第164回 研究が楽しくないときにやるべきこと
研究という営みは、本来、知的好奇心に支えられた創造的な活動です。しかし実際には、「どうしても楽しくない」「気が進まない」と感じる時期が訪れることも少なくありません。
本記事では、研究が楽しくなくなったときにどのように向き合えばよいのか、私自身の経験も踏まえながら考えてみたいと思います。
「対象との相性」を疑ってみる
研究が楽しくないとき、まず考えたいのは「努力不足」ではなく、「相性」です。
私自身、人や動物を対象とした研究に関わっていたときは、仮説を立て、結果を解釈する過程そのものが非常に面白く感じられました。一方で、植物を対象とした研究に携わった際には、同じように取り組んでいるはずなのに、どこか没入できない感覚がありました。
この違いには、能力だけではなく、「対象に対してどれだけ関心を持てるか」ということも関係しているように思います。
研究対象は、想像以上に研究者のモチベーションに影響します。
「やり方」ではなく「意味」を見直す
研究が停滞しているとき、多くの場合、手法やスケジュールの改善に目が向きがちです。
しかし、それでも気持ちが乗らない場合は、「なぜこの研究をしているのか」という意味の部分を見直す必要があります。
・この研究は誰の役に立つのか
・自分はどの部分に面白さを感じていたのか
・そもそもこのテーマを選んだ理由は何か
こうした問いに立ち返ることで、「何のためにこの研究をしているのか」が見えなくなっていた状態から、もう一度研究の意味を考え直すことができます。
「楽しくない状態」を前提に設計する
どれほど相性のよいテーマであっても、常に楽しいわけではありません。データが出ない、論文が通らない、人間関係がうまくいかない——そうした局面では、誰でもモチベーションが下がります。
そのため、「楽しくない日でも進められる仕組み」を作っておくことが重要です。
・最低限やる作業を決めておく
・短時間でも研究(実験)する習慣をつける
・作業を細かく分解する
楽しさに頼るのではなく、仕組みで前に進むという考え方です。
環境を変えるという選択肢
もし「どうしても楽しくない状態」が長く続く場合、環境を変えることも現実的な選択肢です。
テーマの変更、共同研究先の見直し、研究室あるいは研究分野そのものの転換など、負担は伴いますが、長期的に見れば合理的な判断となる場合もあります。
特に、対象そのものに興味が持てない場合は、無理に続けるよりも、自分の関心が向く領域に移るほうが、生産性も満足度も高くなる可能性があります。
おわりに
研究が楽しくないと感じること自体は、決して特別なことではありません。むしろ、その違和感は、自分の関心や適性を見直す重要なサインでもあります。
「努力が足りないのではないか」と自分を責める前に、対象・意味・仕組み・環境といった複数の観点から、自分の研究を捉え直してみることが大切です。
その先に、自分が心から納得できる研究のあり方が見えてくるのではないでしょうか。
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