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第83回 「誰にも相談できないまま出していませんか?」― 若手研究者が申請書で孤立しやすい理由とその対処法 ―

科研費の申請において、「一応、指導教員には見てもらったが、それ以外には特に相談していない」という状態で提出される若手研究者は少なくありません。

あるいは、

・忙しそうで頼みにくい
・専門が違うから見てもらっても仕方がない
・そもそも誰に相談すべきか分からない

といった理由から、実質的に誰にも十分に相談できないまま申請書を書き上げてしまうケースも見受けられます。

しかし、この“孤立した状態での申請書作成”は、本人が思っている以上にリスクの高いものです。

本稿では、なぜ若手研究者が申請書において孤立しやすいのか、そしてその状況をどのように乗り越えるべきかについて考えてみたいと思います。



なぜ申請書は「孤立」しやすいのか

まず、申請書作成は「個人作業」と捉えられやすい点があります。

研究計画は自分のアイデアに基づくものであり、最終的な責任も自分にあるため、

・自分で書き切るべきものだ
・途中段階で見せるのはまだ早い

といった意識が働きやすくなります。

さらに、若手研究者特有の心理的ハードルも影響します。

・指導教員が多忙で遠慮してしまう
・ラボ内に気軽に相談できる雰囲気がない
・自分のレベルで見せることに躊躇がある

こうした要因が重なり、「相談したいが、相談できない」という状態に陥ります。

また見落とされがちなのが、

・誰に見てもらえばよいのか分からない

という問題です。

申請書に必要なフィードバックは一種類ではなく、本来は複数の視点が必要ですが、その整理がされていないことも、孤立を招く一因となっています。


孤立した申請書で起こりやすい問題

このような状況で作成された申請書には、いくつかの典型的な特徴があります。

まず挙げられるのは、

・「自分では分かっている前提」が強く出てしまう

という点です。

背景・目的・方法のつながりが、書き手の中では成立していても、第三者から見ると飛躍しているように見えることがあります。

次に、

・説明のバランスが崩れる

という問題もあります。

・重要な部分が簡潔すぎる
・補足的な部分が過剰に詳しい

といった状態になりやすく、結果として読み手にとって理解しづらい構造になります。

さらに重要なのが、

・「評価される視点」が抜け落ちる

ことです。

申請書は単に研究内容を説明するものではなく、

・どのように評価されるか
・どこが強みとして伝わるか

を意識して設計する必要があります。

しかし、孤立した状態では、この視点を取り入れることが難しくなります。


孤立を避けるために意識したいこと

では、どのようにすればこの状況を避けられるのでしょうか。

まず重要なのは、

・申請書は「一人で完成させるものではない」と理解すること

です。

そのうえで、次のような視点を意識すると効果的です。

■ フィードバックの役割を分ける
・専門的妥当性を見る人
・分かりやすさを見る人
・構造や説得力を見る人

→ 一人に頼るのではなく、役割で考える

■ 相談のタイミングを前倒しする
・構想段階
・初稿段階

→ 完成直前では大きな修正ができない

■ 「誰にも見せていない状態」を避ける
・最低でも第三者(ちなみに、AIではなくヒト)の視点を一度入れる

→ 自分では気づけないズレを補正できる


おわりに

若手研究者にとって、申請書の作成はどうしても孤独な作業になりがちです。

しかし、その孤立は「仕方のないもの」ではなく、「回避できるもの」でもあります。

・誰に見てもらうか
・どの段階で見てもらうか
・どの視点を取り入れるか

これらを意識するだけで、申請書の質は大きく変わります。

もし現在、「誰にも十分に相談できていないかもしれない」と感じている場合は、その状態自体を見直してみることをおすすめします。

申請書は、内容だけでなく「作り方」で評価が分かれるものです。

だからこそ、「一人で書き切ること」にこだわりすぎないという視点が、これからの研究費獲得において重要になっていくのではないでしょうか。

外部資金ジャパン

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