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第99回 AIが作る申請書には、ある共通した違和感がある

近年、科研費の申請書作成においてAIを活用する動きが広がっています。
文章の整理や表現の調整など、実務的な補助としては非常に有効であり、すでに多くの研究者が何らかの形で利用しているのではないでしょうか。

しかし、AIを用いて申請書を作成してみると、ある程度共通した傾向が見えてきます。

本稿では、皆様もお気づきの、AIが作る申請書に感じられる「違和感」について整理してみたいと思います。



ぱっと見は「よくできている」

まず驚かされるのは、見た目の完成度の高さです。

  • 文章は整っている

  • 構成もそれらしい

  • 専門用語もそれなりに適切に使われている

初見では、「これで十分ではないか」と感じるレベルのものが出てきます。

実際、行政に提出するような一般的な文書であれば、
このクオリティで問題なく通用する場面も少なくないでしょう。


しかし中身は、驚くほど浅い

問題は、少し踏み込んで読んだときに見えてきます。

  • 問題設定が抽象的なまま

  • 研究の核心に切り込めていない

  • 既存研究との差異が曖昧

つまり、
「それらしいこと」は書いてあるが、具体的に何をしたいのかが見えない

これは単なる精度の問題ではなく、AIの特徴です。
AIは既存の知識の分布から無難な表現を選び続けるため、どうしても議論の深さが出にくくなります。


ボリュームを増やすと「言い換え」になる

さらに顕著なのが、分量を増やそうとしたときです。

文字数を増やすと、

  • 同じ主張を言い換えて繰り返す

  • 抽象度を変えて水増しする

  • 新しい情報がほとんど増えない

といった傾向が強くなります。

一見すると文章量は増えているのですが、
実際には内容の密度はほとんど変わっていません。

その結果、「長いが中身が薄い」申請書になってしまいます。


よく読むと「雑さ」が見えてくる

もう一つ印象的なのは、精読したときの違和感です。

AIの文章は一見滑らかですが、

  • 用語の使い方が微妙にずれている

  • 因果関係が弱いまま文と文を接続している

  • 重要な部分ほど具体性がない

といった「細かな粗さ」が積み重なります。

一つ一つは小さくても、専門家が読めば違和感としてはっきり伝わります。


「それっぽい言葉」を並べてしまう

科研費の申請書で問われるのは、単なる整合性ではありません。

  • なぜこの問題なのか

  • なぜこの方法なのか

  • なぜ自分が行うのか

こうした問いに対して、どれだけ具体的に答えられているかが重要です。

しかしAIをそのまま使うと、
専門用語を並べているだけの文章になりやすいといえます。

これは見た目の完成度とは裏腹に、評価に結びつきにくい状態です。


専門的な内容ほど、まだ任せられない

実際に試してみるとよくお分かりいただけるように、
専門性が高い部分ほどAIの限界がはっきり表れます。

  • 研究の独自性

  • 仮説の妥当性

  • 具体的な材料、方法

こうした部分は、現時点ではAIに任せるべきではない領域です。また、最新情報を別途与えない限り、古い情報で書き上げようとしますし、たとえ最新情報を与えても論文の解釈を誤っていることがあります。

つまり、専門的な内容についてAIに委ねてしまうと、申請書の「核」が抜け落ちてしまいます。


AIは「整える道具」として使う

もちろん、AIそのものを否定するものではありません。

  • 文章の整理

  • 表現の簡潔化

  • 構成のたたき台作成

といった用途では、非常に有効なツールです。

ただし、
考える部分まで任せてしまうと、申請書は確実に弱くなる
この点は強く意識、注意する必要があります。


おわりに

AIで作られた申請書に感じる違和感は、単なる完成度の問題ではありません。

それはむしろ、
「考え抜かれた痕跡が見えないこと」に対する違和感だといえます。

ぱっと見は整っている。
しかし、よく読むと浅い。
そして、どのようなことを意図して書いたのかが見えてこない。

この状態のまま提出してしまうことが、最もリスクの高いケースです。

AIは確かに強力なツールです。
しかし申請書の価値を決めるのは、最終的には研究者自身の思考です。

AIに任せる部分と、自分で担う部分を適切に切り分けること。
そのバランスが、これからますます重要になっていくのではないでしょうか。

外部資金ジャパン

外部資金ジャパンでは、申請書の添削サービスを提供しています。ご興味のある方は下記までお問い合わせください。


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