第126回 なぜURA支援があっても採択率は思ったほど上がらないのか
研究支援体制の整備が進み、大学でURA(リサーチ・アドミニストレーター)による科研費申請支援が提供されてきています。
「URAに見てもらえば通りやすくなる」
こうした期待をもって申請支援を受けている研究者の方も多いのではないでしょうか。
しかし現実には、URAの支援を受けても採択に至らないケースは珍しくありません。
本稿では、このギャップの理由を整理します。
1 URAの位置づけを誤解している
まず整理すべきは、URAという職種の位置づけです。
URAはしばしば、
科研費申請の添削者
申請書作成の専門家
のように理解されがちです。
しかし実態はやや異なります。
URAの本来の役割は、
研究支援全般のコーディネート
外部資金獲得支援
産学連携の推進
研究マネジメント
IR・評価業務
にあります。
つまり、申請書を書き上げること自体が主業務ではありません。
むしろ立ち位置としては、
研究者の延長線上というより
大学組織側の視点を担う側面が強い
と捉えた方が実態に近いでしょう。
この前提を外したまま「添削の専門家」と期待すると、結果とのズレが生じます。
2 URAは添削に深くかかわれない
URAの業務は多岐にわたります。
それらを並行して担っているため、
一人で多数の申請を抱える
一件あたりに割ける時間が限られる
という状況が常態化しています。
その結果、実務として多いのは、
提出直前の一回レビュー
表面的な修正
にとどまります。
申請書全体の構造や論点に踏み込むような対応は、時間的に難しい場合も少なくありません。
これは個々のURAの能力の問題ではなく、体制上の制約です。
3 経験や専門性のばらつきという現実
URAのバックグラウンドは一様ではありません。
博士号保持者や元研究者も一定数存在する一方で
分野が異なる
申請書作成の実務経験に差がある
といったケースも少なくありません。
そのため、
形式面の整理はできるが
申請書の良し悪しを踏み込んで評価することは難しい
という状況が生じます。
4 形式的な添削は効果が限定的
一度見てもらった
軽いコメントを受けた
といったレベルの関与では、申請書の競争力はほとんど変わりません。
結果として、
「見てもらった」という一定の安心感は得られる一方で、
成果に直結しにくい
という状態になりがちです。
結果的に申請支援、添削支援に意味がないと誤解されてしまいます。
5 外部専門業者という選択肢
こうした制約を前提にすると、外部の添削専門業者という選択肢も見えてきます。
外部業者の特徴は、
添削が主業務である
一件あたりに時間をかけられる
採択事例の蓄積がある
という点にあります。
申請書そのものにリソースを集中できるため、
構成だけでなく
論点やストーリーにも踏み込んだ検討
が可能になります。
この「関与の深さ」が、結果の差につながる場合があります。
6 例外としてのURAの役割
もっとも、すべて外部に任せればよいわけではありません。
大型研究プロジェクト
学内の複数部局が関与する案件
組織的な戦略が必要な種目
では、
学内調整
研究体制の設計
組織としてのストーリー構築
が不可欠であり、URAの関与が本質的な意味を持ちます。
7 研究者が取るべき整理
以上を踏まえると、研究者としては、
URAを「添削者」と捉えない
軽いレビューに過度な期待をしない
必要に応じて外部リソースを活用する
という考え方が重要です。
おわりに
URA支援があっても採択率が思ったほど上がらない背景には、
役割に対する認識のズレ
時間的制約
経験や専門性のバラつき
といった要因があります。
その上で重要なのは、
「見てもらったかどうか」ではなく、
どの程度まで踏み込んだ検討がなされたか、という点です。
科研費申請において問われているのは、表面的な整えではなく、申請書全体の完成度です。
「誰にどこまで見せるか」という判断が、採択率向上に向けて重要となります。
外部資金ジャパン
こうした背景もあり、近年では外部の専門的な添削支援を活用する研究者も増えています。外部資金ジャパンでは、申請書の添削サービスを提供しています。ご興味のある方は下記までお問い合わせください。
