第151回 大学現場から離れて思うこと―研究者はもっと社会に出る余地がある―
大学の現場を離れてみて、あらためて気づくことがあります。それは、大学の中で当たり前だと思っていた価値観が、社会全体から見ると必ずしも共有されていないということです。
本記事では、大学の現場から距離を置いた立場から、研究者と社会との関係について、いくつか感じたことを整理してみたいと思います。
研究者に対するイメージ
大学という場を離れてみて、あらためて感じることがあります。それは、研究者の活動が、社会の中でやや見えにくいという点です。
ノーベル賞受賞者は広く報道されますが、それ以外の研究者については、一般の人に知られる機会があまり多くありません。たとえ世界的に評価の高い学術誌に論文が掲載されても、それがそのまま社会的な認知につながることは多くないのが現状です。
その結果、研究者に対するイメージが次のように偏ってしまうこともあるように思います。
ノーベル賞級の特別な存在
何をしているのかよくわからない人
こうしたギャップは、少しもったいないことだと感じています。
研究は本来、社会とつながるもの
研究は社会と切り離されたものではなく、本来は社会との関係の中で価値を持つものです。
一方で、大学の中ではどうしても次のような評価軸が中心になります。
論文数
インパクトファクター
学会での評価
そのため、以下のような活動は後回しになりがちです。
社会への発信
一般向けの説明
研究の意義の共有
その結果、質の高い研究であっても、広く知られないままになってしまうことがあります。
研究者が目立ちにくい背景
研究者が社会の中で目立ちにくい背景には、いくつかの要因があるように思います。
評価制度
→ 発信活動が十分に評価されにくい時間的な制約
→ 研究・教育・事務で余裕が限られている文化的な側面
→ あまり前に出ないことをよしとする傾向
これらが重なり、結果として発信のハードルが高くなっているのかもしれません。
社会との接点を広げるための選択肢
こうした状況の中で、研究者が社会との接点を持つ方法はいくつか考えられます。
メディア出演、書籍出版、SNS発信
テレビやWebメディア、書籍、SNS等で専門分野をわかりやすく紹介する講演・アウトリーチ
一般向けの講演やイベントに参加するベンチャー企業の立ち上げ
研究成果を社会に実装する一つの形クラウドファンディングの活用
研究内容を発信しながら支援を募る
どれも必ずしも簡単ではありませんが、少しずつ取り組める余地はあるように感じます。
「目立つこと」の意味
「研究者が目立つ」という言い方には、少し抵抗を感じる方もいるかもしれません。
ただ、ここでいう「目立つ」とは、自己主張を強めるというよりも、
研究の価値を社会に届けること
専門知識をわかりやすく共有すること
といった意味合いです。
研究の多くは公的な支援によって成り立っていることを考えると、社会に向けて発信することは自然な流れとも言えます。
大学の外に出て感じたこと
大学の外に出てみると、いくつかの気づきがありました。
研究に対する理解の機会は思った以上に限られている
一方で、発信に対する反応は意外と大きい
発信している研究者はまだ多くない
こうした状況を見ると、少し発信するだけでも意味があるのではないかと感じます。
おわりに
研究者は、研究そのものに加えて、それを社会にどう伝えるかという点についても考える余地があるのかもしれません。
大学の外に目を向ける
社会との接点を少し増やす
無理のない範囲で発信してみる
こうした小さな取り組みの積み重ねが、研究と社会の距離を少しずつ縮めていくのではないでしょうか。
そしてそれは、研究者自身にとっても新しい可能性、意外な発展につながるように思います。
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