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第120回 用途発明・用途特許とは何か―「使い方」に価値がある発明の考え方―

特許というと、新しい機械や装置、化学物質そのものの発明を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実務の世界では、「もの」そのものではなく、「その使い方」に価値が認められるケースも少なくありません。

本記事では、「用途発明」および「用途特許」と呼ばれる考え方について、整理します。


用途発明とは何か

用途発明とは、既に知られている物質や製品について、新たな用途(使い道)を見出した発明をいいます。

ポイントは、「もの自体は新しくない」という点です。

たとえば、ある化学物質が既に知られていたとしても、

  • これまで知られていなかった用途

  • 別の分野での機能

などが新たに見つかった場合、その「用途」が発明として評価される可能性があります。

つまり用途発明は、「既知のものに新たな技術的意義を見出した発明」と捉えることができます。

用途特許とは何か

一般に「用途特許」と呼ばれるものは、上記の用途発明について認められた特許権を指します。

通常の特許が「装置」「方法」「物」に関するものであるのに対し、用途に関する発明は、

  • 特定の物質を

  • 特定の目的のために用いる

という形で表現されることが多くなります。

特に化学・医薬分野では、「〇〇を△△の治療に用いる用途」といった形で権利化されるケースが多く、研究開発やビジネスにおいて重要な位置を占めています。

用途発明が認められるためのポイント

用途発明として特許が認められるためには、通常の発明と同様に、いくつかの要件を満たす必要があります。

① 新規性

その用途が、従来知られていないことが必要です。
既に同じ用途が公知であれば、特許は認められません。

② 進歩性

当業者が容易に想到できる用途では足りません。
特に用途発明においては、その用途に特有の作用・効果に基づき、「予測困難性」が認められるかが重要なポイントとなります。

③ 実施可能性(効果との関係)

特に化学・医薬分野では、主張される用途に対応する作用・効果について、当業者がその用途を実施できると理解できる程度に、特許明細書において具体的に開示されていることが重要です。
単なる可能性や仮説にとどまる場合には、特許として認められにくい傾向があります。

典型例:医薬用途発明

用途発明の代表例が医薬用途です。

たとえば、

  • 既存の薬剤が、別の疾患にも効果を示すことが分かった

  • これまで副作用と考えられていた作用が、有用な効果として活用できることが判明した

といったケースでは、新たな用途として特許化される可能性があります。

このような発明は、いわゆるドラッグ・リポジショニング(既存薬の新用途探索)とも関係し、新薬開発に比べてコストやリスクを抑えられる点でも注目されています。

研究者にとっての意義

用途発明は、「新しいものを作る」だけでなく、「既存のものをどう使うか」という視点の重要性を示しています。

特に研究現場では、

  • 既知の物質の再評価

  • 異分野への応用

といった発想が、新たな知財価値につながる可能性があります。

おわりに

用途発明・用途に関する特許は、一見すると地味に見えるかもしれませんが、「使い方」に価値を見出す重要な知財概念です。

新規な素材や装置の開発だけでなく、既存の知識の組み合わせや再発見からも、特許価値は十分に生まれ得ます。

「この物質は他にどのように使えるのか?」という視点は、新たな研究成果や事業化の可能性を広げる出発点となります。

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