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第121回 科研費申請を代理で書いた若手研究者が必ず確認すべきこと

科研費の申請時期になると、

「申請書のたたき台を作っておいて」

「先行研究を整理しておいて」

「研究計画の文章化をお願いしたい」

といった形で、准教授や助教、研究員が申請書作成に関わることがあります。

中には、

「実質的には自分がかなり書いた」

という経験を持つ方もいるでしょう。

こうした経験に対しては、

「雑務が増えた」

「手柄は教授のものになる」

という受け止め方もあります。もちろん、そのような側面が存在することは否定できません。

しかし、申請書作成への関与は、単なる業務で終わることもあれば、将来の研究費獲得能力につながる経験にもなり得ます。


「書く作業」と「研究構想」は別である

申請書作成を手伝う際、多くの場合は文章を書く作業に意識が向きます。

しかし科研費の本質は文章力だけではありません。

重要なのは、

  • なぜその研究課題を設定したのか

  • なぜその方法を選んだのか

  • なぜ今その研究を行う必要があるのか

  • なぜその研究体制なのか

といった研究構想そのものです。

そのため、単に指示されたように文章を書くのではなく、

・自分ならどのような研究課題を設定するだろうか
・どのような研究方法を選ぶだろうか
・そして、それをどうストーリーとして組み立てるだろうか

と考えながら作業することで、将来自分が申請書を書く際の貴重な経験になります。

また、申請書の作成を一から頼まれることもしばしばあります。そのようなときこそ、自分が研究代表者だったらという意識で研究を構想することが重要です。

他人の研究計画を深く読む機会は意外に少ない

研究者であっても、他人の科研費申請書を最初から最後まで読む機会はそれほど多くありません。

論文は公開されますが、申請書は基本的に公開されないからです。

そのため、研究代表者がどのように研究を構想し、それをどのような論理で研究計画に落とし込んでいるのかを間近で見る経験は貴重です。

特に大型種目の申請書では、

  • 研究目的の組み立て方

  • 研究課題の見せ方

  • 研究体制の構築方法

  • 将来展望の描き方

など、多くの工夫を見ることができます。
代理で書くのであれば当然、申請書の内容をすべて把握することが可能です。

最終提出版を必ず確認したい

もし申請書作成に関わったのであれば、提出された最終版を確認させてもらうことをお勧めします。

これは教授の修正内容を学ぶためだけではありません。

むしろ重要なのは、

自分が作成した内容が最終的にどの程度残ったのかを確認すること

です。

研究課題名、研究目的、研究計画、図表など、自分が提案した内容が最終版にどのように反映されたのかを把握しなければ、自分の貢献を客観的に評価することはできません。

また、自分では重要だと思っていた部分が削除されていることもあります。

逆に、何気なく作成した図表や文章がそのまま採用されていることもあります。

こうした確認を通じて初めて、自分の強みや弱みが見えてきます。

採択・不採択の結果まで含めて振り返る

さらに重要なのは、その申請が採択されたのか、不採択だったのかを確認することです。

採択されたのであれば、

自分が関与した部分がどのような形で評価された可能性があるのか

を検討することができます。

不採択だった場合も、

「自分の原稿」

「添削業者が修正した原稿」

「教授が修正した最終版」

「審査結果」

を合わせて考えることで、多くの示唆を得ることができます。

申請書作成能力は、書いた回数だけでは向上しません。

自分の作成した内容がどのような形で提出され、その結果どう評価されたのかを振り返ることで初めて蓄積されていきます。

将来自分が研究代表者になるために

准教授、助教、研究員の立場では、他人の科研費申請を手伝う機会の方が多いかもしれません。

しかし、多くの研究者は将来的に自ら研究代表者として申請することになります。

そのときに重要なのは、

「申請書を書いた経験があること」

ではなく、

「自分の考えた内容がどのように評価されたかを理解していること」

です。

代理で申請書を書く経験は、確かに負担かもしれません。

しかし、

  • 自分がどのような提案をしたのか

  • 最終的に何が採用されたのか

  • その結果どう評価されたのか

まで追いかけることができれば、その経験は将来の研究費獲得に向けた貴重な財産になります。

おわりに

科研費申請を手伝った経験は、それだけでは単なる業務です。

しかし、

「自分が書いた内容は最終版でどう扱われたのか」

「その申請は採択されたのか」

まで確認することで、その経験は初めて自分自身の財産になります。

申請書作成に関わったのであれば、提出された最終版と審査結果まで含めて振り返る。

それが、将来自ら研究代表者として科研費を獲得するための第一歩なのではないでしょうか。

外部資金ジャパン

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