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第94回 なぜ「自分では良いと思っている申請書」が落ちるのか― 第三者視点が決定的に欠ける瞬間 ―

科研費の申請書を提出した後、研究者は思います。

「今回は結構いい出来だと思う…」

しかし結果は不採択。このような経験は、決して珍しいものではありません。

ではなぜ、「自分では良い」と感じている申請書が落ちてしまうのでしょうか。

その理由は、単純な能力不足ではなく、「第三者視点の欠如」という見えにくいズレにあります。


「内容」ではなく「認識」がずれている

まず前提として重要なのは、申請者自身の評価と、審査者の評価は一致しないという点です。

このズレは、主に次の違いから生じます。

・申請者は研究の背景や文脈(流れ)を理解している
・審査者は初見でその内容を読み取る

申請者は自身の研究を熟知しているため、多少説明が不足していても「これくらいは伝わるだろう」と補完してしまいます。

また、申請書は作成過程で何度も読み返されますが、審査者は限られた時間の中で初見の申請書を読みます。

・多くの場合、読む機会は一度きり(二段階目の審査に進んだ場合に再読されることはありますが、それでも申請者ほど繰り返し読むことはまずありません。)

この非対称性が、「伝えたつもり」と「実際に理解される内容」のズレを生みます。

申請者にとって自明な情報でも、審査者にとっては初めての情報であり、その場で理解できなければ評価にはつながりません。


読み手は「理解しよう」とはしてくれない

もう一つ見落とされがちな点があります。

それは、審査者は必ずしも丁寧に読み解こうとしてくれる存在ではないということです。

もちろん審査は誠実に行われますが、多数の申請書を短時間で評価する必要があります。

そのため、

・一読して構造・構成が把握できない
・論理の流れが引っかかる
・研究の意義が即座に見えない

こうした申請書は、それ以上深く読まれない可能性があります。

ここで重要なのは、

・「良い内容であること」
・「一度で伝わること」

は別問題だという点です。


第三者視点は意識しても獲得できない

では、「第三者の視点で見直す」ことを意識すれば解決するのでしょうか。

残念ながら、それは簡単ではありません。

・人は一度理解した内容を「知らない状態」に戻せない
・前提知識がある限り、読み方は影響を受ける

どれだけ客観的に見ようとしても、自分の中の前提知識が読み方に影響します。

つまり、第三者視点とは

・努力で再現するものではなく
・外部から持ち込まれるもの

です。


AIだけでは埋めきれないギャップ

近年では、AIを活用した申請書改善も広がっています。文章整理や論理チェックには有効です。

しかし、AIは実際の審査の読み方や判断の流れをそのまま再現しているわけではありません。

特に、

・限られた時間での読み方
・評価が分かれるポイント
・一読で伝わるかという視点

といった点は十分に捉えきれないことがあります。

そのため、「実際に人間にどう読まれるか」という観点が抜け落ちてしまいます。


「良い申請書」を「通る申請書」に変えるために

多くの不採択は、「内容」ではなく「伝わり方」に起因します。

そしてその問題は、書き手自身だけでは修正が難しいものです。

だからこそ重要になるのが、第三者による確認です。

・初見で理解できるか
・論理が一読で通るか
・重要なポイントが適切に強調されているか

これらを外部の視点から検証することで、「評価される文章」としての完成度が高まります。

申請書は、

書きおわった時点で完成するものではなく、他者にどう読まれるかで完成に近づくものです。


おわりに

「自分では良いと思っているのに評価されない」という現象は珍しいものではありません。

それは能力ではなく、「どう読まれるか」という視点の欠如によって生じます。

重要なのは、内容そのものだけでなく、「初見の読み手にどう理解されるか」です。

そしてその確認は、自分一人では完結しにくい領域です。

だからこそ、「他者にはどう見えるか」という視点を取り入れることが、結果を左右します。

外部資金ジャパン

外部資金ジャパンでは、申請書の添削サービスを提供しています。ご興味のある方は下記までお気軽にお問い合わせください。


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