続けながら、新しい研究も始める」

制度ではなく、

最終年度の研究費を、新しい研究課題へ切り替える制度なのです。

新しい研究計画には何を書くのか

採択された場合には、従来の研究課題の最終年度分は実施されません。

そのため、新たな研究計画調書には、

  • 新しい研究課題の内容

  • 継続研究課題で最終年度に予定していた内容

  • 研究の進展によって得られた新たな知見

  • 前年度応募を行う理由

  • 研究成果を取りまとめるために必要な内容や経費

を含めて作成する必要があります。

つまり、「新しい研究だけ」を計画すればよいわけではありません。

継続研究課題を発展的に引き継ぐことを前提として研究計画を構成する必要があります。

ここで重要なのは、「研究が終わっていないから前年度応募する」と説明することではありません。

制度の趣旨は、研究が順調に進展した結果、新たな研究課題へ発展したことにあります。

そのため、現在の研究成果と新しい研究課題とのつながりを明確に示し、「なぜ研究計画を再構築する必要があるのか」を論理的に説明することが重要です。

利用できる人は限られる

この制度は、すべての科研費で利用できるわけではありません。

対象となる研究種目や研究期間は公募要領で定められており、一定期間以上の基盤研究や若手研究などが対象となります。

また、一つの継続研究課題を基に前年度応募できる新規課題は一件に限られています。

制度の利用を検討する場合は、その年度の公募要領で対象要件を確認するようにしましょう。

おわりに

研究計画最終年度前年度応募は、研究期間を延長する制度でも、新しい科研費を追加で獲得する制度でもありません。

現在の研究成果を基に研究計画を再構築し、新たな研究へ発展させるための特例制度です。

制度の趣旨を理解すると、「最終年度より前に応募できる」という点よりも、「研究の発展に応じて柔軟に研究計画を切り替えられる」という点に、この制度の意義があることが分かります。

利用できる研究者は限られますが、対象となる場合には、研究をより発展的に展開するための有効な選択肢の一つとなるでしょう。

外部資金ジャパン

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